FF14の二次創作置き場

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ここ数ヶ月でノートしたメモlog  アクセの話星芒祭ネタのやつで設定上…

メモ

#log

メモ

ioで呟いたアンナ概念(今後書く予定もあるしSSにしてるやつもある)2
ここ数ヶ月でノートしたメモlog
 
アクセの話
星芒祭ネタのやつで設定上はアイオライトがあしらわれた髪飾りをシドから貰って完全に1人旅の途中は付けてるよって設定になってる
メインストーリー中は落としたり壊れたら嫌だから外してる

アイオライトの石言葉が「道しるべ」「誠実」って感じで
お話上ではその辺り考えずにあげたけど自機は即気付いて嬉しいって思ってるよって感じ
 
SかMか
普段の行動やら戦闘方法やら見てるとそういう枠組みが存在しないかSと思われがちだけど実際はMですねえ
アンナも自覚は無いけど相手からは把握されてる感じ
 
絵心(ピクトマンサー話題の時に)
そんなに嗜んでこなかったから多少旅の記録として発見した珍しいものや構造物をスケッチする程度
地図書く腕はありません
 
ギャザクラ
何でも出来るよって感じに上げてますね
料理が一番得意
1人で生きていけるからってアピール
50年以上迷子でサバイバルしてたんだから料理とギャザラー要素とあと木工革細工くらいはできるに決まってるよなあって感じで
そのスキルは現在イタズラ装置を作るのに役立ててます
 
守る守られる
お互い守ってもらってるなあって思ってるよ
そりゃ人やシドから見たら圧倒的パワーで自機が守ってるって感じだけど自機は「彼の作った道に守られて進んでるだけだよボクはね」って笑顔で言うよ
 
ジョブの話
まず、自機の後付けで付けた森の名は『フレイヤ・エルダス』で
エルダス(Eldur)とはアイスランド語で火という意味なので生まれ故郷は森の中にいながらも火を重んじている部族なんですよ
だからそういう魔術への理解も早いんですね
だから魔術系ジョブはヨシとしています

竜騎士というか槍術士が育成遅れたのは、「『鮮血の赤兎』時代が槍持ってたのですぐに高揚して殺意漏れるから過去バレしちゃうと怖がっていた」という後付け設定を作ったんですね
暗黒は、前にノートしたけど迷子になるから闇が嫌いという事で理解が出来なかったけど、漆黒終わってから「ずっと明るくても迷子にはなる」と少しだけ向き合うようになったんです
そういう意味ではリーパーも一緒

逆に侍がメインジョブなのは、何も考えずに森を飛び出して行き倒れていた所助けてくれたのが侍なヒゲのおじ様だったからですね
憧れの命の恩人みたいに刀を振るい人助けしたいと思い手に取ったわけです
殺意溢れる気迫はこのおじ様から受け継いでいます
ゴウセツ氏はその侍のおじ様を知っており、時々溢れる気迫が似てると指摘されます
ウサギは照れてますっていう設定

要するに、紅蓮辺りまでは槍以外はどの武器も慣れてないからその辺りの冒険者と変わらないよーっていう無害アピール
つまりメインでボロ負けするのは一種の舐めプという後付け設定
 
自機の脳みそ(Y談ビームから派生)
そもそもY談内容は自分と一切結びついていない脳筋野生生物なのでへーこういうのがあるんだってねーすごいね人体って思ってるよ
だからああいう物語になっちゃうんですね

自機の影響された環境が
リンドウ(20年旅してた)>アリス(15年程度会ってた)>里(14年過ごした)>>>>エルファー(合計1年も一緒にいない)
なのでお兄ちゃん可哀想
 
内なるやつ関連
内なるやつとフレイくん的なポジションになるやつは違うヤツです
先に言っておきます内なるやつはまじでお前なんなんだよ!ってなりますなりました
 
戦い方教えて!
アンナ「右腕に戦うぞパワーを溜めてそれを刀に込めて力にしズバッといけば一撃必殺」
リンドウ「全身に戦うための力を溜めそれを刀に込めて振りかぶれば一撃必殺だ」
ア・リス「こうやるぞ!って腕にズバーンってやってドン!っとやればいいんだよ!こんなもんフィーリングだ!」

エルファー「(こめかみに指を当て震えている)」

リンドウ「では今から出て来たモンスターを使って解説しよう。まず貴様が持っている武器の間合いからだが(くどくど)」
ア・リス「んなもん考えなくても俺様の秘密兵器を使えばな!」
エルファー「吊るして燃やせばいいだろ」

リンドウ(アンナの命の恩人で師匠)は努力で強くなって更に大ドーピングした人間なので各モンスターやら人の特性を理解した上で理詰めも出来る感じ
アンナはそれをそのままそっくり暗記してるから無意識にやるから脳筋解答になる

エルファーは吊るして燃やせばいいって思ってるしア・リスは色々荒らした"成果"でモノを作ってるからそれ使おうぜーお代はお前の命なーって冗談混じりで言う
 
アンナはメスバブーンとか野生生物かって言われたら実はちょっと違うんだよね
武器の特性とかも含めて全部理解させられた上で事故で死にかけたアンナの命を救うため仕方なくリンドウと同じ大ドーピングされたからただの人間兵器なんだよね。

#log

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注意漆黒以降の自機が子供化したギャグ概念。ネロ+光♀(シド光♀前提)その1から読…

漆黒,ネタバレ有り

#ギャグ

漆黒,ネタバレ有り

旅人は子供になりすごす-2-
注意
漆黒以降の自機が子供化したギャグ概念。ネロ+光♀(シド光♀前提)
その1から読んでね。
 
「というわけでシドにアレを言うのと、昼に報告よろしく」

 と、この小さくなったバブーンに見送られた。
 2日目、目が覚めるとすでに朝飯が作られていた。早起きなンだなと欠伸をすると「脳内アラームによって毎日同じ時間に起床する」と淹れたコーヒーを渡される。よく分からないので脳の隅に追いやった。そしてどこぞのおぼっちゃんと違って気が利いて旨いと思いながらフルーツを摘まむやつを観察した。

 ガーロンド社に到着すると裏で起こっていることを片鱗すら気付いていないシドと傍から見たら軟禁状態なアンナの兄エルファーが腕組みして待っていた。「サボリと犯罪はよくないぞ」と肩を叩くエルファーと「違うと信じたいが今日はちゃんと働けよ」と不味そうなコーヒーを啜るシドに「保護者か」と言いながら通り過ぎる。
 と、忘れていた。準備に時間をかけるガキに渡された原稿を読み上げる。

「ガーロンド、そういや昨日抜け出した時にメスバブーンがいたンだわ」
「は? お前アンナに会ったのか。どこで」
「モードゥナ近くでな。1週間程度各所で引き籠ってサプライズの仕込みすっから連絡も出来ねェってよ。スキップしながら去ってったな」
「まーた妹は変な企んでる。すっかり平和だな」

 片や勘弁してくれとため息を吐き、片や鼻を高くしている。両極端の反応にそうはならンだろと思いながら「ンじゃあな」と手を上げ去ろうとする。しかしシドの一言で足を止め、顔をしかめてしまった。

「ネロお前香水でも変えたのか?」

―――数時間後。

『こわー。前に小説で見た。浮気に敏感な面倒な彼女みたいなやつじゃん』
「ちッたァ冷や汗かいた俺の身になンねェのか?」
『コートに匂い付いちゃってたんだねえかわいそうに。色んなトコに寄ったし混じってボクと繋がらなかったのは奇跡かな。というかそこまで気付いたのに……。致命的ミスしたねぇシド』

 片隅でコーヒーを啜りながらアンナへリンクパールで声を潜め報告すると滅茶苦茶笑われた。『多分ボクがいつも色んな香水付けるからムダに嗅覚がよくなってる』と何かを弄る物音と共に聞こえる。心臓が止まりかけたンだぞと言うと『万が一バレてもそこまで怒らないって』と警戒心無しに答えた。そんなわけがない。この女は知らないだけで今の状況を把握されたら十二分にキレる。ついでに兄にも吊るし上げられる未来が見えた。
 しかし今日は一層周囲の視線が痛い。昨日手紙で煽られるがまま抜けたのは流石にマズかったか? と思ったがどうやらそうではないらしい。午後、ジェシーの言葉で再び突っ伏す羽目になる。

「昨夜あなたが小さい子を連れて歩いてた目撃情報あったけど遂に子供を使った人体実験でも始めたの?」
「ンなわけねェだろ!? まさかそれで変な目で見るヤツが多いのか? 急用終わらせて帰る途中に迷子のガキを見つけたからロウェナ記念会館に連れてったンだよ」

 アンナが準備していた『誘拐疑惑とか湧いてたらこれで大体誤魔化せる』という原稿を読み上げる。役に立ってよかったがまさか子供という実験生物を捕まえた疑惑まで出て来ていたとは予想外だ。さすがにエルの友人だった男と違いそこまで倫理観は死んでいない。―――傍から見るとそう誤解されてもおかしくない状況かもしれないのだが。あらそうだったのごめんなさいというジェシーに「とンだ酷い疑惑だな。てか誰だよ拡散したヤツ。社内の誤解解いとけ」と吐き捨ててその場を後にしながら『まさか朝2人が待ち構えてた理由はこれか?』という悪寒を捨てる。



 ラストスパートだと書類に押しつぶされたシドを眺めつつ定時退社を決める。こんな状態じゃ絶対ガキになった女の面倒は見られなかっただろうなと鼻で笑いラスボス(エルファー)に捕まる前に帰途についた。
 欲しい物はあるかと連絡を入れると『暇をつぶす本があればいい』と返って来た。適当に書店を物色していると赤髪のミコッテとばったり会ってしまう。

「ネロじゃないか」
「元気か?」
「ああ。アンタも元気そうでよかった」

 適当に会話を交わしながら小説を選んでいるとふと思い付く。暁にも言っておく方がいいな、と。

「なあ、ガーロンドから聞いたんだがメスバブーンがな―――」
「メスバブーン……? ああアンナのことか! そういえば日中連絡しても出なかったから気になってたんだ。アンナは何をしているのだろうか?」
「……ガーロンド含めてお前らにサプライズを準備すっから1週間位連絡すンなってよ」
「それは本当か!? アンナはイタズラが大好きで俺たちにもやってみたかったって書いてたんだ。とても楽しみだよ!」

 グ・ラハ・ティアという男は時折何言ってるか分からない時がある。どうやらこちらが把握していないアンナの秘密を知っているようだ。
 ありがとうと明るい声で去って行くのを見送り、シド名義で領収書を切ってから帰宅する。

 扉の前に立つといい匂いがした。すでに料理の準備をし、ほぼ終わっているようだ。よう飯作ってンのか、と覗き込むと「おかえり、味が合うか分からないけど」と笑顔を見せている。ふと背が低いからか、無理やり椅子の上で料理していることに気付いた。明日は踏み台でも持って帰るかと思いながらコートを脱ぎ捨てる。

「そういやグ・ラハに会った」
「へー」
「お前に用事あったみたいだぞ。ガーロンドとほぼ同じこと言っといたぜ」
「さんきゅ。そっかあマジで準備しておいてよかった」

 飯はそりゃ美味かった。森育ちのバブーンのことだ、質素な肉食事でも出されるだろう。―――と思ったら味付けもしっかりしているし魚の焼き加減もバッチリだ。普段狩りも多いが人生の4分の1程度は東方地域で旅していたので東方料理が得意なのだという。複数の社員共が餌付けされている気持ちは分からなくもない。
 この後ドライヤーで耳が垂れ下がる風景を眺め、昼にカチャカチャ言わせていたものの正体を見せてもらう。ゼンマイで動く機械仕掛けのウサギだと語った。まだ完成はしていないらしい。

「最終的に跳ねる。でも今やったら多分壊れる」
「昨日のパーツはこれか」
「そそ」

 量産射出と不穏なことを言っているがスルーしておく。このガキはどこまでシドをキレさせたら気が済むのだろうか。「俺までそのクソみたいな野望の巻き添えにすンじゃねェぞ」とだけ言い寝かしつけた。



 シドは伸びをし倒れ込む。最近は忙しくて仮眠室で眠っていたが一段落ついたということで久々に自室の寝台で寝そべった。
 アンナは元気だろうか、軽くため息を吐きながらろくでもない仕込みをしている姿を想像した。きっと相当ウキウキしている。ふと近くにあった"発信機"に手を取った。これは命の恩人(リンドウ)の子孫から譲り受けた"アンナを指し示す装置"だ。仕掛けは不明だが近付くほど光が強まり遠くなるほど小さくなる。気になった時はこれでどのギルドに籠ってるか推測し、イタズラのジャンルを絞り込むのが習慣と化していた。そうでもしないと心の準備が出来ない。

「……第一世界にいるのか?」

 意外なことに発信機は真っ暗である。光がないということは死んだか別世界にいるということだ。ギルドに籠って作業していると聞いている。これは相当怪しい。何かがおかしいが確かめる術はない。きっとそのイタズラ材料の仕込みをあっちでしているのだろう、ということにして目を閉じた。



 3日目。

「ネロは疲れているのかもしれない」

 会長室にて数人集まりここ数日で起こっているネロの奇行について話し合っていた。シドは一晩中考えた結果、ネロが見たアンナは幻覚かもしれないと判断している。意外なことに集まった人間たちも納得した様子で相槌を打った。

「一昨日突然早退してから様子がおかしいですよね」
「子供を誘拐したんじゃないかとこっちもあらぬ疑いかけて申し訳ないことをしたと思っているが……」
「さっき工房に籠って放置されていた台を調整してたッス!」
「確か『部屋の模様替えで届かねェ場所があンだよ』と言ってたな」

 シドはしばらく考え込み、結論を付けた。

「よし、今の案件も一段落ついたしネロに休暇をやろうと思う。ジェシーもうあいつを帰らせて明日丸1日休めるように調整頼めるか?」
「そうですね、ネロは相当疲れてるみたいですし早退させましょう」
「ふむ、何かさっき妹の子供時代の話を聞いてきたな。―――最近休みなしだったし僕も色々頼りすぎてしまっていたようだ。反省しよう。よし反省会終わり」

 こうしてネロは無理やり休みを取らされることになった。だが、彼らの目からしたら不審な動きをしている男の真相をまだ知らない。



 部屋の前に立つと案の定我慢出来なくなったのか罠が仕掛けられていた。ため息を吐き懐からツールを取り出す。慎重に罠解除し、扉を開けてやると「あー!」と悔しがるアンナがいた。「残念だったなァ。俺はガーロンドと違って素直に引っかからねンだよ。次やったら会社に引き摺ってくかンな」と笑いながら持ち帰った踏み台を見せると一転して明るい表情を見せている。

「ていうかネロサンめっちゃ帰って来るの早い!」
「なンか気持ち悪い笑顔で肩を叩かれて帰らされたンだ。疲れてるんだな、明日も休めってよ。ったくお前がガキになってからどいつもこいつもオレ様を哀れな目で見てくるンだ。ってオイ、今日の料理当番は俺だろうが」

 腑に落ちないだろ? と言う姿をアンナは目を丸くして見ている。しかしよっぽど嬉しかったのか早速渡した台に乗り料理の続きへと戻った。流石にこの時間に帰って来るのは予想外だったようで。ふとテーブルの上を見やると設計図が書かれた文字が滲んでいる書物と小綺麗なウサギが完成している。試しにゼンマイを巻いてみると不規則にピョンピョンと跳ねていた。

「どういう考え方をすれば早退して休めってなるか理解が出来ないねえ」
「だろ? でもなァいきなり休暇貰っても何もやることがなくて暇だぜ?」
「じゃああそこ行く?」

 どこだよ? と聞くと目を輝かせてこう言った。

「蒼天街!」

 イシュガルドにある復興区画だったか。職人や冒険者たちの手によって急速に進んでいるという噂は聞いている。

「色んな技術とかイベントが楽しい。どう?」
「軽い休日の日帰りで行く場所としてありだな。ま、そろそろお前も外で遊びてェってやつか」
「そそ。ストレッチだけじゃ身体がなまっちゃう。じゃあ準備して」
「おいおい早速か?」

 前日入りしてゆっくり休んだ後丸1日使う方が有意義でしょ? という言葉にナルホドねェと返した。飯食ってから出立するかという話をしながら荷物をまとめる。

「イシュガルドまではとりあえず先日乗ったロボでいい?」

 あのロボット気になってたンだよなとニィと笑う。寒いからと防寒着を着込み、保温ポットにコーヒーを淹れ片手間で摘まめる物を袋に詰めた。腹ごしらえに作っていた料理を食べ、外に出る。
 この機械はクルーズチェイサーというらしい。「イディルシャイア周辺で出会った青の手が繰り出した機械兵器を騎乗用に改造してもらった」と呑気なことを言っている。どさくさに紛れて何しているんだこのガキと思いながら乗り込んだ。

「ナイスバケーションへ出発しんこー!」
「ヒヒッ最高だなァ!」

 ゲラゲラと笑いながら形態変化したロボットがレヴナンツトールから飛び立った。



―――一方その頃。シドはネロが休む分の仕事をエルファーと共に黙々と片付けていた。
 そこに暁の面々が慌てた様子でやって来る。

「シド! アンナの容体はどうなっている!?」

 アルフィノの言葉に首を傾げた。なぜ今アンナの話題が出て来たのか、心当たりがない。珍しく賢人たちが揃っているものだからぽかんとした顔を見せてしまう。しかしすぐに手元に視線を戻しながらため息を吐いた。

「アンナは相変わらず俺にやらかすために各所ギルドで仕込んでるから連絡ついてないらしいぞ」
「そうかシドもそう聞いてるんだな」
「俺、も?」

 作業の手が止まり、再び顔を上げた。グ・ラハは怒らないで聞いてくれよ? と言いながら先程やって来た人間から聞いた話をする。

「実は錬金術師ギルドで手が滑って錬金薬を浴びてしまったらしい。秘密にしてとは言われたが心配になったと使いの者が来てこっちは大騒ぎさ」
「は? いつ?」

 シドは目を点にし尋ねる。何を言っているのか、理解が追い付かない。アリゼーは軽くため息を吐きながら報告内容を話した。

「事故が起こったのは2日前よ。昨日アンナは私たちへのサプライズのために引き籠ってるってあなたから聞いたって話があったから来たの。その様子じゃあなたも何も知らないみたいね」
「……俺も昨日聞いたぞ。ネロからな」
「そうか―――俺もなんだ。偶然書店で鉢合わせしたネロに言われてさっきまでワクワクしてた!」
「ねえネロはどこにいるのかしら? まだ工房とかにいたりする?」

 シドは眉間に深く皴を寄せ黙り込んでいる。隣にいたエルファーは代わりに口を開いた。

「最近ネロの様子が不審で。疲れてるのかと思って数時間前に帰らせた。ついでに明日1日休み付き」

 暁の面々は驚いた顔を見せている。リンクパールに震える手を当て連絡先を指定し、呑気な『どうした?』という声が聞こえた直後叫ぶ。

「ネロ!! お前今どこにいるんだ!?」

その1へ戻る // その3へ続く


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#ギャグ

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注意漆黒以降の自機が子供化ギャグ概念。ネロ+光♀気味のシド光♀。ネロと自機はお互…

漆黒

#ギャグ

漆黒

旅人は子供になりすごす-1-
注意
漆黒以降の自機が子供化ギャグ概念。ネロ+光♀気味のシド光♀。ネロと自機はお互い友人以上の感情は無し。
 
 やらかした。その一言に尽きる。

「サ、サリスさん大丈夫ですか!?」

 覚醒するとベッドの上。アンナは身体をゆっくり起こし、錬金術師ギルドの人を見上げた。どうしてそんなにも心配そうな顔で見ているのかと腕組みすると自分の腕がえらく細いことに気付いた。鏡を渡されたのでちらと覗くと、小さな子供が自分を眺めている。

「は? え?」

 喉から幼い声が出てる? アンナは察した。
 衣服は子供用に着替えさせられ、数人がずっと頭を下げている。

 なんと事故で被った錬金薬で、子供になってしまっていた。
 下肢を確認すると、察する。14歳以下、つまりヴィエラの性別がはっきりする前の年齢に変化しているらしい。あっという間に血の気が引くのを感じた。

「個人差はありますが数日で戻っていると思います! ただ結構な量頭から被ってしまったので……」
「いやまあいつか戻るなら気にしてない。……誰かに連絡した?」
「いえ、サリスさんの意識が回復してからでいいかと思い。荷物はギルドの方でお預かりしています」
「ありがとう。……ツテはあるから大丈夫。後から取りに来るね」

 介抱してくれたのであろう女性の手を振り払い寝台から降りる。

「絶対、暁には、ナイショでおねがい」

 アンナは人差し指を口の前に持って行き、ウィンクをした。大人たちはキャーと黄色い声を上げている。チョロいもんだとニィと笑った。
 とりあえずはレターモーグリーに頼むことにする。まずは手早く紙に一言書いた。そしてふわふわと浮かんでいるポンポンがチャームポイントの可愛らしい生物に小さく咳払いした後話しかけた。

「モーグリさん! お手紙送ってくださいな!」
「分かったクポ! 誰に送るクポ?」
「ガーロンド・アイアンワークス社にいるネロパパ!」
「そうなのクポ!? 誠意を込めて送ってあげるクポ!」
「なるべく急ぎで他の人に見られないように! えへへ、パパねー会社では私のこと隠してるから!」

 アンナはフードを被り血反吐を吐きそうになりながら子供のフリをしてレターモーグリに便箋を渡す。
 この奇妙な出来事を何とか現実として受け止めながらも流してもらえる存在が"彼"しか思い浮かばなかった。それはシドではない。なるべく多くの人にバレたくないのだ、あまり頼りたくない人間の1人だが仕方のない話だろう。
 まさか相手があの英雄であろうとはつゆ知らず。ふわふわ飛んで行くモーグリを見送りながら待ち合わせ場所に向かった。大丈夫、これだけバカみたいな嘘吐いたらすぐに飛んで来るさと笑う。



 ガーロンド・アイアンワークス社。今日もせわしなくシド含めた社員たちが働く中、ネロは休憩室でサボっていた。本当はまた自由になりたかった。だが、シドやメスバブーン(アンナ)を中心とした環境は数々の好奇心を満たす案件をもたらすのでつい残ってしまう。
 タバコをふかし物思いに更けていると目の前にポンとモーグリーが現れた。

「なンだこの白豚」
「クポー! ガーロンド・アイアンワークス社のネロさんクポね! お手紙どうぞクポ!」
「俺に手紙だぁ? 誰からだよ」
「娘さんクポ! 家族想いで意外といい人とは知らなかったクポー」
「アァ!?」
「と、とにかく渡したから失礼クポ!」

 こっちの話を聞かず手紙を押し付け逃げるように消える。「何言ってンだクソが」と呟きながらとりあえず手紙を開くと可愛らしい文字で短い文が記されていた。

【緊急 誰にもバレずにウルダハクイックサンド前に来い 可愛い娘より】

 紙切れをグシャリと丸め灰皿の上で燃やす。どういうことだとっちめンぞと言いながらコートを羽織り鞄に手を取った。

「ちょっとネロあなたどこに行くの!?」
「用事ができたから早退する」
「おいサボるな!」

 会長と会長代理の言葉を無視しチョコボを呼びウルダハへ走り出した。



 精一杯飛ばし日が傾くより前に何とか辿り着いた。クイックサンド付近を見回すとララフェルの男数人とフードを被った小さな物体が。

「お坊ちゃん迷子かい? おじさんが一緒に探してあげようか?」
「いやいやワタクシがご一緒しましょう」
「可愛いねえ僕」

 知ったこっちゃない。こんなクソみたいなイタズラ手紙送った首謀者は絶対にあのメスバブーンだ。遂にシドだけで満足できず俺にまで悪影響を与えに来やがった。どこにいるのかとため息を吐いているとフードを被ったガキがこっちを振り向いている。遠目からでも分かる位目を輝かせながら中性的な声でこう言いやがった。

「パパ!」
「アァ!?」

 小走りで抱き着いてきやがった。危うくもう少しずれていたら鳩尾に頭が激突する所だった。そして普通のガキよりも少し強い力で腕を掴み引っ張る。

「おじさんたち話し相手になってくれてありがとう! ほらパパ行こ!」
「エ、ちょ、おま」

 ポカンと見ている男たちを尻目にガキは同じく状況が理解できない俺を引っ張ってナル回廊へ連れて行かれる。
 程々に人がいない所でこのガキの首根っこを掴み怒鳴ってやった。

「テメエのことなンぞ知らねェ! ガキはとっととおうちでママのおっぱいでも吸って寝てろ! ……っておま」
「はー今日はツイてない。しかし時々は元軍人の固い腹筋に当たるのも悪くない」

 掴み上げフードを取り払うと長い耳。黒色の髪に赤色のメッシュ、赤色の目で褐色の肌。開いた口が塞がらず、血の気が引いて行くのが分かる。

「いやあネロサンならあんな血反吐吐きそうな手紙書いたら即飛んで来ると思ったよ嬉しいねぇ」
「メスバ、なに、ハ????」

 毒づいていた相手と同じ喋り方をしたガキはケラケラと笑っている。厄介なことに巻き込まれてしまった、そうとしか言えないと片手で顔を覆った。



「で? 錬金薬を事故でぶっかかってガキの姿に」
「そうそう」
「くだらねェ……ていうかナニしたらそンな事故起こンだよ」

 食事でもしようかとクイックサンドに連れて行かれ座らされた。周りの視線が痛い。ガレアン人とフードを被ったガキとなると異質に映るだろう。勝手に付いてきただけだと主のモモディには言っておいた。

「いやあ頼れる人間を考えたらキミしかいなくてねえ」
「ガーロンドや暁にでも言えばいいじゃねェか」
「いや暁はグ・ラハとアリゼーが怖いし。シドは……特にめんど、じゃなかった性犯罪者にしたくないなって」
「俺はいいってのかよ」
「まず子供になったボクに対して過大なリアクションをしない存在。そして秘密を守って匿ってくれる。発情しない。シドの動きをいつでも確認できる相手」

 アンナはサラダを頬張りながら順番に指を立てる。発情という言葉が引っかかるが何も言わず話を聞いてやる。

「その条件を満たせる知り合いって考えるとネロサンしかいないってわけ」
「呆れて何も言えねェ。つーかお前がガーロンドやグ・ラハらをどういう目で見てるかよく分かった」
「普段妄信的な目で見ているヤツらにキャーって言いながら抱きしめられたり着替えさせて来るのがイヤ。あとシドのヒゲ絶対痛い」

 なるほどナァとその情景を思い浮かべた。多分ガーロンド社に連れて行っても同じようなリアクションをされるだろう。兄もいるしそりゃ祭りになるのは想像に難くない。

「だから! ネロサン! いやネロサマ! 拠点あるでしょ? しばらく泊めて! おねがい!」
「イヤに決まってンだろ!? ガーロンドに殺されるわ!!」
「パパのいじわる!」
「俺はバブーンじゃねェ!!」

 ギャーギャー言い合っていると周りの視線が刺さる。舌打ちしながら座り直しため息を吐いた。

「家で大人しくするし料理も作るしその分のお金は色付けて出すから。キミはシドの動向さえ教えてくれたらそれでいい」
「なンでお前はそう変な方向に突っ切れるンだよ……」

 時折思い切りが怖いというシドのボヤキを思い出す。これは、ダメだと眉間にしわを寄せ天を見上げた。



 結局ガキになっても変わらないアンナのゴリ押しに負け連れ帰ることにした。
 まずは服を買いたいと引っ張られていく。今は冒険者ではなく庶民向けの服屋で下着等の選別を見守っている。

「服って子供の頃はもらったやつしか知らなかった。新鮮」
「ハァ」
「ネロサンもお金は後から出すから適当に服見繕って。今から錬金術師ギルド行く。その下の制服見られたら面倒」
「ハァ」

 目を輝かせながら言っている姿に『その姿の頃は可愛げがあったンだな』という言葉が浮かんだが仕舞い込んでおく。

「あ、お金は」
「領収書、名前はガーロンド・アイアンワークス社のシド・ガーロンド。ネロさンに苦労をかけさせたお詫びで頼む」
「え」

 着替えさせられ次は錬金術ギルドに向かうために帽子を深く被らされた。
 不審な目で見られながら荷物を受け取る。「パパ」と呼ばれながらただ心を無にして重い鞄を持った。こういうストレスを解消する手段は簡単で。「ほら次は食材でも買い込むぞ。あぁガーロンド・アイアンワークス社のシド・ガーロンドで頼ンだぞ」とヤツの名義で買い物するのに限る。今ここにいる2人の心が痛まない楽しい手段だ。

「こんなに買って大丈夫?」
「最終的に全てガーロンドに行くから俺は痛くねェ。単純だからお前が関わってるつったら許すだろ」
「……そうだね! シドチョロいし! 暇つぶしにほしいものがジャンク屋にあったからそれもいいかな?」
「いいぜ買ってやろうじゃねェか。経費かガーロンドの金でな!」
「ホホー……ヘッヘッヘッそういうのやってみたかったんだよねえ!」

 2人はゲラゲラと笑いながらウルダハの街に消えて行った。



 その後アンナの持っていた2人乗りマウントに乗りレヴナンツトール付近に降り立った。変形ロボットとはロマンが分かってンじゃねェかと言ってやると満面の笑みを浮かべていた。
 しっかりとフードを被せ、荷物は買ったデカいスーツケースに入れて引っ張る。多分体を折り曲げたら横で手を引いている子供も入るかもしれないとふと頭に浮かび上がった。さすがに犯罪でしかない思考なので置いておく。
 周囲を見回し、ガーロンド社で働き出してから拠点にしているアパートの一室に帰った。アンナは早速キョロキョロと見まわし部屋の設備を確認している。

「キッチン、よし。風呂トイレ別、よし。ベッドは1つか。まあ今の私小さいから2人行ける」
「おいおい俺はソファで寝るぞ」
「別に何も起こらない」
「バレたら殺されるつってンだろ!」

 主にシドとお前の兄にな! と心の中で呟く。そんな考えもいざ知らず「別にキミがヘマしなきゃ死なないよ?」と首を傾げた。お前、マジかという言葉を飲み込みながらキッチンに食材を置く。こうやってシドを本気にさせて行ったんだなという底抜けな無神経さに流石のオレ様でも引いてしまっていた。

「飯は当番制でいいだろ? 今日は俺が作ってやるから明日はお前がやれ」
「いいの? ていうかネロサン料理できるんだ」
「おぼっちゃんと一緒にされるのは心外だナァ」

 病み上がりみたいなやつなンだから座ってろと言いながら食材を手に取った。



 適当な料理を与えると意外なことに普通に食べた。いつもだったら一瞬で消える筈の食事が一般的な時間で胃袋に収まっている。さすがに大人のような暴れっぷりは発揮されないようだ。現在はシャワーを浴びに行っており、その合間にシドから怒りのリンクパール通信が来たので適当に受け答えする。

『だからお前は急にどこに行って』
「アー大丈夫だ。明日はきちンと出社して片付けるっつーの」

 扉が開く音が聞こえた。「スマンがありがてェ説教は明日な」と切断し、それと同時にタオルを頭に乗せパジャマ姿のアンナが現れた。

「通話中だった?」
「愛しの会長サマからの説教だぜ。何せお前のひっでェラブレターで飛び出したわけだからな。怒髪天なンだわ」
「あっそう」
「っておい何髪拭かずにこっち来てンだよ! 乾かしてからにしろ!」

 髪から雫を落としながら歩いているので注意した。するときょとんとした顔で「自然乾燥」と言うので「この野生児が」と頭を抱えながらドライヤーで乾かしてやる。

「耳に触ったら殺すからね」
「無茶言うな。イヤならその耳取り外せ」
「ふっ……耳だけにイヤと―――何でもない。そう言われると反論できないねぇ」

 何で俺がガキのドライヤーの世話をしないといけないんだ、ボソボソ呟きながら軽く乾かしてやる。途中から気持ちがよかったのか気の抜けるような声と一緒に長い耳が垂れ下がる。何かリアクションをするべきかと思ったが指摘したら怒りそうなので何も言わない。というか同じくヴィエラで兄のエルが髪を乾かしている時はこうならないぞどうなっているのかと考え込んでしまう。
 その後、今回のものも含め他に錬金術師ギルドにあった薬の効果について質疑応答を繰り返しながら時間を過ごす。そして夜が更ける頃に布団に投げ込み眠らせた。
 寝る前に小さな肩に触れてしまった。ひんやりと冷気が伝わる。

「うわ冷て。いやこりゃ意外と冷房代わりになるか」

 つい抱き寄せそのまま眠ってしまう。普段からこれ位大人しければという妙な考えを煙に巻きながら明日以降のシドやエルへの誤魔化し方を考えるのであった―――。

その2へ続く。


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#ギャグ

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注意漆黒5.0終了直後の話なのでふんわりネタバレ   旅人は星を見つけ…

メモ

メモ

20240304メモ
注意
漆黒5.0終了直後の話なのでふんわりネタバレ
 
 旅人は星を見つけるというようやく観念し、自分の想いと向き合おうとする話を書きましたのでそのあとがき。
 5.0メインストーリー終了直後のお話です。

 シドは旅人は奮い立たせたいで言い渡された宿題をアンナが第一世界に行っている間に解くためにネロとアンナの兄エルファーと共に命の恩人リンドウ・フウガの終の棲家へ再び訪れる話(技師は宿題を解きに行く)と妖精のイタズラで夢で繋がり話をする不思議な出来事("夢")を経て今回の話になります。
 アンナ自体は"夢"で余計なことまで喋っちゃったから会いたくねー!って思ってるけどまあ報告には帰らないとだめだよね。じゃあ石の家行ったら帰る! え? ガロ社行け? ……まあ今回も別次元とはいえ助けてもらった人たちだし行かないとね……。ジェシーに挨拶して逃げようって感情でした。まあ"宿題"とやらは早々に終わり夢で逢った後も準備をしっかり先回りしているので捕まるんですけど。

 アンナの新生から漆黒までのシドに対する感情を初めてしっかり公開しました。実はそのモノローグの中で書いてない話が一つだけあるのでそれもいつか出しておきたいですね。
 鮮血の赤兎がアンナになって初めて出会った時から無意識に一つの星を見出して、ガルーダ戦の前には感情がバグり散らしていました。お前を助けるのはボクだ、ボクだけ見ろというのが星芒祭での話で、それからどんどん歯車が軋みオメガでのやらかしに繋がります。そして別に約束覚えてないなら隙を見て消えてもいいんじゃない? と思ってたりもしてたし人の心が理解できていませんでした。というかこれで特定の感情持ってないですは嘘だろ!? ってなるのも仕方ないです。普通は本気にされるよ。

 それも全てかつて命の恩人リンドウがしていたことを真似していただけという認識なんですね。実はリンドウもそのアンナと同じ感情になってるんですけど。「私の教えは成長するごとに忘れて行き、自分の目で大切な人を見極めて全てを護る強き存在になれと言いたかった。頑なに孤独で旅をして怒りに任せて暴れるだけでなく世界を滅ぼすトリガーに利用されろとは言ってない」って感じで。手紙にそう書き残す位には後悔していました。

 その想いを受け取ったシドが"宿題"の答えとして「俺はアンナが好きだ。だからお前を絶対に獣にはしない。俺はお前が最大限の力を発揮するための道を示す、星になる。だから、もう無名の旅人にならなくてもいい。アンナ・サリスとして隣に立っていてくれ。"お願い"だ」という言葉を送りました。リンドウの手紙に書かれていた『私はアンナを獣にし、人々を絶望させるために全てを教えたわけではない。アシエンの手を今からでも振りほどき星空の知識を教えた思い出と共に自由な夜空を愛してほしい』という部分から取って来たんですね。基本的に仕事相手以外には不器用だけどここまではっきりと明示されたらピンポイントにツボは押さえてくれると解釈しています。



 リンドウとアンナの最終的な関係。アンナからしたら命の恩人であり、師匠であり、幼い頃の初恋で、厳しいが優しい血の繋がりのない父であった人。リンドウからは全てが枯れた後に育てた娘という認識でした。というか枯れてなくても年齢差が30位あるし友人の妹に手は出せないという考えがあったり。墓参りの話のネロとエルファーの会話をカットしているので明かされてはいないのですがリンドウは度重なる"実験"により欲だけでなく生殖機能まで失い子孫を遺せなかった存在なのでアンナは本当に大切な娘として刻み込まれ、そして"継承"させてしまいました。

 手紙に残されていた友人が準備した"奥の手"が"内なる存在"と呼ばれるもう一人のアンナになります。どうやって準備されたかはまた別の機会に。これが時々アンナの意識を乗っ取って今回の話に繋がって行きました。乗っ取る基準は"ダメージを一定以上喰らった時"、"気絶した時"、"ストレスが一定以上になった時"と一種の補助電源のような存在になっています。一度死にそうになってもこの"内なる存在"が動ける限りは少しだけコイツが生き永らえさせることが出来ます。しかし本体が本当に死んでしまうと体内エーテルが切れた地点でおしまい。

 例としては幼少期シドと出会った時ですね。この時は凍死しかけ"内なる存在"に切り替わり、帝国兵に捕まるのだろうかと悩んでる内に偶然通りかかったシドに助けられました。その時に会話したのが"内なる存在"のアンナ。なので星芒祭の夜に再会した時の"旅人さん"も"内なる存在"が演じています。確実にシドの記憶に残すためにアンナを騙しあえてやりました。策士ですね。元のアンナが単純すぎるだけともいう。
 というわけでその"内なる存在"がどう介入していたかというのを加筆修正しました。対象の作品はこちら。時系列準。

・本編前
旅人と赤色
・新生
旅人は過去を視る
・蒼天
星降る夜の奇跡の話―中―
・紅蓮
好奇心は旅人を起こす // 旅人は奮い立たせたい // 旅人は、目覚めさせる // 旅人と約束
・漆黒
旅人を闇は抱きしめる

 以上。あとは差し替え以降に書いてるので省略。この辺りは確実に"ボク"になっています。見分け方はボクと"ボク"で実際喋ってる時もイントネーションが違う感じになっています。出番数的にネロだけは違和感に気付いています。シドの前に出たのは星芒祭と初夜後と検証終了直後に少々だけなのでちょっと検証材料が足りない状態。

 これらに加えて漆黒の大罪喰いを全て倒した後以降ハーデス戦が終わるまで全部"内なる存在"が終わらせています。理由としては本体は内包された光の気持ち悪さにダウンしてしまい1人塞ぎ込んでしまったから。全部フラフラしながら"内なる存在"が片付けました。しかし塞ぎ込みすぎてかつては自分の中に大量に溜め込まれた闇を、今回は光を体内から排出させてくれたエメトセルクにお礼が言えず後悔しています。それに関しては「知らん」と語る"内なる存在"であった。

 閑話休題。これ以降はボズヤ、ウェルリトを経てアンナによるシドを知る旅編が始まります。リンドウと別れて以降初めて人に興味を抱いたアンナはそれを知り、自分がどういう感情を抱いているかを自覚しようと努力します。シドだけではなく周りからするともうとっくに一線も越えて想いを伝えあう以外は大体終わってるのに今更何を言ってるんだと思われてますが、アンナは人の気持ちを一切理解してこなかったので考える事にしました。
 というのもこれまでのアンナは徹底的に君を助けるんだやらナイスイタズラやら自分の気持ちを押し付けるようにしてたんですね。人がどう思ったか反応を見る前に立ち去るのがこのウサギでした。でもエオルゼアの人間たちは絶対にお礼を言いに来たりシドは追いかけてどういう技術使ってんだと説教したりと「何でボクに構うんだよこっち見ないでよ!」って思うようなことになっています。ばかですね。冒険者だからだよ。かわいいね。

 もうくっついた後の話も何本も書いてるけど本軸もゆっくり進めたりエルファーメインのリンドウ、ア・リスという存在が色々やらかしてる話もしっかり準備はしてるので読みたい方はまたよろしくお願いします。

 あ、あと初夜話なんですけどfullを下げてシド視点とアンナ視点で書き直しました。

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注意漆黒5.0終了直後の自機が人に"興味"を持ち始める話。シ…

漆黒,ネタバレ有り

#シド光♀

漆黒,ネタバレ有り

旅人は星を見つける
注意
漆黒5.0終了直後の自機が人に"興味"を持ち始める話。シド少年時代捏造。
 
 最初に抱いた感情は同じ帝国に狙われた可哀想な人。記憶を失い、現地民に疎まれ、更に祖国から追われている様に同情する目を向けることしかできなかった。陰気なやつだと思っていたが話をしてみると意外と優しい人間で気に入った。初めてもらった"道しるべ"を隠し持って、彼らを追いかけることにする。
 "彼"が記憶を取り戻した時、"彼"は"ボク"が護ると約束した人だと思い出してしまった。"彼"が歩む先の障害を排除する。大きな声で言えないがとても楽しかった。

 英雄という存在となったボクはいつも不安だった。それでも"彼"がいれば何とかなる、頼られるしもう少しだけ頑張ってみようかなと思うようになった。何よりも『絶対に生きて帰ってこい』、それは新たなボクを縛り付ける言葉。でも全然苦しくない。それどころか力が湧き出てくる。どうしてなのかは分からなかった。

 "彼"の前で、ボクは少しだけ自分を見せることにする。理由は簡単、キミを護る存在だということを分かって欲しかったから。
 何も考えたくなかったので過去のボクを完璧に捨てる儀式を"任せる"。忘れさせることで頼られれば、歩み寄り、必要無くなったならば表舞台から消えてしまえばいいんだ。思えばそれが一番の間違いであり、2人の関係を表す歯車が軋みだす瞬間だったのかもしれない。要するに"内なる存在"に嵌められたってことだ。

 いつの間にか、ボクを見る"彼"の目は熱く焼かれそうなほどのものに変わっていた。でも、真っ白な自由の象徴である彼の隣に立つ存在は、もっと綺麗で護りたくなるような人間がいいに決まっている。誰に対しても優しいあなたの心を乾かさないために、ボクは助けを求められるまま存在していればいいんだよ。
―――ボクは幸せになるべきではないし人を幸せに出来るはずがない、そう思っている。だから、だからボクにそんな目を向けないで。

 初めて身体を重ねた夜、ここで白い"彼"の内面をドス黒く染めてしまっていたことに気が付いた。どこで間違えてしまったのか、ボクには分からなかった。
 これ以上は、ダメ。キミと幸せを共有できる人間はこの広い星空に沢山存在する。その星々ごと、護らせてほしい。ただそれだけで今のボクは救われるんだ。
 どうやらボクがやってきたことは人を勘違いさせるただ無償の愛を降り注ぐだけの行為だったらしい。違う、ただその星に光が灯されていればいい、そう思っていただけだよ? かつてのフウガと同じことをしていただけだったのに、何でそんな顔をして、ボクを見てるの?

―――だってキミはボクより遥かに早く死ぬ人間なんだよ? キミが死んだ後、どうしたらいいの? 一生想いを引きずって苦しんで最期は発狂して死ねって言いたいのかい?
 そんな余計な感情を抱くくらいなら。フウガの教えの通り名も無き旅人で居続け、全てから逃げ続ける方がマシなんだよ。だから、その手を離して(ボクを助けて)抱きしめないでよ(嫌いにならないで)

 原初世界でのにぎやかさに対し第一世界では、"孤独"だった。いや、仲間や"内なる存在"はいる。嫌味を言いながらもフォローに回る敵か味方か分からない存在もいた。この世界の住人もとても優しくて、眩しかった。でもボクの心は乾き、溢れる光を身体に取り込み続ける。
 どこがゴールか分からぬまま、とにかく走り続けた。それは長い間やってきた旅と同じ筈なのに、空虚で悲しい気持ちに支配され壊れそうで、それでもボクは足掻き続けた。

 全ての大罪喰いの光を喰らった後、意識が真っ暗になった。ハッと気が付くとあの男を消滅させ、世界の滅びも一次的に回避できた"らしい"。
 自分の身を挺してまで光を吐き切らせたアシエンを、ボクはどう思っていたのだろう。―――そうだ、この人も命の恩人だった。かつては闇を剥がし、次は光を剥がしたボクの中にあるナニカを見出した可哀想な人。どうか安らかに、星になっていて欲しい。

 仲間たちから一度原初世界へ報告しに帰れと言われた。正直、あの夢での件もあって少々会いたくなかった。だって答え合わせをする前に答えを出してしまったようなもので。しかしそれを誰かに言えるはずもなく、仕方ないから石の家で報告してからすぐに戻ろう。
 タタルに「ガーロンド・アイアンワークス社に顔を出してあげてほしいでっす! 皆会いたいって言ってたでっすよ!」と言われた。まあ今回霊災を回避できたのは別の時代の彼らなのだ。感謝を告げてからシドと鉢合わせする前に戻ってしまえばいいだろう。足取り重く護るべき者たちがいる場所へ向かった。



 足取り重くガーロンドアイアンワークス社に訪れるとシドから逃げていたはずのネロが立っていた。

「あれ、ネロサン。逃走生活終了?」
「なンだお前帰って来てたのか。……珍しく辛気臭ぇ顔してンな」

 そうだよだって休みなしで世界救ってきたしと肩をすくめて見せると「おつかれさン」とニィと笑っている。

「で? 他の世界には何か珍しい技術でもあったか? またレポートに纏めろよ」
「キミはねぇ……あったよ。時代と次元の跳躍とかいう現実感のないすっごいのがね」
「ヒヒッそりゃよかったことで。そんなモン作った天才に是非ともお会いしたいナァ」

 その内の一人はキミだよと言いたい気持ちを今は抑え笑顔を向ける。

―――この時のボクは何故わざわざネロがここで待ち構えていたのか、その意味を察しないまま逃走準備を進めていた。ここでやるべきはテレポだったと思う。

「まあボクは元気ってシドに伝言よろしく。別の時代の君たちのおかげでボクは死ななかったんだ。いやあこう戻って来ても暁の皆は第一世界から帰れないままだし。皆で手がかりを探してる所」

 手を上げ、踵を返す。「おいメスバブーン待てよ! 止まった方が自分のためだぜ?」という言葉を無視し、顔を上げ入口を見るとジトっとした目で仁王立ちしたシドがいた。

「はい?」
「お前さんやっぱり逃げる気だったか」

 ワンテンポ反応が遅れた隙にいつの間にか手に持っていたバズーカのようなものがボクに向かって撃ち込まれる。それは強力な網のようなものであっという間に捕らえられ倒れ伏せてしまう。ネロを見やるとニィと見下しており、「ま、まさかネロサンもグル!?」と言ってやると「だから言ったのになァ!」とゲラゲラ笑いながらどこかへ行ってしまった。軽々と持ち上げられ担がれていく。
 出会う社員たちに「アンナさんおかえりなさい!」やら「よかったですね会長!」やら罰ゲームのような雰囲気を味わう。力を込めても全く切れそうもない材質って何だよと思いながらなんとか指を網に向け「バァン」と火で穴を開けようとすると網全体が熱くなる。

「あっつ!?」
「アンナお前何やってるんだ!? 熱っ!」

 シドも思わず手から落としてしまうほど熱くなった網をバタバタと暴れるがびくともしない。

「我が妹!!」

 その時扉が勢い良く開き赤髪のヴィエラが飛び出してきた。シドは唖然とした表情で見ている。

「兄さん!?」
「駄目じゃないか! その網は僕が焦がしたらあっさりと切れてしまったからその反省点を生かして改良したんだよ。まさか妹の身体を火傷だらけにさせてしまう機構になるとは思わなかった、嗚呼可哀想な我が妹よ。うん、そこは反省している。よし反省会終わり。これは次回以降の改善点にしておくとして。じゃあ冷ましてやるから待ってろ」

 懐から何やら金属片を持ち出しそれを当てるとあっという間に冷たくなった。

「え、あ、ありがとう兄さん」
「ところで妹よ、僕は今ここにいるのは妹には秘密にしてるんだ。だから内緒な」
「うん? ……うん、分かった」
「おつかれ、よく頑張ったな」

 頭をぐしゃりと撫でられそのまま兄はどこかに去って行った。そっか内緒にしておかないといけないな。そう思ってると怪訝な顔をしたシドは再びボクを持ち上げて部屋へ運ぶ。抵抗する気も失せた。自室に連れ込まれた後その網を切り、笑顔を浮かべていた。

「さあアンナ、"宿題"の答え合わせをするか」



「怖いよな、失うことって。リンドウも自分の刃に大切な人を巻き込みたくなかったから逃げていたんだ」
「はぁ!? キミに何が分かる! フウガはそんな腰抜けな人間じゃない! ……ってあっ」

 最初に口に出したのはまさかのフウガの悪口。つい感情的に言い返してしまったことに気が付き口を閉じる。シドは優しく笑っていた。

「いいや、あの人は今のお前のように全て怖くなったから逃げ出して感情を封印してたんだ。―――俺は絶対、お前の目の前で死ぬさ。ああ決められた寿命ギリギリまで生きて死んでやるって約束する。でもお前は、俺の目の届かない所で死にたいんだろ? 死に目にも立ち会えず、苦しめって言うのか?」
「それは、だって私は沢山の人に恨まれて、苦しむんだからそれを誰にも見せたくないからで。どうせ先に死ぬキミが苦しむことなんて―――」
「俺も一緒に背負う。見て見ぬふりなんてしない。刃は1人でに動かないだろ? 整備も必要だし、それを行使するヒトも必要だ」
「ダメ! キミは自由で。キレイで。皆の前に立って。笑顔で幸せな所を見せて。そして私がキミを護らせてくれたらそれでいい。私を、そんな目で見ないで」
「俺は綺麗じゃない」

 頭をくしゃりと撫でられ、額をこつんと合わせる。

「俺はアンナが好きだ。だからお前を絶対に獣にはしない。俺はお前が最大限の力を発揮するための道を示す、星になる。だから、もう無名の旅人にならなくてもいい。アンナ・サリスとして隣に立っていてくれ。"お願い"だ」

 シドがボクの手の甲に口付け笑いかける。朧げな記憶の中に残っている寒空の夜と、逆の姿。星、そうだボクは星を探していた。熱く光り輝く星を、ずっと。"彼"の目に宿る星を見る。ボクはザナラーンの星空の下でこの星を見た時、気に入ったと思ったのだ。

「ねえシド、本当に私は人の隣に立つ資格はあるの? いっぱい、捨てて来たしキミも捨てようとしたのに」
「だってお前ずっと俺のこと好きでいてくれたじゃないか」

 は? この男は何を言っているのだろうか。ボクが特定の人間に感情を抱くわけがない。それがフウガの教えで。でも。

「お前も俺も、もう相手無しで生活なんてできんさ。観念しろ」
「そう―――かもしれないねぇ」

 温かい手を握り、目を閉じた。反証する材料が手持ちに一切存在しない、いい加減観念するべきだろう。だがそのための材料も足りない。

「でも感情に関してはもう少し待ってほしい」
「この段階まで来て何を」
「あなたに興味が湧いたんだ」

 キミはボクなんかのことを頑張っていっぱい探してきて結論を見つけたかもしれない。でもボクはキミのことは何も知らないんだ。ただたくさんある星の1つを愛でていたにすぎない。

「あのね、私はあなたの歩んできた道は一切知らない。興味なかったから」

 魔導院時代の話も、後見人だったガイウスとの因縁も、その脇腹の銃創の意味も。父親を失い亡命するきっかけになった事件もこれまで一切興味が湧かなかったのだ。

「今教えなくてもいいよ。私だって自分の足で探したい。その旅が終わったら、即結論は教える。だから―――」

 口付けてやり、少しだけ屈みその相変わらず分厚い胸板に頭をぶつける。汗と機械油の匂いにボクは"ここ"に帰って来られたんだな、と安心した。それに、さっきから少々人に見せられない顔になっているだろう、恥ずかしいんだ。

「第一世界は、1人で怖かった。そんな世界を頑張って救って帰って来たんだよ? 労ってくれてもいいじゃないか。兄さんやネロサンと違って帰って来るなり答え合わせとか言い出してさ。そんながっついて来ないでよ。子供か」
「あ。す、すまん」

 頭に温かな手が置かれる。そこでボクは声を出しわんわんと泣いた。こんなに泣いたのは、フウガの前で崩れた時以降一切なかった。

『蒔いた種はようやく実りやっと一歩前進、か。遅すぎ』

 内なる存在の声が聞こえた気がした。意味は理解できなかったが今のボクの感情に対して邪魔をする気はないらしい。

『泣け泣け。奴しか見てないんだからさ』

 温かさに包み込まれながらボクはこの世界に戻って来られた喜びを噛み締めた。



 声を出して泣きじゃくる彼女の頭を撫でてやる。確かに労いの言葉もなしにこっちの言いたい事を投げ始めたのは悪かった。早くしないと"また"逃げられるかもしれないと慌てた想いが先行してしまっていた。
 第一世界で何があったかはまだ話をしていないかは分からない。夢で見た地点で参っていたのは分かっていたが、相当精神的にも肉体的にも限界が来てたらしい。素直に一緒にいた暁の血盟の人間に助けを求めたらよかったのにと肩をすくめる。しかしそれを覚えてしまったら自分の所に来る頻度が減ってしまうじゃないか。そう考えると今のままでもいいかもしれない。
 しかしキスを交わしこうやって弱音を吐いてまだ感情を抱いてませんこれから考えますは嘘だろ? と思ってしまう。既に一線は越えているしあと何が必要なのかと聞きたくなるが流石に喉元で抑えた。

「おつかれさん」

 顔を上げさせ、彼女の顔を見つめた。頬を赤らめ、涙が溢れる目にいつもの余裕ある笑顔はなく弱々しい声で「見るなぁ」と言っている。

「ゆっくり結論を探せばいい。どうせお互い多忙で滅多に会えない関係なのは変わらないからな」

 そうだ、自分たちはそれぞれ周りに求められている存在だ。今までも何とか時間を作り逢瀬を重ねてここまで来た。それはこれからも変わらないだろう。強く抱きしめ、久々の冷たさを味わった。


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#シド光♀

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注意・補足煙草にまつわる漆黒以降のギャグ概念。リン:レフの旧友にしてアンナの命の…

漆黒

#エルファー関連 #ギャグ #即興SS

漆黒

"煙草"
注意・補足
煙草にまつわる漆黒以降のギャグ概念。
リン:レフの旧友にしてアンナの命の恩人であるリンドウ・フウガの愛称。アンナが34歳になるまで一緒に旅をしていた。
龍殺しの:リンドウの二つ名。ガレマールで戯曲化もされた東の英雄。欲のない無名の旅人。
 
 納期は間近。またギリギリになる可能性も高いが"普段よりかは"間に合うだろう、シドは頭を晴らすために休憩室で1人電子タバコを吸う。味が好きなわけではない、ただ〆切が近づいた時にその煙をぼんやりと吸う。アンナは毎回「邪魔になるね」と言い5日程度連絡を一切交わさない。つまり合間の気分転換先がないのでこうやって一服することがあった。
 ふと扉が開け放たれネロとレフがやって来る。シドの顔を見るなり「うわ酷い面だな会長クン」と言うのは失礼極まりない。変わらないだろうとジトリとした目で睨むとレフは口元を上げた。
 ネロが1本煙草を取り出すとレフはパチンと指を鳴らし火を灯す。横に座り副流煙を味わう姿に「お前は歩くライターか」とぼやく。

「僕も吸ってもいいんだが普段持ってる奴はネロに止められてね」
「お前が吸うシガーは慣れてねェやつが匂い嗅ぐだけで下手すりゃ業務に支障が出ちまうンだわ」
「何吸ってるんだお前……」

 どうやらレフは故郷特有の特殊な葉巻を持っているらしい。ネロによると相当"脳にクる"ものだという。確かにこの時期にそんな匂いのものをぶち撒けられたら仕事に影響が出てしまうだろう。

「そういやお前メスバブーンに煙草のこと言ってなかったンだな」
「アンナはこういう時期は絶対来ないからな。何か言ってたか?」
「へーだってよ。興味なさそうだったぜ」

 知ってたとシドは肩をすくめたがレフの言葉に固まる。

「まあ別に妹は煙草自体に嫌悪感はないだろう。リンもアリスもヘビースモーカーだったし。慣れてる文化だろうからスルーは仕方ないだろうな」
「は?」
「そういや蒼天街で火ィ点けてもらった時だいぶ手慣れてンなとは思ってたが」
「子供に火を点けさせるのは流石にしてないと思いたいが妹の方からやってた可能性はあるな」

 シドはしばらくの沈黙の後ふと立ち上がる。「おい仕事戻ンのか?」とネロが問うと「ちょっと、アンナの所に、確認を」と眉間に皴を寄せボソボソ呟くのでギョッとした顔で2人がかりで押さえ込む。

「離せネロ、レフ! 俺は少し確かめに行くだけだ」
「やめとけ!」
「疲れで頭おかしくしてンじゃねェぞ!」

 ジェシーの「会長早く仕事に戻ってください! ってネロもレフも大人げなく何やってるの!」という怒りの声が響き渡るまでこの騒ぎは収まらないのであった―――。



 後日。

「あ、ネロサンじゃん。煙草? 抵抗なし。でもあまり慣れない匂いが付くと戦闘に支障が出るから吸わない」
「アーそういう方向か。煙草の匂い如きで調子崩すってのはちと分かんねェが」

 アンナの言葉に肩をすくめる。それに対しはにかんだ笑みを見せた。

「うんちの臭いで集中できないのと一緒。あーでも昔命の恩人が吸ってたやつはとってもいい匂いで阻害はされないかも」
「はー龍殺しの。ていうかクソと対比すンじゃねェよ不味くなンだろが」

 軽く小突いてやるとニィと笑っている。アンナは思い出すように口元に指を寄せた。

「たまにキセルとかも見せてくれた。そういうコレクションが数少ない趣味だって。そういえば終の棲家には見当たらなかった。捨ててるかも」
「見たかったかもな。意外と知り合いにあげてンじゃね?」
「なかなか価値がありそうだから売ったとかもありえるだろ」

 アンナは軽くため息を吐き「話題が逸れた」と切り替える。優しい笑顔を見せ語った。

「うーん銘柄不明だし20年程度の旅な記憶だから大人の味への憧れって記憶補正の可能性。実はクールに煙草吸うヒゲのおじさまが好きでね」
「ハァ。ていうか20年一緒に旅してたとか初耳だな。なあガーロンド」
「お前が男の趣味を語るなんて珍しいな。俺も初めて聞いたぞ」
「そう? キミと同じ年まで一緒に旅してたよ。そうだねえ、聞かれてないから言うわけないじゃん。―――あ、シドには内緒。面倒な未来しか見えない。ってうわシド偶然」

 いつの間にかアンナの横にシドは腕組みをし立っていた。いつからいたのかと顔を青くしながら聞くとネロは「だいぶ序盤からいたぞ」と爆笑している。シドはガシリと腕を掴み笑顔を見せているが目は笑っていない。

「よおアンナ、元気そうに話してるじゃないか。で、うわとか面倒ってどういうことだ?」
「いや今のはその。面倒? あなたの聞き間違い。あ! 用事思い出した! じゃ!」
「お前昔『フウガとは成人してから少し後までしかいなかったよ』って言ってたよな?」
「え、そ、そうだっけなあ。いやヴィエラの成人って何歳なんだろーハハハ」
「きっちり聞かれてンじゃねえか。お前本ッ当に学ばねェな」

 ネロは火元から逃げるようその場からそそくさと立ち去って行く。また「待てネロサン、キミがいないとシドの説教の度合いが変わる!」というアンナの悲痛な叫び声が響くのであった。


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#エルファー関連 #ギャグ #即興SS

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注意・補足森の名を知りたいシドと全てを教えたい自機のギャグ概念です。レフ:エルフ…

漆黒

#シド光♀ #ギャグ

漆黒

"名前"
注意・補足
森の名を知りたいシドと全てを教えたい自機のギャグ概念です。
レフ:エルファー・レフ・ジルダ。アンナの実の兄。笑顔がヘタクソ。妹に負い目を感じている。
ア・リス:アンナが雇った新人リテイナー。エルファーの友人と似ているらしいが…?
リン:リンドウ・フウガ。アンナの命の恩人にして旅の始まりにして元凶。不器用で感情表現が下手な枯れた男。20年前には死んでる。
 
「アンナ、そろそろ名前教えてくれてもよくないか?」
「はい?」

 シドの一言が今回の長い戦いの始まりだった。

「もしかしてボケ始まったやつ? アンナ・サリスさ」
「違う。それは今エオルゼアで名乗っている"街の名"だろ? ていうか今ボケとか言ったか?」
「おっと口が滑ってしまった。―――それでいいじゃない。今の私はアンナだよ」

 アンナ・サリスは彼女がエオルゼアに来てから咄嗟に名乗ったものだ。生まれた時に付けられた名前ではない。集落で名乗っていた生まれながらの名前は"森の名"と言うらしい。ヴィエラの女性は部族名がファミリーネームと聞いている。なのでエルダスという所までは把握しているのだが、そのファーストネームは未だに不明なままであった。

「その、好きな人間のことは全て知りたいに決まってるだろ? 普段呼ぶ呼ばない関係なく」
「そういうものなの?」
「そういうものだ」
「ふーむ全てを知りたい、ねぇ」

 しばらく考え込む姿を見せる。「よし」と呟きアンナは口を開く。

「ネリネ」



「レフ」
「おや会長クンじゃないか。どうした?」

 シドは小走りでアンナの兄であり、社員として働いているレフに話しかける。

「アンナの"森の名"って知ってるよな?」
「勿論。実の妹なんだからな」
「ネリネ」

 その単語にレフは首を傾げる。シドは反応を見てため息を吐いた。

「違うんだな?」
「違うな」
「教えてほしい」
「本人から聞き給え。答え合わせはしてやろう。僕以外に判断要素がないだろうからな」

 やれやれと肩をすくめる姿にシドは拳を握り、「絶対に聞き出してやる」と闘志を燃やしている。
 近くでコーヒーを啜っていたネロは呆れた目でその風景を見ていた。



「アマリリス」
「……違うな」
「ダリア」
「かすってもいない」
「カリス」
「文字数も違う」
「ガーベラ」
「一文字もないな」
「ルディン」
「ない」
「スピネル」
「全く違う」
「ガーネット」
「ソル帝の前で名乗ってたやつじゃねェか?」
「確かに」
「ベリル」
「もう4文字の名前が出るまで僕に聞くな」

 直接会った時、リンクパールで連絡した時、一緒に食事に行った時。数々の逢瀬で聞き出してはレフに尋ねに行く。そういえば珍しくリンクパールを常に付けていたりレヴナンツトールに滞在を続けているなと考えがよぎる。だが全く真実に近付きそうにもない状態にシドは歯ぎしりをする。どうしてそんなにも躱そうとするのか、本当に嫌なのならばはっきりと断ればいい。その筈なのに延々と偽名を口に出すのは意図が読めない。ため息を吐いた。



「おっ今日もいいもの持って帰って来たぜご主人!」
「ご苦労様、ア・リス」

 アンナははにかみ最近雇ったリテイナーである金髪ミコッテの青年から掘り出し物を受け取る。今日は奇妙な歯車と食材のようだ。お礼を言いながら再び給金代わりのスクリップを渡そうとするとア・リスは首を傾げる。

「ナァ最近シドのダンナ機嫌悪くね?」
「まーたどこで覗いてるのかな? 名前教えろって言われたから教えてるだけだよ」
「森の名をか? 教えりゃいいじゃん」
「あっさり言ったらコミュニケーションが終わっちゃうよ?」

 ニコリと笑いながらアンナはこれまでシドに教えた名前を挙げる。

「これらはね、昔名乗っていた街の名なの」
「そんなにあんのか!」
「まだまだあるよ? 何せ50年程度は旅して街や地域ごとに変えてたんだからいっぱいあるさ」
「……それダンナには街の名だって言ってんの?」
「言ってないよ?」

 ア・リスはうわぁと言葉を詰まらせた。それに対しアンナは首を傾げている。「何か問題でも?」と言うとア・リスはいやいやと言いながら肩を掴む。

「そういうのはちゃんと先に言っとけ。それでいつも痛い目に遭ってんじゃねえか」
「? 向こうがこれが森の名だなって思ったらそれで終わりでもいいよ?」
「後から面倒になるやつじゃん!」
「いやボクもそう思うんだけどね。"全てを知りたい"なんて言われちゃったらさ」
「俺様は忠告したからな? どうなっても知らねえぞ?」

 へへと顔を赤らめながら改める気のないアンナの行動に呆れた目を見せながらアリスはパタパタと走って行った。アンナは首を傾げ逆の方向に歩き出した。



 数日後。

「レフ! ……フレイヤか?」
「おっ会長クン大正解だ。よく頑張ったじゃないか」

 よしと拳を振り上げ喜びを隠しきれないシドをレフは口角を上げ笑っているような姿を見せる。

「やっと教えてもらえたんだな?」
「まあようやく街の名のストックが切れたとか言って教えてくれたさ」

 お前に申告なしの名前だけでもあれから20個くらいあったがなと疲れた切った表情を見せている。レフは「そうかこれまでの街の名だったのか」と頷いている。その後指を突き立てる。

「貴重な妹の過去を聞けたから嬉しい。じゃあ次に君も気になるお題を出そうか」
「何だ? また時間のかかりそうなものは嫌だからな」
「サリスの由来、聞きたくないか?」

 その言葉にシドは目を見開く。「そういえば、どこから出て来たのか知らんな」とボソボソと呟いている。

「じゃあ今聞いて来るか」
「おう行ってこい行ってこい。それに関しては僕も正解を知らないからな、ゆっくり教えてもらったらいい」

 シドは小走りでその場から去って行く。ネロは怪訝な顔をしてレフに近付く。

「ネロ、サリスというのはリンの父方のファミリーネームなんだ。フウガは母方のだって昔聞いてる」
「ゲッ、知ってて行かせてンのか」
「勿論。まあ偶然の一致かもしれんからな。念のために聞いててほしいと思ってね」
「いやガーロンドの地雷じゃなかったか? メスバブーンの命の恩人関連ってよ」

 レフは勿論知っているとニコリと笑う。シドにとって命の恩人(リンドウ)に関わる話は露骨に機嫌が悪くなる"地雷"な話題だ。アンナは何度がポロリと話してしまい「やっべ」と溢す局面に遭った。

「1週間位惚気のダシに使われて僕は疲れてるんだ。君だってそうだろう? ガーロンドくんより先に知ってる身からしたら結構苛ついてたよな。タバコ増えてたし。―――まあ少しくらい妹の躾を行っても罰は当たらん。あと僕の予想だが最初に聞いてきた時の街の名"ネリネ"はアリスとリンのクソ野郎2人が付けたやつだと思ってるよ。姫彼岸花、リンドウと同じ秋の花の名前だ」

 ネロの乾いた笑い声にレフはウィンクのつもりなのか目を閉じて口角を上げている。片目は髪で隠しているから分からないのだが本人は気付いていないし多分出来ていないだろう。
 数分後、シドの「待て逃げるな!」という怒鳴り声が聞こえ、「アンナ逃げやがったぞ! アレは絶対リンドウ関係だ!!」と駆け込んでくる姿に対し「ほらな」と腕組みするレフの姿があった。

 この後1週間程度アンナとは連絡を取れなくなったという。しかし事前に石の家へ行き根回しをし、何とか捕獲された。



「ほら言ったじゃねえか。痛い目に遭うぞって」
「だって……だってぇ……」

 捕獲からの"お話"から何とか逃げ出し、楽しいんだからしょうがないじゃん! という開き直る姿に偶然通りかかったア・リスはため息を吐く。直後真面目な顔を見せ、ボソリと呟く。

「人間って残酷だよね。1を知れば100が欲しくなる、貪欲な生き物だ」
「あっさり森の名教えてりゃ今のファミリーネームの由来なんざ聞かれなかっただろ」
「ぐ、ぐぬぬ」

 言い返せない様子にア・リスはニャハハと笑う。アンナは絶対に言えなかった。当時適当に頭に浮かんだから名乗ったものの、後に振り返ると命の恩人(フウガ)のファミリーネームと一緒だと気付いたことを。これを素直に言うとどうなるか、想像するだけで怖い。
 ふと人の気配を感じるとア・リスは耳をピンと立て全速力で走り去って行った。アンナは「あれ?」とキョロキョロ見回していると背後から肩を叩かれる。石のように一瞬固まる。慎重に振り向くと笑顔のシドの姿が。

「アンナ、話は終わってないからな?」
「へ、へへっ、シドの旦那、仲良くしやしょうぜ……」

 教訓。故郷が関係することの話題は早急に事実を伝え終わらせよう。そうアンナの胸に刻み込まれるのであった―――。


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#シド光♀ #ギャグ  

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