FF14の二次創作置き場
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No.85
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漆黒5.0中盤辺りな時間軸。シド少年時代捏造
「おいガーロンドどこに向かってンだよ」
「あと少しで近くに着くはずだ」
飛空艇でクガネに降り立った後ハヤブサに乗り大空を飛んでいた。しかしいつまでも言わずにいるのも2人を苛つかせるだけだろう、前にアンナと共に墓参りに行った話をする。初恋と称された命の恩人と呼ばれている男の終の棲家だったんだと言うとエルファーは驚いた声を上げた。
「妹の恩人の墓参りに行った!?」
「そうだ。そこで見かけたやつに既視感があってな。ネロ、確認してほしい」
オレにだぁ? 素っ頓狂な声が響く。
「それにレフも無関係ではないぞ。"無名の旅人"と自称する現在のアンナ全てがこの人きっかけなのさ」
そう、『ボクの呪いを解けるもんなら解いてみな』という言葉の意味は絶対にリンドウが持っている。
対してネロはため息を吐いていた。
「お前、本当に安価な娯楽に興味なかったンだな」
「どういうことだ?」
「予想が正しけりゃ見たら分かる」
ネロの中では心当たりはある。てっきり帝国に足を踏み入れたことがあるアンナが何やらの手段で入手した"東方風牙録"という書物の影響かと思っていた。だが聞いた範囲ではそうではないらしい。苦虫を嚙み潰したような顔を見せた。
◇
3人は山に囲まれた集落付近に降り立った。「同じような風景で飽きるな」とネロは嫌味を言っているがエルファーは無視してシドに尋ねる。
「ここに行ったのか?」
「もう少し歩くんだがその前に挨拶をしようと思ってな」
想定していたよりも栄え、どこか懐かしい雰囲気を見せる村に辿り着く。うろついていると1件の民家の前に黒髪の青年がいた。シドは「テッセンさん」と手を上げながら挨拶をしている。
「あなたはエルダスさんといた。あの時は申し訳ございませんでした。まさかガーロンド・アイアンワークス社の社長さんとは思わなくて」
「そんな改まらなくてもいい。それよりまたあの絵を見せてほしいんだ」
「構いませんけど後ろの方は……ガレアン人の方と、もしかしてエルダスさんの関係者ですか?」
ネロは眉間にしわを寄せる。解放されたとはいえ元々はドマは帝国により占領された地だ、怪訝な顔もされるだろう。どうも思わないがわざわざ言われると少しだけ苛ついているようだ。
「ああ2人共ウチの社員さ。コイツはネロで、あっちはレフ、アンナの兄。俺も生粋のガレアンだから考える所があるかもしれんが悪いことはしない」
「お兄さんでしたか! お会いできて嬉しいです。―――ここは大丈夫ですよ。幸い帝国の戦禍は免れ、平和な場所でした。ただ、ドマが解放されてから久々に見たなというだけで。それに祖父は……いやこの話はいいでしょう。とにかく申し訳ありませんでした」
「まあ無名の旅人の墓があンなら熱心なやつは通ったンだろうな」
さてご案内しますよとテッセンは歩き出す。シドは首を傾げて「どういうことだ?」と聞いている。
「オマエ本当に"龍殺しのリンドウ"って知らねェのか? はー安い娯楽に興味のないおぼっちゃんは困るなァ」
「―――リン、ドウ?」
ネロも歩き出す。シドも追いかけようとするがエルファーはその場で止まったままだ。「おいレフ行くぞ」と声をかけると「あ、ああすまない」とゆっくりと一歩踏み出した。
山道を歩き、開けた場所に辿り着く。そこには小さな小屋と石碑がある。シドの記憶通りのリンドウが最期に過ごしたという終の棲家だ。
「おいおいさっきこの辺り通ったけど上からじゃ何も見えなかったじゃねェかどうなってンだよ」
「だよな。アンナも迷子で彷徨うわけだ」
そういうわけじゃねェと言おうとしたが置いておこうとネロはため息を吐く。道中この男の話を聞いた。名はテッセン・フウガ。リンドウの孫にあたる人間らしい。彼の父が元気だった頃はよくガレアン人を中心に帝国兵が墓参りに来ていたのだという。略奪物もあるであろう大量のお供え物が持ち込まれ、更に最新の技術を導入した宿泊施設を共同で作られた。そして亡命してまで住む者まで現れ、他の地域とは異色の文化を持っていった村は周りから相当疎まれていたらしい。それ程まで祖父は帝国で有名だったのかという質問に対しネロは答える。
「そりゃ"東方風牙録"ってベストセラーが出てたンだぜ? 舞台化もされてオレも観に行ったさ」
「そうだったのか。全然知らなかった」
「はーいい所のぼっちゃんはこれだから困る。木の棒1本を妖刀のように輝かせ龍をバッサリと倒した元英雄とその弟子の少女が各地を旅するって話だったか。―――ンで、だ。その絵画を見せてみろよ」
テッセンは小屋の鍵を開錠し、箱の中から絵画を取り出した。ネロはじっと見つめ肩をすくめる。
「初代皇帝のコレクションにあったな」
「やっぱりか。見覚えあると思った」
槍を持ったヴィエラの少女と、銀髪の侍がオサード地域を旅する絵画は見覚えがあった。魔導城に飾られていた属国から献上された芸術品の一つ、と記憶している。
「で、この赤色ヴィエラがメ……アンナだったってわけか? ハッ傑作だね」
「帝国にあるのはおかしいですよ。これは祖父が依頼して描いてもらった世界に1点しかないもので」
「そうなんだよ。だから俺も自信がなくてネロを連れて来たんだ」
「―――ザクロ、柘榴石、ガーネットってことかよ。何であン時気付かなかったンだオレは」
ボソボソと呟きながら頭をガリガリと掻き、アンナに見せられた手紙を思い出す。その時だった。これまで静かだったエルファーは立ち上がり出口へ向かう。
「エル?」
「ちょっと外の空気を吸ってる」
そのまま扉を閉めた。変なやつと眺めているとテッセンが再び箱の中をまさぐり封筒を手に取った。
「エルダスさんが帰った後に思い出したんですけど祖父が彼女宛に手紙を残していまして。読んでみませんか?」
「オレたちが見てもいいのか? 本人怒ンだろ」
「……正直言って私では渡していいかも分からないものでして」
「アンナのことを知りたくて来たんだ。貸してほしい」
「おいガーロンド」
シドはその手紙を受け取り広げる。ネロも覗き込むが東方の文字に加え達筆で何と書いているか分からない。苦笑しながら「その、力強い筆跡すぎて、な」とテッセンに返す。すると笑顔で「ああ、それでは読み上げますね」と内容を語る。
―――それは2人にとって衝撃的な話であった。
まずは別れた直後、アンナの身に起こった水難事故で死んだと思っていたが生きてここに来たことに対しての喜びの言葉が綴られていた。その後は後悔と謝罪が延々と書かれている。
自分でもどういう理屈で出来るのか分からない不完全なものを殺しかけてまで伝授してしまった。それが世界の崩壊のために利用されつつある絶望。この住処に訪ねて来たアシエンという存在の言葉は全く信じられなかった。だが、目の前で大切な絵画を複製するガレアン人が使えないはずの"魔法"によって信じざるを得なかった。ある約束を交わし、ここは一切の戦禍が降りかからなかったという懺悔が書かれている。
そして幼いアンナの気持ちに気付いていながらも強く突き放せなかった弱い自分への苛立ち。『約束は死んでも守れ。全てを護れないなら捨て去って旅をしろ』という教えを何十年も守っていることを知った時の焦り。どうしてそんなに忠実に守ってしまっているのか。アシエンの手を今からでも振りほどき星空の知識を教えた思い出と共に自由な夜空を愛してほしいという希望。
最後に力の根源を知りたいのならラザハンに行くといい。そして兄エルファーに謝っておいてほしい。妹の体に消えない疵を刻みつけ、"私"を継承してしまい本当にすまなかった。さらば、愛する唯一の弟子であり血の繋がりはないが魂で繋がった家族よという言葉で終わっていた。
「私めには意味が分かりませんがそう書かれております」
「……にわかには信じがてェな」
手紙の内容についてネロは吐き捨てている。現実感はしないが、これまでのアンナを取り巻く出来事を思い返すと事実も多いことは分かるが理解を拒んだ。対してシドは重々しく口を開く。
「いや、俺たちの祖国がアシエンによって作られたものだというのは事実だ。ヴァリス殿下が明かしたとアンナたちから聞いた。ドマ侵攻について書かれているってことはリンドウは俺たちが最近知った知識を30年程度前には知ってたことになる」
「そうかよじゃあアンナが持ってた手紙はそのアシエン本人のお茶目ってことか。趣味悪ィ」
ネロの言葉にシドは首を傾げる。「手紙って何だ?」と尋ねると露骨に嫌そうな顔を見せた。
「アラミゴ解放後にソル帝の便箋で届けられたモンだとよ。『お前の役割は終わりだ』とか書かれててあいつオメガブッ倒しながら怯えてたンだぜ?」
「知らない」
「そりゃオマエはあいつの過去を一切知らないじゃねェか。あの小心者が自分から教えるわけがねェし」
「アンナは小心者じゃない」
そう言いながらもシドの顔が青くなっていく。そうだ、俺は何も知らなかったと視線を落とした。
「もう分かンだろ? あのオンナは"鮮血の赤兎"だ。アシエンが人間1人分の人生使って狙い続けてた実在した兵器なンだよ」
「アンナが、じゃあやっぱりあの夜」
寒空の下、路地裏で寒さに震え座り込んでいた赤髪の旅人。急いで屋敷に戻りスープを渡した時の『温かい』と低い声で溢していた。
「20年ほど前に陛下が兎を捕まえるために誘導したがいつの間にか国外に駆け出して行ってたンだってよ」
出口はどこだと聞かれたので言われるがまま方向を指さすと走り去ったあの不器用な笑顔。
「全てを護る、刃。あぁ―――」
シドの目が見開かれる。今まで忘れていた記憶。肝心の"約束"が、抜け落ちていた。
『"あなたの飛空艇"に乗れて、よかった』
何故か自分の飛空艇と強調したシドが記憶を取り戻した夜。
『私はね、自分に優しくしてくれた人と約束は守ることにしてるんだ』
露骨なほどに約束に拘っていた姿。
『ほーそりゃ楽しみ』
ガーロンド社を紹介してやると言った時の目を細めニィと笑った姿。
『期限はそうだね……キミがお髭がとっても似合う人になるまで、かな? 翼であるキミの飛空艇たちを守る刃になってあげよう。おっと飛空艇たち、というのは簡単だよ? あーんな大きな船をキミ1人で作れるわけないだろう? 全部守ってあげる。こう見えてボクはすっごく強いからね』
手の甲に口付け、幼いシドへ不器用に笑いかけた顔。そうか、これを忘れていたから星芒祭の夜わざわざ眠らせて逃げたのかと拳を握り締める。
テッセンはあの、と声をかける。「ああすまん」とシドは苦笑して見せた。
「あまりにも直球すぎて気付かなかったヒントに頭痛がしただけだ。気にしないでくれ」
あっさりと宿題が終わってしまった。軽くため息を吐くとネロが立ち上がり外へと足を向ける。
「ネロ?」
「一服してくる。1人で結論付けてろ」
そのまま扉を閉められた。シドは目を丸くし、首を傾げる。
「結論付けてろと言われてもな」
まさかここまでネロがアンナについての情報を隠していたとは思ってもみなかった。そしてあっさりと知りたかった事柄の殆どを手に入れてしまうことも予想外で拍子抜けする。
更に複雑な悩みを持ちながら一緒にオメガ相手に戦ったのかということも知ってしまった。微塵も相談してもらえなかったことにショックを受けている。一方的に想いを伝えて、舞い上がっていた自分が莫迦みたいだとため息を吐く。だが最終検証で見せたまるで流星の軌跡のように振り下ろされた一振りが伝授された"気迫"というものなのは確かだ。焼き付けられた脳裏に浮かび上がる。そんな"弱き人が持つ想いの力"の根源にあるヒントがラザハンにあるというのは一番の収穫であった。ラザハンということは錬金術起因のものなのだろう。
しかし一番の謎は"継承"というものだ。リンドウ、レフ、アリスという男らは過去に何をし、アンナに施したのだろうか。
ふと肩を叩かれる。心配そうにテッセンがシドを見ていた。「すまない、考え事をしていて」と苦笑する。テッセンは懐に入れていた装置を手渡した。
「これは?」
「祖父が、最後まで大切に持っていたものです。今は静かなんですけど」
黒色で半球体のようで一見何なのかは分からない。用途は? と聞くと柔らかな笑顔で答える。
「これがあったからアンナさんがエルダスさんって分かったんです」
テッセンによるとリンドウが死んでからもこの装置は小さな光を灯し続けた。ある日ドマを解放した英雄たちの顔を見に行こうと外に出た際に強く輝いたのだという。以降輝き方が不安定だったが、しばらくしてシドとアンナが墓参りに来た日にまた大きく光ったらしい。しかしここ数ヶ月光が消えてしまい心配していた所に3人がやってきたと語る。
「どういう装置なのか分かりません。ですがもしかしたらエルダスさんの何らかに関係しているかもしれません。よかったらどうぞ」
「いいのか? 代々受け継いだ形見みたいなものだろ?」
「……あなたが持っていた方がきっと祖父も喜んでもらえると思います。あと先程言えなかった言葉の続きなのですが」
それからテッセンは自分の身の上を話した。彼の父が誕生し物心がついた頃、実の祖父は亡くなっている。その後祖母は第二の故郷に戻って来たリンドウを治療する内に惹かれ合い、再婚したので血は一切繋がっていない。よって厳密にはリンドウの血縁者はもう存在しないのだ。そして彼の生まれは―――。
「そうだったのか。エレゼンが東方地域にいるのも珍しいのに更に片親はガレアン人と」
「龍殺しのリンドウと呼ばれるまでは実際あまりいい扱いはされて来なかったそうです。本当に強くなるために努力は欠かさない人だったと聞きました。強くなってからは手のひらを返した権力者たちによる色んな思惑に巻き込まれ嫌気がさしていたそうで」
「アンナから嫁と子供がいるから叶わない恋だったと聞いてたんだが……。兄を知ってたから嘘ついてた可能性があるな」
箱の中から書物の山を取り出す。覗き込むと武器の特徴から人から魔物までのスケッチと何らかの文字が書き込まれていた。「療養中暇だったようでとにかく自分の脳に叩き込んでいたものを書いていたそうです」とテッセンは語る。「これも多分アンナに教えていたってことか」と紙をめくる中で明らかに違うものがあった。
「図面……?」
「何かの装置のようですが私にも分からず」
「いやこれは隠す―――形状が見覚えあるな。ちょっと待っててくれ」
シドは家の中を見回し、違和感を探る。即見つかる。入口に置いてあった家の様式に似合わない無骨な金属。手を伸ばそうとすると突然扉が開き、レフがその機械を分捕る。
「これだこれ。さっき家全体を視た時に何かおかしいと思ったんだ」
即蓋を開き、中身をのぞき込んでいる。シドは一瞬唖然とした顔をしたが何も言わず手に持っていた図面を渡した。次はネロが分捕り2人で眺めている。
「なんだこりゃ。ああこれの図面か。―――あのクソ馬鹿が機械装置を作れるわけがない。かと言ってアリスが手間暇かけて作ったものにしてはオリジナリティがない。この図面通りで忠実すぎるものって感じだ」
「読んだ範囲ではこれアレか。魔科学技術を用いた広域妨害装置だ。よく出来てンな」
「成程戦禍がここまで来なかった仕掛けか。アシエンと交わした約束とやらの一つだろ」
「筆跡的にアリスから貰ったやつの冊子から破ったか。この家のどこかにあるかもしれん。テッセンくん、ちょっと家の中物色してもいいか?」
「か、構いませんけど……」
数時間後、顔を真っ青にしたエルファーがフウガの名前を叫んでいた。それをネロはゲラゲラと笑っている。
「ネロ、レフは何と言ってるんだ?」
「お前ら何年間妹といたンだふざけンな辺りじゃね? おーこれそのまま商品化出来ンじゃね?」
「いや流石に考えたのはそのアリスって男だろ? 勝手にやるのは」
「死んだやつの許可なんてどう貰うンだよ」
フウガがメモとして残していた紙と違うものがいくつか発掘された。封筒に入れられた冊子には、数々の古代技術を応用して作られた実用的な機械から人道的に怪しい器具まで数多く書かれている。小さな紙切れが入っており、『リスク分散のご協力感謝 あなたの共犯者ア・リス・ティア』と雑な文字で書かれている。シドらにとっては欠伸が出そうなほど古すぎる技術が殆どだ。しかし自分たちが未だに至っていない領域の一部もあり少々悔しい部分もある。
「エルもこういうの持ってンのか?」
「んぁ? まあ別れる時に少々。今は別の場所に隠してるから持ってないぞ」
というか今の魔導技術に比べたらこれより更に古臭いから価値はないと思うぞと肩をすくめている。
「ってこれはトームストーンか。電源は―――つかないか」
真っ黒な板を取り出す。ボタンのようなものを押すが一切反応はしない。何も言わずポケットに仕舞い込む。
「今流れるようにポケットに入れたな?」
「どうせ眠ってるままなら有効活用する。その装置ももういらんだろ。貰ってもいいか? テッセンくん」
「だ、大丈夫ですよ」
「無理しなくてもいいぞ。あんまり荒らしたらアンナに怒られるから程々にしとけレフ」
「そこで妹の名前を出すんじゃない。―――修理して何でもないモノだったら返すさ」
自分が欲しいもののヒントかもしれないものは全部欲しいからなと口角を上げている。そんなもの俺だって欲しいとシドはジトッとした目で睨みつけた。
◇
それから適当に家探しして村の宿に泊めてもらった。最新技術が適宜取り入れられ快適なもので満足だった。ガーロンド社が納品したであろう装置も沢山あったので外に出た者の名前を聞く。案の定先日ジェシーが連れて来た新入社員たちの名前もあった。もっと詳しく話をしていたらリンドウの情報ももう少しスムーズに手に入ったかもしれないと苦笑する。
ふとポンと音が鳴った。その正体を探ると日中にテッセンから貰った奇妙な装置が光っている。壊れてなかったのかと観察すると小さい光はしばらく点滅を続け、1時間もせずに再び消えてしまった。
―――後に知ったことだが、3人がこちらに来ていた間、一度アンナが帰って来たらしい。シドがいないのを確認した後、少し暗い顔をしてまた帰ったとジェシーから聞いた時、苦虫を嚙み潰したような顔を見せしばらく機嫌が直らなかった。
次の日、村人らに次なる取引の約束と共に見送られハヤブサで上空を飛ぶと空からでも終の棲家を確認出来た。妨害装置は解析が終了すればまた返しに来るとシドが電源を切り鞄の中に仕舞っている。次はアンナと2人で泊まりに行こうと笑みを浮かべた。
目を輝かせたネロとエルファーを青龍壁へ連れて行き、再び積み重なっているであろう仕事をすべく本社へと1人戻るのであった―――。
Wavebox
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