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No.96

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注意漆黒以降の自機が子供化したギャグ概念。ネロ+光♀(シド光♀前提)その1から読…

漆黒,ネタバレ有り

#ギャグ

漆黒,ネタバレ有り

旅人は子供になりすごす-2-
注意
漆黒以降の自機が子供化したギャグ概念。ネロ+光♀(シド光♀前提)
その1から読んでね。
 
「というわけでシドにアレを言うのと、昼に報告よろしく」

 と、この小さくなったバブーンに見送られた。
 2日目、目が覚めるとすでに朝飯が作られていた。早起きなンだなと欠伸をすると「脳内アラームによって毎日同じ時間に起床する」と淹れたコーヒーを渡される。よく分からないので脳の隅に追いやった。そしてどこぞのおぼっちゃんと違って気が利いて旨いと思いながらフルーツを摘まむやつを観察した。

 ガーロンド社に到着すると裏で起こっていることを片鱗すら気付いていないシドと傍から見たら軟禁状態なアンナの兄エルファーが腕組みして待っていた。「サボリと犯罪はよくないぞ」と肩を叩くエルファーと「違うと信じたいが今日はちゃんと働けよ」と不味そうなコーヒーを啜るシドに「保護者か」と言いながら通り過ぎる。
 と、忘れていた。準備に時間をかけるガキに渡された原稿を読み上げる。

「ガーロンド、そういや昨日抜け出した時にメスバブーンがいたンだわ」
「は? お前アンナに会ったのか。どこで」
「モードゥナ近くでな。1週間程度各所で引き籠ってサプライズの仕込みすっから連絡も出来ねェってよ。スキップしながら去ってったな」
「まーた妹は変な企んでる。すっかり平和だな」

 片や勘弁してくれとため息を吐き、片や鼻を高くしている。両極端の反応にそうはならンだろと思いながら「ンじゃあな」と手を上げ去ろうとする。しかしシドの一言で足を止め、顔をしかめてしまった。

「ネロお前香水でも変えたのか?」

―――数時間後。

『こわー。前に小説で見た。浮気に敏感な面倒な彼女みたいなやつじゃん』
「ちッたァ冷や汗かいた俺の身になンねェのか?」
『コートに匂い付いちゃってたんだねえかわいそうに。色んなトコに寄ったし混じってボクと繋がらなかったのは奇跡かな。というかそこまで気付いたのに……。致命的ミスしたねぇシド』

 片隅でコーヒーを啜りながらアンナへリンクパールで声を潜め報告すると滅茶苦茶笑われた。『多分ボクがいつも色んな香水付けるからムダに嗅覚がよくなってる』と何かを弄る物音と共に聞こえる。心臓が止まりかけたンだぞと言うと『万が一バレてもそこまで怒らないって』と警戒心無しに答えた。そんなわけがない。この女は知らないだけで今の状況を把握されたら十二分にキレる。ついでに兄にも吊るし上げられる未来が見えた。
 しかし今日は一層周囲の視線が痛い。昨日手紙で煽られるがまま抜けたのは流石にマズかったか? と思ったがどうやらそうではないらしい。午後、ジェシーの言葉で再び突っ伏す羽目になる。

「昨夜あなたが小さい子を連れて歩いてた目撃情報あったけど遂に子供を使った人体実験でも始めたの?」
「ンなわけねェだろ!? まさかそれで変な目で見るヤツが多いのか? 急用終わらせて帰る途中に迷子のガキを見つけたからロウェナ記念会館に連れてったンだよ」

 アンナが準備していた『誘拐疑惑とか湧いてたらこれで大体誤魔化せる』という原稿を読み上げる。役に立ってよかったがまさか子供という実験生物を捕まえた疑惑まで出て来ていたとは予想外だ。さすがにエルの友人だった男と違いそこまで倫理観は死んでいない。―――傍から見るとそう誤解されてもおかしくない状況かもしれないのだが。あらそうだったのごめんなさいというジェシーに「とンだ酷い疑惑だな。てか誰だよ拡散したヤツ。社内の誤解解いとけ」と吐き捨ててその場を後にしながら『まさか朝2人が待ち構えてた理由はこれか?』という悪寒を捨てる。



 ラストスパートだと書類に押しつぶされたシドを眺めつつ定時退社を決める。こんな状態じゃ絶対ガキになった女の面倒は見られなかっただろうなと鼻で笑いラスボス(エルファー)に捕まる前に帰途についた。
 欲しい物はあるかと連絡を入れると『暇をつぶす本があればいい』と返って来た。適当に書店を物色していると赤髪のミコッテとばったり会ってしまう。

「ネロじゃないか」
「元気か?」
「ああ。アンタも元気そうでよかった」

 適当に会話を交わしながら小説を選んでいるとふと思い付く。暁にも言っておく方がいいな、と。

「なあ、ガーロンドから聞いたんだがメスバブーンがな―――」
「メスバブーン……? ああアンナのことか! そういえば日中連絡しても出なかったから気になってたんだ。アンナは何をしているのだろうか?」
「……ガーロンド含めてお前らにサプライズを準備すっから1週間位連絡すンなってよ」
「それは本当か!? アンナはイタズラが大好きで俺たちにもやってみたかったって書いてたんだ。とても楽しみだよ!」

 グ・ラハ・ティアという男は時折何言ってるか分からない時がある。どうやらこちらが把握していないアンナの秘密を知っているようだ。
 ありがとうと明るい声で去って行くのを見送り、シド名義で領収書を切ってから帰宅する。

 扉の前に立つといい匂いがした。すでに料理の準備をし、ほぼ終わっているようだ。よう飯作ってンのか、と覗き込むと「おかえり、味が合うか分からないけど」と笑顔を見せている。ふと背が低いからか、無理やり椅子の上で料理していることに気付いた。明日は踏み台でも持って帰るかと思いながらコートを脱ぎ捨てる。

「そういやグ・ラハに会った」
「へー」
「お前に用事あったみたいだぞ。ガーロンドとほぼ同じこと言っといたぜ」
「さんきゅ。そっかあマジで準備しておいてよかった」

 飯はそりゃ美味かった。森育ちのバブーンのことだ、質素な肉食事でも出されるだろう。―――と思ったら味付けもしっかりしているし魚の焼き加減もバッチリだ。普段狩りも多いが人生の4分の1程度は東方地域で旅していたので東方料理が得意なのだという。複数の社員共が餌付けされている気持ちは分からなくもない。
 この後ドライヤーで耳が垂れ下がる風景を眺め、昼にカチャカチャ言わせていたものの正体を見せてもらう。ゼンマイで動く機械仕掛けのウサギだと語った。まだ完成はしていないらしい。

「最終的に跳ねる。でも今やったら多分壊れる」
「昨日のパーツはこれか」
「そそ」

 量産射出と不穏なことを言っているがスルーしておく。このガキはどこまでシドをキレさせたら気が済むのだろうか。「俺までそのクソみたいな野望の巻き添えにすンじゃねェぞ」とだけ言い寝かしつけた。



 シドは伸びをし倒れ込む。最近は忙しくて仮眠室で眠っていたが一段落ついたということで久々に自室の寝台で寝そべった。
 アンナは元気だろうか、軽くため息を吐きながらろくでもない仕込みをしている姿を想像した。きっと相当ウキウキしている。ふと近くにあった"発信機"に手を取った。これは命の恩人(リンドウ)の子孫から譲り受けた"アンナを指し示す装置"だ。仕掛けは不明だが近付くほど光が強まり遠くなるほど小さくなる。気になった時はこれでどのギルドに籠ってるか推測し、イタズラのジャンルを絞り込むのが習慣と化していた。そうでもしないと心の準備が出来ない。

「……第一世界にいるのか?」

 意外なことに発信機は真っ暗である。光がないということは死んだか別世界にいるということだ。ギルドに籠って作業していると聞いている。これは相当怪しい。何かがおかしいが確かめる術はない。きっとそのイタズラ材料の仕込みをあっちでしているのだろう、ということにして目を閉じた。



 3日目。

「ネロは疲れているのかもしれない」

 会長室にて数人集まりここ数日で起こっているネロの奇行について話し合っていた。シドは一晩中考えた結果、ネロが見たアンナは幻覚かもしれないと判断している。意外なことに集まった人間たちも納得した様子で相槌を打った。

「一昨日突然早退してから様子がおかしいですよね」
「子供を誘拐したんじゃないかとこっちもあらぬ疑いかけて申し訳ないことをしたと思っているが……」
「さっき工房に籠って放置されていた台を調整してたッス!」
「確か『部屋の模様替えで届かねェ場所があンだよ』と言ってたな」

 シドはしばらく考え込み、結論を付けた。

「よし、今の案件も一段落ついたしネロに休暇をやろうと思う。ジェシーもうあいつを帰らせて明日丸1日休めるように調整頼めるか?」
「そうですね、ネロは相当疲れてるみたいですし早退させましょう」
「ふむ、何かさっき妹の子供時代の話を聞いてきたな。―――最近休みなしだったし僕も色々頼りすぎてしまっていたようだ。反省しよう。よし反省会終わり」

 こうしてネロは無理やり休みを取らされることになった。だが、彼らの目からしたら不審な動きをしている男の真相をまだ知らない。



 部屋の前に立つと案の定我慢出来なくなったのか罠が仕掛けられていた。ため息を吐き懐からツールを取り出す。慎重に罠解除し、扉を開けてやると「あー!」と悔しがるアンナがいた。「残念だったなァ。俺はガーロンドと違って素直に引っかからねンだよ。次やったら会社に引き摺ってくかンな」と笑いながら持ち帰った踏み台を見せると一転して明るい表情を見せている。

「ていうかネロサンめっちゃ帰って来るの早い!」
「なンか気持ち悪い笑顔で肩を叩かれて帰らされたンだ。疲れてるんだな、明日も休めってよ。ったくお前がガキになってからどいつもこいつもオレ様を哀れな目で見てくるンだ。ってオイ、今日の料理当番は俺だろうが」

 腑に落ちないだろ? と言う姿をアンナは目を丸くして見ている。しかしよっぽど嬉しかったのか早速渡した台に乗り料理の続きへと戻った。流石にこの時間に帰って来るのは予想外だったようで。ふとテーブルの上を見やると設計図が書かれた文字が滲んでいる書物と小綺麗なウサギが完成している。試しにゼンマイを巻いてみると不規則にピョンピョンと跳ねていた。

「どういう考え方をすれば早退して休めってなるか理解が出来ないねえ」
「だろ? でもなァいきなり休暇貰っても何もやることがなくて暇だぜ?」
「じゃああそこ行く?」

 どこだよ? と聞くと目を輝かせてこう言った。

「蒼天街!」

 イシュガルドにある復興区画だったか。職人や冒険者たちの手によって急速に進んでいるという噂は聞いている。

「色んな技術とかイベントが楽しい。どう?」
「軽い休日の日帰りで行く場所としてありだな。ま、そろそろお前も外で遊びてェってやつか」
「そそ。ストレッチだけじゃ身体がなまっちゃう。じゃあ準備して」
「おいおい早速か?」

 前日入りしてゆっくり休んだ後丸1日使う方が有意義でしょ? という言葉にナルホドねェと返した。飯食ってから出立するかという話をしながら荷物をまとめる。

「イシュガルドまではとりあえず先日乗ったロボでいい?」

 あのロボット気になってたンだよなとニィと笑う。寒いからと防寒着を着込み、保温ポットにコーヒーを淹れ片手間で摘まめる物を袋に詰めた。腹ごしらえに作っていた料理を食べ、外に出る。
 この機械はクルーズチェイサーというらしい。「イディルシャイア周辺で出会った青の手が繰り出した機械兵器を騎乗用に改造してもらった」と呑気なことを言っている。どさくさに紛れて何しているんだこのガキと思いながら乗り込んだ。

「ナイスバケーションへ出発しんこー!」
「ヒヒッ最高だなァ!」

 ゲラゲラと笑いながら形態変化したロボットがレヴナンツトールから飛び立った。



―――一方その頃。シドはネロが休む分の仕事をエルファーと共に黙々と片付けていた。
 そこに暁の面々が慌てた様子でやって来る。

「シド! アンナの容体はどうなっている!?」

 アルフィノの言葉に首を傾げた。なぜ今アンナの話題が出て来たのか、心当たりがない。珍しく賢人たちが揃っているものだからぽかんとした顔を見せてしまう。しかしすぐに手元に視線を戻しながらため息を吐いた。

「アンナは相変わらず俺にやらかすために各所ギルドで仕込んでるから連絡ついてないらしいぞ」
「そうかシドもそう聞いてるんだな」
「俺、も?」

 作業の手が止まり、再び顔を上げた。グ・ラハは怒らないで聞いてくれよ? と言いながら先程やって来た人間から聞いた話をする。

「実は錬金術師ギルドで手が滑って錬金薬を浴びてしまったらしい。秘密にしてとは言われたが心配になったと使いの者が来てこっちは大騒ぎさ」
「は? いつ?」

 シドは目を点にし尋ねる。何を言っているのか、理解が追い付かない。アリゼーは軽くため息を吐きながら報告内容を話した。

「事故が起こったのは2日前よ。昨日アンナは私たちへのサプライズのために引き籠ってるってあなたから聞いたって話があったから来たの。その様子じゃあなたも何も知らないみたいね」
「……俺も昨日聞いたぞ。ネロからな」
「そうか―――俺もなんだ。偶然書店で鉢合わせしたネロに言われてさっきまでワクワクしてた!」
「ねえネロはどこにいるのかしら? まだ工房とかにいたりする?」

 シドは眉間に深く皴を寄せ黙り込んでいる。隣にいたエルファーは代わりに口を開いた。

「最近ネロの様子が不審で。疲れてるのかと思って数時間前に帰らせた。ついでに明日1日休み付き」

 暁の面々は驚いた顔を見せている。リンクパールに震える手を当て連絡先を指定し、呑気な『どうした?』という声が聞こえた直後叫ぶ。

「ネロ!! お前今どこにいるんだ!?」

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