FF14の二次創作置き場

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補足新生メインクエスト"魔導兵器のみる夢"後のシド光♀。まだ…

新生

#シド光♀ #即興SS

新生

旅人は魔導兵器を識りたい
補足
新生メインクエスト"魔導兵器のみる夢"後のシド光♀。まだ何も意識し合ってない頃。
 
 ミンフィリア救出作戦の一環で魔導アーマーを鹵獲した。修理・整備を終わらせ、試運転中に異変に気付いたのか帝国兵が飛んで来る。まあ冒険者と一緒に即蹴散らし、その後無事起動することを確認できた。
 最終調整を行うためビッグスとウェッジが魔導アーマーを整備用拠点へと連れて行く所を見送る。そして、いつの間にか隣からいなくなっていた冒険者である黒髪のヴィエラを探すため、周りを見回した。見つけた。先程まで戦闘していた場所で座り込んでいる。

「アンナ、何をやってるんだ?」
「研究」

 魔導兵器をじっと睨みながらノートを取り出す。首を傾げながら覗き込むと、細かな文字と魔導アーマーのスケッチが描かれていた。今は先程破壊した重装型について書き留めている。文字は異国の言語でよく分からない。何処の言葉なのかと聞くと「ひんがしの方の」とだけ溢した。

「かつて私に戦闘を教えてくれた人が昔いたんだけど。この魔導アーマーたちに関しては何も教えてくれなかったの。仕方ないのは分かってるけどね」
「それで、研究と?」

 機体に触れ、中を覗き、何かを記していく。俺は隣に座りそれを眺めた。アンナは苦笑しながらこちらを見ている。

「先に戻ってもいいんだよ。これは私個人がやりたいこと」
「まあいいじゃないか。それに俺はこう見えてこいつらを設計する側に立つ予定だったんだ。目視だけじゃ分からんことやら色々教えてやってもいいぜ」
「―――じゃあ質問なんだけど」

 最初に聞かれたのは"コアの位置"。次に"無人兵器の場合、どこを殴れば信号を打ち止められるのか"。"砲塔に使われた金属の強度"、"センサーの位置"、"ビーム装填中に砲塔詰まらせたら暴発してどの位の範囲影響あるのか"―――確実に破壊するための手順を聞いて来る。実際のスクラップを指さしながら分かる範囲のものは教えた。

「勉強熱心なんだな」
「戦う上で苦手なものが存在すると致命的なミスに繋がることがあるからね。んーやっぱり本職の人に聞くのが一番楽しいかも」
「お前さえよかったら工房にいくつか設計図が持ち込まれてたはずだ。読んでみないか?」
「いいの? こんな怪しい旅人にポンポン大切なモノ見せちゃだめだよ」

 横から頬を抓り引っ張ってやる。

「俺たちは同じ敵を持った仲間じゃないか。打倒帝国とかいう少しでも大きすぎる目標を持ってんだ。達成する確率を上げるために賭けをするのも悪くないだろ?」
「ホー。そういうものなのかしら?」
「それに真剣な顔して色々聞くお前を見てると何か楽しくなってきてな。よかったら一緒に考えてみないか? 俺も何かいい対策が浮かぶかもしれん」

 アンナは目を見開きこちらを一瞬見たと思ったら即後ろを向く。名前を呼ぶと少しだけ肩が跳ね、ポソリと呟いた。

「―――レヴナンツトールに戻りましょ。いっぱい聞くから覚悟して」
「! ああ。対策会議をしよう」

 その言葉にアンナは振り向き立ち上がる。そしていつもの笑顔でこちらに手を差し伸べた。俺はその手を取りニィと笑う。引っ張り上げられ、そのまま前へとエスコートされた。

 まあこの時の俺はアンナが一瞬そっぽを向いた理由に気付けなかった。そう、あいつは思考が一瞬フリーズし、感情を処理できず真顔になっていたのだ。悟られないようそっぽを向いたと色々見てきた今なら判断できる。すぐに察せていれば、もっと違う道程を辿れたかもしれないと思うと悔しい所があった。



 その後。隠れ工房にて俺たち2人で魔導兵器について語り合う。基本的にアンナは相槌を打ち、気になった部分を質問していただけだった。が、時々顔を見ると真剣な顔で目の前の魔導アーマーと睨み合っていた。―――まあ視線にすぐに気付き、いつもの笑顔で首を傾げながらこちらの顔を見る。そうやって気が付いたら一晩徹夜していたらしい。いつの間にか邪魔しないように外に出ていたビックスとウェッジが戻り、少しだけ呆れたような顔をしてこちらを見ていた。


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#シド光♀ #即興SS

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補足Lv39メインクエスト前後のお話。  「アルフィノ、大丈夫?」「あ…

新生

#即興SS

新生

"召し上がれ"
補足
Lv39メインクエスト前後のお話。
 
「アルフィノ、大丈夫?」
「あ、ああサリスか。大した事はないよ」

 白い息を吐きながら少年ははにかんだ。



 クルザス、ホワイトブリム前哨地。ボクたちは今、シド・ガーロンドが造ったと言われる"エンタープライズ"を探す手がかりがこの地にあるという情報を掴み、やって来た。余所者お断りの気候と同じく冷たい人間たちの扱いに困りながら、人助けをしている。まあその人助けも異端審問官が邪魔をして大して実ってないわけだが。
 記憶を失った男シドも自分が出来ることを探し、装置を修理している。しかし、ザナラーンで潜んでいたボクたちを見つけ出しここまで連れてきた少年アルフィノは地道な活動が苦手らしい。外で何やら考えことをしていた。

 見ていると非常に寒そうである。特に腹を冷やしそうでボクはそわそわしていた。見かねてつい旅用のマントを羽織らせる。

「いいのかい?」
「まあ少しは慣れてるからね。それにしても―――シドの方が寒そうなのに。無茶しちゃだめだよ?」
「確かにシドは見てるこっちが寒くなるがね……」

 薄い布のように見える半袖。アルフィノの言う通りとても寒いと思われる格好だ。本人はどうも思ってなさそうだが。

「ガレマール帝国はとても寒い土地にある国だしね。これ位誤差なんでしょ」
「ふふっそうかもしれないね」
「お前たち何を話してると思ったら……」

 いつの間にか苦笑しながらシドが立っていた。ボクとアルフィノは笑顔を見せる。

「ほらアルフィノ、噂をすれば寒そうな人だよ」
「サリスからマントを預かってるが―――もしかしたらこれは君が羽織ってる方がいいかもしれないね」
「お、俺は大丈夫だ。アルフィノ、風邪を引いたら大変だ。それで温まるといい」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」

 苦笑する彼らを見て、ボクは少し考える。そしてふと過去の記憶が浮かび上がった。

『温かい―――』

 食材は、ある。調理道具もある。じゃあちょっと火を借りたら行けそうか。

「アルフィノ、ちょっと待っててね」

 彼らの言葉を聞く前に砦へ走り去る。頑張って再現出来るようになったモノを、差し上げよう。



「サリス。これは……いいのかい?」
「ちゃんと食べないと身体が冷えていつまでも温まらないよ」

 思い付いた時は煮込む工程を忘れていた。おかげさまで思ったより完成まで時間がかかってしまった。マントにくるまったアルフィノは目を丸くし、ボクが手渡したカップを両手で持っている。年相応って感じで可愛いね。
 湯気が立ち、肉と切った野菜が白くとろみのある汁の中に沈んでいる。これがなかなか当時作ろうとしたけど難しくて苦戦したっけ。理由は簡単。どうしてもあの夜に食べた味にならなかったから。いや味自体は作れるようになった。温かく、自分の身体の芯に火が灯されたあの感覚を得ることが出来ない。

「これは―――シチューか?」
「うん。シドも食べる?」
「丁度腹が減ってきてた。貰えるか?」
「そう」

 シドにも渡し、ボクはニコニコと2人が食べている所を見守る。

「美味しい。サリス、とっても美味しいよ」
「ああ。お前はどんな料理も出来るんだな」
「ふふっ。長く旅をしていたらね、料理の1つや2つ出来るようになるよ」

 満面の笑顔。よかった。もし美味しくないと言われたらどうしようかと。

「ああ。それに、どこか懐かしい味がするんだ」

 シドはカップの中身をじっと見つめ、目を細めた。―――まあそうでしょうね。

「あなたがガレマール帝国出身の方なら、そうかもしれないわね」

 じゃあ片付けするから、と踵を返し歩を進める。「どういうことだ、サリス」という声が聞こえたが何も言わず手を振った。

 嗚呼。別に、どんな顔されてるか見たくないからじゃないよ。いつまでもボクの鍋を置きっぱなしにしてるのは失礼だなって思っただけなんだから。
―――記憶を取り戻したら、飛空艇を夢見た機工師がいなかったか聞いてみようかな。意味はないけど。



 あの時ボクを助けた白色の少年。今どこで、何をしているのかな。ボクを探す飛空艇は作れたのだろうか。いや、キミの故郷は今こうやって急激に勢力を広げてる。だから、恐ろしい兵器を造ってるのかもしれない。
 もしかしたら、敵として会ってしまうかも。ちょっとだけ怖いな。だから、なるべく出会わないことを祈ってるよ。
 ボクは旅人。それ以上でもそれ以下でもない。誰のモノにもならないし、誰かを愛することもない。
 忘れてくれてたら、嬉しいな。


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#即興SS

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 嗚呼、キミは。どうして現れてしまったんだ。白く綺麗なお星さま、どうかボクに気付…

メモ,新生

メモ,新生

謎のメモ(新生3)
 嗚呼、キミは。どうして現れてしまったんだ。白く綺麗なお星さま、どうかボクに気付きませんように。



 黒渦団にタイタン討伐の報告後、ミンフィリアからリンクパール通信が来る。報告しに帰ろう。
 ベスパーベイ、砂の家。あれ? 受付嬢のタタルがいない。ミンフィリアとお喋り中?
 いや違う。静かすぎる。意を決して扉を開く。正面には―――死体。まさか。暁の血盟メンバーだけじゃない。帝国兵の死体まで。これは。暁の間に入る。

 シルフのノラクシアが、倒れていた。ウリエンジェも、タタルも、ビッグスやウェッジ、ミンフィリアまでいない。
 嗚呼記憶が流れ込んでくる。

 帝国兵。そして白色の鎧の女。ボクが目的。まさか―――偽装に失敗したのか? イフリートとタイタンを倒したから。余計なことを。そんな。

 ノラクシアが伝えたかった伝言。東ザナラーン、聖アダマ・ランダマ教会。イフリートの時に世話になった教会か。そこでしばらく身を隠せと。
 キミのような小さな子が、あんな奴らに勝てるわけがないでしょ。どうして。ボクがそこにいたら―――いや考えるのはよそう。連れて行かれたくない。あのボケた爺の駒になんて、なりたくないんだから。

「みんなを……助け……て……」

 そう言い残し、ノラクシアは事切れた。

「ええ、分かった。策を、練って、そして―――」

 助けてあげる。ボクがいないとあっさりと連れて行かれてしまった愚かな弱き人らを、絶対に。
 その鎧、覚えたからな。最も醜く、煽り嬲って殺してやる。
 もう何も考えたくない。フードを深く被り、ザナラーンを奔る。



 "のばら"、その合言葉を伝える。ボクはイリュドに砂の家で起こったことを説明した。
 神父イリュドはミンフィリアとは古くから知り合いだったらしい。暁の血盟のメンバーという顔も持っていたみたい。
 とにかく考える時間が欲しかった。お言葉に甘え、しばらく滞在することにする。

 次の日、頭をリセットさせるために教会の皆からのお願いを聞くついでにイリュドのお使いもこなす。死体が持っていた時計をマルケズが修理したいんだって。先細のタガネと小さなヤットコを受け取り、渡してやる。
 驚いた。修理された時計はとても繊細なもので。その大きな手でそんな小さな時計を修理できるのか。案内された部屋がどこか忘れてしまったので、野宿をしながら考える。

 目が覚め、エルネドが手伝い手が欲しいと聞いたので尋ねる。ベスパーベイの、死体回収、ねぇ。
 嗚呼ノラクシア、何て軽い。こうやって抱き上げて、初めて種族の違いを体感する。もっと遊んであげたかったかも。一緒にイタズラしたかったな。まあ後悔してももう遅いが。あーもー折角一晩で思考をリセットしたのに。死体回収は終わり。教会へ戻る。

 ため息を吐いているとマルケズと目が合う。「何か困ったことでもあったのか?」と聞かれたので「てっきりベスパーベイで死体の回収を行うのはあなたかと思ってたんですって」と言ってやると申し訳なさそうにしょんぼりとした顔を見せた。

「気にしてないよ。そんな顔しないで」
「いや大丈夫だ。―――ありがとう」

 そっぽを向き、去って行った。少しだけ心が落ち着いた気がする。ノラクシアの亡骸を持って、黒衣森へ向かった。

「ノラクシアは最後まで立派だったのでぶっち?」

 ボクは何も言わず、頷く。長ちゃまが何かあった時は、手伝ってくれるって。エオルゼアのことはエオルゼアの人が解決するものだ。最高な提案だと思うよ? ボクは―――最後まで、見届けられたらいいな。



 夜遅くなったので野宿。ふむ、少し周辺が臭う。少しだけ陰に移動し、目を閉じた。
 次の日、マルケズも視線に気付いたらしく、見てきてほしいと言われた。墓地を見回すと、ビンゴ。密偵だ。殴り倒す。まさかもうバレてしまったのか?
 マルケズの見立てではボクではなく自分の方じゃないかという。確かにキミが持っている技術を考えると何かあってもおかしくないかもね。もう少しだけ見回りして、せめてその陰気な雰囲気が際立たないよう頑張ってみようじゃないか。



―――暗闇は、嫌い。真実を隠し、私を狂わせるから。何も見えない闇が私をあざ笑う。そんな声が聞こえる。空を見上げ、星へと手を伸ばす。その手を掴んだのは、温かく大きな手。目に星を宿した、ヒゲが似合う男の人。少しだけ、笑みがこぼれた。

 夜、ボクはマルケズと空を見た。どこで帝国兵が見てるかも分からないのに。莫迦な子だ。そして改めて部屋の位置を教えてもらい、久々に寝台で眠った。
 スッキリとした目醒め。飯を振舞い、手伝いをした夕方。昨日あったことをイリュドに報告し、帝国対策を考えようとした時、扉が開いた。

 アルフィノ少年だった。どうやらボクと、マルケズを探してたみたい。いや、彼は"シド会長"らしい。成程、色々考えていた仮説の説明はつく。

 イクサル族が蛮神を召喚したらしい。好戦的で凶暴な存在が今暴れているのだとか。
 休息は取れた。必要とされている力を、振るってやろうじゃない。
 シドとやらの記憶も戻るかもしれないし、色々試してみる価値はあるだろう。北部森林へ。

 ふむ。やはりクルザスに行かないといけないみたい。寒い地で聞き込みを行おうとするがやはり噂通り余所者に厳しい。まあ旅をしてりゃ慣れてる扱いだ。とりあえず人探しから始めるとしよう。
 何と言うか内輪揉めみたいなことをずっと続けてる人たちなんだねえここの人たち。滞在許可はくれているだけ優しいと思っておくが―――。とりあえずこの辺りで偉い四大名家のデュランデル家以外の人間らにも会ってみたい。紹介してもらおう。

 襲撃された荷運び人の荷物を救出し、手渡すと厄介なことに巻き込まれる。四大貴族の内の1家が異端者と繋がっている疑いがあるという。どうやらそこに紹介される予定だったらしいが思わぬトラブルだ。近くにいた元使用人によるとそういう人間ではないとのことらしいが―――直接聞いてみるしかない。アインハルト家のフランセルの元に行くとまあ否定するよね。話した感じ性格的にも異端者と繋がってるようには見えない。自分の代わりにとフォルタン家のオルシュファンという人間を紹介してもらえた。

 流石にあらぬ疑いをかけられた人間は見ていて可哀想なので何とか、助けてあげられればいいが。



 何て熱い人なんだ。この地の雪を溶かしそうなほど燃え上がった若者にボクは驚く。

 キャンプドラゴンヘッドに辿り着く。そこで出迎えた男はオルシュファンというフォルタン家の人間。えらく熱い歓迎を受けた。確かに他の貴族に比べたら余所者に優しい。彼の名前を利用して情報集めをする。
 異端者を疑われた人間は審問官に連れて行かれ谷底に落とされるらしい。じゃああのフランセルというお坊ちゃんも―――うーん放ってはおけないな。どうやらお坊ちゃんだけでなく複数人疑いがあるらしくてんやわんやみたいだ。
 気になるのは新しい異端審問官か? 着任してから異端者がいっぱい見つかってるとか。仕事熱心か、それとも―――。まあそこまで考えてあげる義理はないか。こいつを何とか出来ればデュランデル家も話を聞いてくれるのかな。
 情報収集はぱっとしない。その間にフランセルがストーンヴィジルがドラゴン狩りへ行った話を聞く。オルシュファンはそんな情報を持ってない、と。はて。嫌な予感がするので見に行ってほしいと言われる。言われなくともそうするつもりさ。
 身の潔白のために真偽不明の情報に飛びついた、と。嗚呼なんて可哀想な人。オルシュファンに報告しに帰る。飛空艇の情報も掴めそうだったがフランセルの身の潔白を晴らさない限りは手に入れることは出来なさそうだ。面倒だが動くしかない。
 荷運び人を追えばアインハルト家宛の荷物全部に疑いの目を向けるための装飾品が入っていた。適当すぎる。そんなのに嵌められて谷に落とされるのは流石に哀れだ。止めに行く。

 異端審問官ギイェーム殿が連れてた騎士が異端者の装飾品を持っていた。一先ず審判は中止、帰ってもらう。捨て台詞が心地いい。
 飛空艇の情報もゲットする。ストーンヴィジルと呼ばれる要塞に堕ちたのだという。そしてそこの持ち主は―――デュランデル家。面倒だなあ! オルシュファンとフランセルの紹介状を持ってホワイトブリム前哨地へ。たらい回しにされながらドリユモンとやらの元へ行くがまたギイェーム殿だよ。別に気にしてないけど殴り倒すチャンス来ないかな。



 記憶は無くとも、機転と技術は腕に刻み込まれている。やっぱりこうやって装置を触っている方が楽しそうにするのが彼の本質なのだろう。そういう意味では本当に噂のシドと言われる存在みたい。
 しかし、異端審問官邪魔だなぁ。俺たちに恨みがあるのか、という言葉に少しピンと来る。そういえば砦の奪還も手をこまねいているみたいだし彼の動き方はまるで―――。とりあえず聞き込みを行おう。地道な手伝いが性に合わない彼のために、ね?
 キミよりシドの方が寒そうだけどそれはまああの寒い国出身かの違いだろう。さあ作戦会議だ。

 吹雪の夜に東門側、か。それに加えおあつらえ向きの崖と。下りてみると―――ビンゴ。奴の凍死体だ。殴れないのが残念だが、まあこのギイェームが犯人"では"ないことは分かったから十分だろう。ドラゴンの骨の近くに落ちているのが見てていやーな予感がする。血塗られた任命状を持ってアルフィノの元へ行く。

 殺しの現場を下っ端に見られたのは好都合か、残念か。ずさんな犯行手口でも顎で使い、信じ込まされるのは流石異端審問官様という肩書だ。証拠をドリユモンに突き付け、これ以上無罪な人間を殺させないためスノークローク大氷壁へ。
 やはり目的は4大名家のバランスを崩し人間同士の争いを増やす事か。なんと言うかイシュガルドの根は深そうだ。しかし外の人間を巻き込んだのが悪いね。素直に飛空艇を渡してたら、あなたの悪事はバレなかっただろうに。

 霊災の直前、ドリユモンをはじめとするデュランデル家の人間はエンタープライズを発見したらしい。そうして整備と保管の為、ストーンヴィジル砦の中に格納していたのだとか。だが、ドラゴンが飛来し、そこがねぐらになってしまったのだという。まあ困ってるみたいだし船を手に入れるついでに砦を取り戻そうか。



 エンタープライズはゆっくりと飛ぶ。応急処置で済んでよかった。途中、アシエンがドラゴンを起こしてしまったが、幻具を持って応戦する。グリダニアに着陸させ、次は本格的にガルーダ討伐の準備だ。

 "風属性を火属性に変換する偏属性クリスタル"、か。確かに暴風の中大爆走するなら風を火に変換するのが一番いい。彼らが修理を行う間、ボクはそれを探しに行くとしよう。

 まずはザナラーンへ。ラルベンタン先生とやらに会いに行く。東ザナラーンのバーニングウォールの偏属性クリスタルを採掘したが、どうやらそれは"土属性を火属性に変換する"モノだったらしい。そう上手くはいかないか。ならば別の場所にあるかもしれない"風属性を土属性に変換する"モノを探せばいいじゃない、と。なるほど、しらみつぶしに探しに行くのも有りか。幻影諸島と呼ばれるラノシアの島にもクリスタルがあるらしいので行ってみよう。

 何だい何だい次は幽霊騒動で欠航中か。欲しいものにはまだほど遠いようだ。トホホ。
 灯台守がいるという場所を探したら牢屋の中。そして狂い切っている。歌、か。海、歌、これはいやーな予感。
 重い足を引き摺って幻影諸島へ行ってみれば魔物討伐依頼。霊災の影響で潮の流れが変わり、船の墓場になったとか。歌声で虜にし、精気を吸い取り死霊化させる魔物の仕業。こんな所で"また"会ってしまうとはねぇ―――。
 嗚呼あの記憶の存在だ。だけど昔のボクとは、違うよ。耳栓も持ってるしね。追い払ってやった。
 そうしてクリスタルを分けてもらってきたが、まあここは海だ。"風属性を水属性に変換する"モノだった。次は"水属性を土属性に変換する"ものを探せばいい。ランベルタンが教える3人目の生徒がグリダニアにいるらしいので会いに行く。

 中央森林にある枯骨の森に偏属性クリスタルの塊があり、それは大食いスプリガンが殆ど食べちゃったらしい。まあそれ自体はすぐに終わるだろう。妙な事件に巻き込まれるよりかはマシだ。
 うえぇヨダレだらけ。まあこのまま壺に突っ込もう。生徒の元に持って行き、取り出してもらう。こうして無事手に入った。シドの元へ。

 3属性を直列に繋ぎ、変換させる。そんなもんポンポンと作れるもんなんだね。びっくり。"作業に没頭していると、何故か心が浮き立つ"か―――。シドって男は仕事人間?

「エンタープライズ、発進!」

 ヨーソロー、船乗りの掛け声だってフウガから聞いたことがある。口には出さない。そうしてボクらは、空を飛んだ。



 シドが、記憶を思い出した。そしてボクも、気付いてしまった。超える力でこの男の記憶の一部を覗き、あの少年の夢を見てしまう。なんてこった。そんな偶然が重なるの? 覚えてないようだし、悟られないよう立ち回ろうか。

 暴風域を越え、ガルーダを殴る。確かにこの風は癒すのが厄介だ。一番凶暴と言われるだけある。
 強まった光の加護で、ガルーダが弱った。これで倒せると思った時だった。
 甲冑の男が現れる。弱ったガルーダを煽り、そしてタイタンとイフリートを無理矢理捕まえた他種族の奴らから召喚しやがった。こんなの無理だ。流石に逃げる。
 その時だった。シドがガイウスと呼んだ鎧野郎は空から機械兵器を投入した。蛮神を喰らい、力とする。これは―――アラグか。遠い昔、そんな技術を聞いたことがある。そこまでしてエオルゼアを手に入れたいのか、あの爺は。

 次殴る目標はあの大きな兵器ということで、アルフィノの要望通り砂の家へ向かう。
 不思議と片付いた廊下を抜け、暁の間に入るとイダがいた。無事だったんだ。
 どうやらヤ・シュトラも無事らしい。今は情報収集をしているとか。これだけ戦力があれば大丈夫だろう。
 そしてガイウスの目的はボク―――の持っている"超える力"。なぁんだ。気付かれたわけじゃなかったのか。怯えて損した。タイミングよくここで一休みできるらしい。少しだけ座り込んだ。

 夢を見た。星の意思"ハイデリン"が、ボクに語り掛けて来る。だが要領を得ないふわふわとした言葉で、どうすればいいのやら。どうしてこんな力を、ボクが得てしまったんだろうね。
 物音に反応し、目が覚める。ヤ・シュトラが情報を持って帰って来た。どうやらポルトゥレーンが帝国の情報集めもしているらしい。話を聞きに行く。

 その途中に戦歌とは何か、ジュアンテルの歌声を聞きながら考える。歌というものはやはりあまり理解する気はない。だが、人を勇気付け、希望を与える。ただ弓を射るだけなら、その辺りの賊でも出来ることだ。仲間を大切にしてるように見せるため、必要な行為だろう。覚えておく。

 どうやらクルザスに飛空艇が不時着したらしい。ルガディンとララフェルのガーロンド・アイアンワークス社の制服を着た人間の目撃情報。ビッグスとウェッジが隙を見て帝国飛空艇から逃げ出したって所か。
 シド、そんな必死に頼まなくても助けるに決まってるでしょう? だってボクは―――。いいや、これは一時的に協力するだけ。余計なことは、考えなくてもいい。

 小さな足跡を辿った先で、ウェッジを見つけた。ビッグスは帝国兵の気を引くために別方向へ逃げたらしい。現地の人間から逃げそうな場所を聞きながら巨石の丘へ向かうと―――ビンゴ。帝国兵に囲まれているビッグスを発見。斧で蹴散らす。体力的に考えてあまり悠長に回復してる暇はない。

 こうして2人は無事シドと再会できた。見るからに喜んでてこっちが嬉しくなるね。再会を喜ぶ間もなく次は暁を救うんだって切り替えが早い。



 戦士の強さとは、痛くて苦しくても逃げずに己の弱さに立ち向かう心の強さ。そしてその強さにありつくために、ボクを目標とする―――。青いが悪くない結論だ。自分の場合は何も考えないようにしてるだけだが、言う必要はないだろう。

 蛮族の中でもやはり色々な派閥があるらしい。シルフ族にテンパード化した"悪い子"がいたように、アマルジャ族、サハギン族、コボルド族にも普通の人間では分からないであろうややこしい事情を持っているようだ。そうだね―――フウガはきっと種族関係なくエオルゼアの全てを見てこいって言いたかったのだろう。だから少々手伝うことにした。

 まあそちらも大事だが今はミンフィリアたちを救出することが優先事項だ。運び込まれたのだというカストルム・セントリがあるモードゥナへ向かう。
 エリックは言った。シドの論文によるとこのモードゥナという地は"惑星の中心"らしい。エーテルが濃く、それが収束する場所ということなのだろう。確かにあの大きな兵器を調整するための物資を集めるには好都合な場所だ。チャクラはエーテルであり、それならばボクの得意分野だ。復讐の力のことしか考えられない、そんな人間がボクに勝てるわけないじゃないか。ふふっ、頭を冷やす事ね、ウィダルゲルト。

 暁に再び灯を与える作戦名は"帝国軍あざむき作戦"、ね。正面から侵入とはまた堂々とした―――ふふっ、面白そうじゃないか。魔導アーマーを鹵獲する、ということは物凄く近くで見れるってことだよね? ちょっと頑張ってみるか。
 カストルムの通気口経由で盗み聞きをする。リウィアという人がミンフィリアを尋問しているらしい。怖いねぇ。まあ、こういう"どこかで誰かが聞いてるかもしれない"という意識がない人間のおかげで内情も分かった。さっさと立ち去るに限る。

 グラウムントという冒険者が作戦立ててる間、シドも出来ることをしておくらしい。だからその手伝いをする。なんと帝国軍が使う"電波通信"の妨害装置を準備するのだとか。"火属性を雷属性に変換する"偏属性クリスタルの塊に細工を施すんだって。そんなこともすぐに出来るのか。足での調査は得意だよ。任せて。
 それと並行して潜入のために必要な物を集める。帝国式の挨拶を覚え、軍服を剥ぎ取って。何か申し訳ないね。別にいらないしミンフィリアたちを救出出来たら返すよ。

 うわ適当に服着て敬礼しただけで本当に騙された。頻繁に人を入れ替えるのが仇になってるねぇ。そうして預かった発煙筒を撃ち出し待ち伏せする。
 シドも技術屋としてついてきた。さあネズミ捕りの時間だ。

「シドも戦えるんだね」
「まあ護身用程度だけどな」

 無事魔導アーマーを鹵獲に成功したが―――ちょっと打ち所が悪かったみたい。派手な煙出しちゃって。しばらく修理するみたい。隠された工房に案内され、話を聞く。
 なるほど。脳みその部分の損傷が深刻なのか。その代わりになるものが "魔法人形のコア"みたい。確かにどっちも自律操作に使うモノか。制御は出来るだろう。専門的な部分はさっぱりなのでそこは彼らに任せて、ボクはそれの調達に向かった。

 彫金師ギルドでどの位請求されるかなと思ったら、アルフィノが話を通してたみたい。どうやら彼のおうちとは長い付き合いみたい。持つべきものはコネってやつだね。早々に帰る。
 取り付け、あっという間に動き出す。さあ試運転をするか。

 動作に問題はないらしい。だが"起きる気"がないようだ。それはそれはとんだお寝坊さんだ。
 そうやって手をこまねいていると流石に帝国兵に気付かれてしまう。
 でも撃退後、魔導アーマーは"起床"した。問題なく動くようで、これでミンフィリアを助けに行ける。
 その前に、少しだけデータを整理しようか。



 すっかり徹夜してしまった。シドと魔導兵器について話し合い、入念に対策を頭に叩き込んだ。とりあえず今回の所はこれで何とかなるだろう。

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注意・補足 紅蓮レイド後、旅人は密会する数日前の独り言。   オメガの…

紅蓮

#シド光♀

紅蓮

溶けあうもの
注意・補足
 紅蓮レイド後、旅人は密会する数日前の独り言。
 
 オメガの一件が終わり、一段落ついた頃。ボクはある疑問の解を探すため、考えを張り巡らせていた。

―――あのボクの体が温かくなる現象。理解不能。今までどんな手を使っても、死人のように冷たいままだったのに。あの白色の男と体を重ね、初めて熱を帯びたのだ。

 温泉旅行と称し、クガネで休息した日。まず数時間湯船に浸かったがやはり冷たいまま。火に直接手を当てても体の芯から熱を帯びる感覚は味わえなかった。本当に初めてで、正直言って少し怖い。

「ボクの体はどうしてしまったの?」

 胸を手を置いて考えてみても、浮かばない。そんな特殊な事例、誰も答えは分からないだろう。
 いや待て。誰もが持っている、生者を形成するために必須の要素。そういえばあの後石の家に立ち寄った際、ヤ・シュトラがボクに「おめでとう」と言ってきたじゃないか。彼女が何を視てボクにそんなことを言ってきたのか、ちゃんと分かっている。

「そうか、エーテル」

 混じり合ったエーテルを視たのだ。自分の心の中に仕舞ってと思うが―――まあ珍しいものを視たから言ってきたのだろう。そりゃそうか。
 ふと右腕にある傷に指を這わせる。ボクの二の腕には硬い何かが埋め込まれ、傷口は縫合されていた。そう、この部分はエーテル操作を行う際、ほんのりと熱を帯びる。全身でその現象が起こっている可能性も0ではない。

 当初の疑問は解決。さあ次浮かんだ謎。これ、シド相手以外でも起こるのかな。

「いやない。絶対ヤらない」

 自分の頬を叩く。何故自分からそんなことをしなければいけないんだ。そんなことヤるならまだシドと二度目の行為をする方がマシ。脳から候補を取り除く。

「いや二度目もないが!?」

 あの夜からボクの考えがおかしい。まるでボクがあの男を意識してるみたいじゃないか!
 違う。ありえない。どういう感情を持ってるか勝手にすればいいが―――ボクは無名の旅人だ。誰にも感情なんて抱かない。

「ボクは! ぜーったい! 誰も! 好きにならない!!」

 拳を正面の岩に当て、パワーを溜め込み息を吸った後放出、そして粉砕する。今日も鮮やかな岩砕きだ。

「バレないようにしないと。調子に乗られてしまう」

 結論とは言ったものの確定させるための物的証拠はない。そしてこんな妙な体質を人に悟られるのが一番嫌だ。特にシドはダメ。真っ直ぐな目をして考察、実験、検証と称して―――もうどうなるか想像したくない絶対酷い目に遭う! よし、今回の件は心の中に仕舞い込み、とりあえずドマの一件を解決しよう。話はそれからだ。

―――数日後。ボクはシドからのリンクパール通信をきっかけに"また"やらかすことになる。
 二度目はないと、決心したのに。ボクはなんて莫迦なヴィエラなんだ! しかもあの男が持ってしまった感情は一時的な勘違いじゃないという裏付けを得てしまう。頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。

 1年後、ボクは旅に出ることできるのかな。もう何もかも、理解不能。どうすればいいんだ、助けて、フウガ。


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