FF14の二次創作置き場
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- 2025/02/18 旅人は花を置く 漆黒
- 2025/02/05 旅人は悩みを解決したい 漆黒,
- 2024/12/19 "武器と手加減&qu… 新生,
- 2024/12/18 星降る夜に誓いを乗せて 漆黒
- 2024/12/02 その複製体は聞き記す(ネタバレ… 漆黒,
No.153
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◇
黒渦団にタイタン討伐の報告後、ミンフィリアからリンクパール通信が来る。報告しに帰ろう。
ベスパーベイ、砂の家。あれ? 受付嬢のタタルがいない。ミンフィリアとお喋り中?
いや違う。静かすぎる。意を決して扉を開く。正面には―――死体。まさか。暁の血盟メンバーだけじゃない。帝国兵の死体まで。これは。暁の間に入る。
シルフのノラクシアが、倒れていた。ウリエンジェも、タタルも、ビッグスやウェッジ、ミンフィリアまでいない。
嗚呼記憶が流れ込んでくる。
帝国兵。そして白色の鎧の女。ボクが目的。まさか―――偽装に失敗したのか? イフリートとタイタンを倒したから。余計なことを。そんな。
ノラクシアが伝えたかった伝言。東ザナラーン、聖アダマ・ランダマ教会。イフリートの時に世話になった教会か。そこでしばらく身を隠せと。
キミのような小さな子が、あんな奴らに勝てるわけがないでしょ。どうして。ボクがそこにいたら―――いや考えるのはよそう。連れて行かれたくない。あのボケた爺の駒になんて、なりたくないんだから。
「みんなを……助け……て……」
そう言い残し、ノラクシアは事切れた。
「ええ、分かった。策を、練って、そして―――」
助けてあげる。ボクがいないとあっさりと連れて行かれてしまった愚かな弱き人らを、絶対に。
その鎧、覚えたからな。最も醜く、煽り嬲って殺してやる。
もう何も考えたくない。フードを深く被り、ザナラーンを奔る。
◇
"のばら"、その合言葉を伝える。ボクはイリュドに砂の家で起こったことを説明した。
神父イリュドはミンフィリアとは古くから知り合いだったらしい。暁の血盟のメンバーという顔も持っていたみたい。
とにかく考える時間が欲しかった。お言葉に甘え、しばらく滞在することにする。
次の日、頭をリセットさせるために教会の皆からのお願いを聞くついでにイリュドのお使いもこなす。死体が持っていた時計をマルケズが修理したいんだって。先細のタガネと小さなヤットコを受け取り、渡してやる。
驚いた。修理された時計はとても繊細なもので。その大きな手でそんな小さな時計を修理できるのか。案内された部屋がどこか忘れてしまったので、野宿をしながら考える。
目が覚め、エルネドが手伝い手が欲しいと聞いたので尋ねる。ベスパーベイの、死体回収、ねぇ。
嗚呼ノラクシア、何て軽い。こうやって抱き上げて、初めて種族の違いを体感する。もっと遊んであげたかったかも。一緒にイタズラしたかったな。まあ後悔してももう遅いが。あーもー折角一晩で思考をリセットしたのに。死体回収は終わり。教会へ戻る。
ため息を吐いているとマルケズと目が合う。「何か困ったことでもあったのか?」と聞かれたので「てっきりベスパーベイで死体の回収を行うのはあなたかと思ってたんですって」と言ってやると申し訳なさそうにしょんぼりとした顔を見せた。
「気にしてないよ。そんな顔しないで」
「いや大丈夫だ。―――ありがとう」
そっぽを向き、去って行った。少しだけ心が落ち着いた気がする。ノラクシアの亡骸を持って、黒衣森へ向かった。
「ノラクシアは最後まで立派だったのでぶっち?」
ボクは何も言わず、頷く。長ちゃまが何かあった時は、手伝ってくれるって。エオルゼアのことはエオルゼアの人が解決するものだ。最高な提案だと思うよ? ボクは―――最後まで、見届けられたらいいな。
◇
夜遅くなったので野宿。ふむ、少し周辺が臭う。少しだけ陰に移動し、目を閉じた。
次の日、マルケズも視線に気付いたらしく、見てきてほしいと言われた。墓地を見回すと、ビンゴ。密偵だ。殴り倒す。まさかもうバレてしまったのか?
マルケズの見立てではボクではなく自分の方じゃないかという。確かにキミが持っている技術を考えると何かあってもおかしくないかもね。もう少しだけ見回りして、せめてその陰気な雰囲気が際立たないよう頑張ってみようじゃないか。
◇
―――暗闇は、嫌い。真実を隠し、私を狂わせるから。何も見えない闇が私をあざ笑う。そんな声が聞こえる。空を見上げ、星へと手を伸ばす。その手を掴んだのは、温かく大きな手。目に星を宿した、ヒゲが似合う男の人。少しだけ、笑みがこぼれた。
夜、ボクはマルケズと空を見た。どこで帝国兵が見てるかも分からないのに。莫迦な子だ。そして改めて部屋の位置を教えてもらい、久々に寝台で眠った。
スッキリとした目醒め。飯を振舞い、手伝いをした夕方。昨日あったことをイリュドに報告し、帝国対策を考えようとした時、扉が開いた。
アルフィノ少年だった。どうやらボクと、マルケズを探してたみたい。いや、彼は"シド会長"らしい。成程、色々考えていた仮説の説明はつく。
イクサル族が蛮神を召喚したらしい。好戦的で凶暴な存在が今暴れているのだとか。
休息は取れた。必要とされている力を、振るってやろうじゃない。
シドとやらの記憶も戻るかもしれないし、色々試してみる価値はあるだろう。北部森林へ。
ふむ。やはりクルザスに行かないといけないみたい。寒い地で聞き込みを行おうとするがやはり噂通り余所者に厳しい。まあ旅をしてりゃ慣れてる扱いだ。とりあえず人探しから始めるとしよう。
何と言うか内輪揉めみたいなことをずっと続けてる人たちなんだねえここの人たち。滞在許可はくれているだけ優しいと思っておくが―――。とりあえずこの辺りで偉い四大名家のデュランデル家以外の人間らにも会ってみたい。紹介してもらおう。
襲撃された荷運び人の荷物を救出し、手渡すと厄介なことに巻き込まれる。四大貴族の内の1家が異端者と繋がっている疑いがあるという。どうやらそこに紹介される予定だったらしいが思わぬトラブルだ。近くにいた元使用人によるとそういう人間ではないとのことらしいが―――直接聞いてみるしかない。アインハルト家のフランセルの元に行くとまあ否定するよね。話した感じ性格的にも異端者と繋がってるようには見えない。自分の代わりにとフォルタン家のオルシュファンという人間を紹介してもらえた。
流石にあらぬ疑いをかけられた人間は見ていて可哀想なので何とか、助けてあげられればいいが。
◇
何て熱い人なんだ。この地の雪を溶かしそうなほど燃え上がった若者にボクは驚く。
キャンプドラゴンヘッドに辿り着く。そこで出迎えた男はオルシュファンというフォルタン家の人間。えらく熱い歓迎を受けた。確かに他の貴族に比べたら余所者に優しい。彼の名前を利用して情報集めをする。
異端者を疑われた人間は審問官に連れて行かれ谷底に落とされるらしい。じゃああのフランセルというお坊ちゃんも―――うーん放ってはおけないな。どうやらお坊ちゃんだけでなく複数人疑いがあるらしくてんやわんやみたいだ。
気になるのは新しい異端審問官か? 着任してから異端者がいっぱい見つかってるとか。仕事熱心か、それとも―――。まあそこまで考えてあげる義理はないか。こいつを何とか出来ればデュランデル家も話を聞いてくれるのかな。
情報収集はぱっとしない。その間にフランセルがストーンヴィジルがドラゴン狩りへ行った話を聞く。オルシュファンはそんな情報を持ってない、と。はて。嫌な予感がするので見に行ってほしいと言われる。言われなくともそうするつもりさ。
身の潔白のために真偽不明の情報に飛びついた、と。嗚呼なんて可哀想な人。オルシュファンに報告しに帰る。飛空艇の情報も掴めそうだったがフランセルの身の潔白を晴らさない限りは手に入れることは出来なさそうだ。面倒だが動くしかない。
荷運び人を追えばアインハルト家宛の荷物全部に疑いの目を向けるための装飾品が入っていた。適当すぎる。そんなのに嵌められて谷に落とされるのは流石に哀れだ。止めに行く。
異端審問官ギイェーム殿が連れてた騎士が異端者の装飾品を持っていた。一先ず審判は中止、帰ってもらう。捨て台詞が心地いい。
飛空艇の情報もゲットする。ストーンヴィジルと呼ばれる要塞に堕ちたのだという。そしてそこの持ち主は―――デュランデル家。面倒だなあ! オルシュファンとフランセルの紹介状を持ってホワイトブリム前哨地へ。たらい回しにされながらドリユモンとやらの元へ行くがまたギイェーム殿だよ。別に気にしてないけど殴り倒すチャンス来ないかな。
◇
記憶は無くとも、機転と技術は腕に刻み込まれている。やっぱりこうやって装置を触っている方が楽しそうにするのが彼の本質なのだろう。そういう意味では本当に噂のシドと言われる存在みたい。
しかし、異端審問官邪魔だなぁ。俺たちに恨みがあるのか、という言葉に少しピンと来る。そういえば砦の奪還も手をこまねいているみたいだし彼の動き方はまるで―――。とりあえず聞き込みを行おう。地道な手伝いが性に合わない彼のために、ね?
キミよりシドの方が寒そうだけどそれはまああの寒い国出身かの違いだろう。さあ作戦会議だ。
吹雪の夜に東門側、か。それに加えおあつらえ向きの崖と。下りてみると―――ビンゴ。奴の凍死体だ。殴れないのが残念だが、まあこのギイェームが犯人"では"ないことは分かったから十分だろう。ドラゴンの骨の近くに落ちているのが見てていやーな予感がする。血塗られた任命状を持ってアルフィノの元へ行く。
殺しの現場を下っ端に見られたのは好都合か、残念か。ずさんな犯行手口でも顎で使い、信じ込まされるのは流石異端審問官様という肩書だ。証拠をドリユモンに突き付け、これ以上無罪な人間を殺させないためスノークローク大氷壁へ。
やはり目的は4大名家のバランスを崩し人間同士の争いを増やす事か。なんと言うかイシュガルドの根は深そうだ。しかし外の人間を巻き込んだのが悪いね。素直に飛空艇を渡してたら、あなたの悪事はバレなかっただろうに。
霊災の直前、ドリユモンをはじめとするデュランデル家の人間はエンタープライズを発見したらしい。そうして整備と保管の為、ストーンヴィジル砦の中に格納していたのだとか。だが、ドラゴンが飛来し、そこがねぐらになってしまったのだという。まあ困ってるみたいだし船を手に入れるついでに砦を取り戻そうか。
◇
エンタープライズはゆっくりと飛ぶ。応急処置で済んでよかった。途中、アシエンがドラゴンを起こしてしまったが、幻具を持って応戦する。グリダニアに着陸させ、次は本格的にガルーダ討伐の準備だ。
"風属性を火属性に変換する偏属性クリスタル"、か。確かに暴風の中大爆走するなら風を火に変換するのが一番いい。彼らが修理を行う間、ボクはそれを探しに行くとしよう。
まずはザナラーンへ。ラルベンタン先生とやらに会いに行く。東ザナラーンのバーニングウォールの偏属性クリスタルを採掘したが、どうやらそれは"土属性を火属性に変換する"モノだったらしい。そう上手くはいかないか。ならば別の場所にあるかもしれない"風属性を土属性に変換する"モノを探せばいいじゃない、と。なるほど、しらみつぶしに探しに行くのも有りか。幻影諸島と呼ばれるラノシアの島にもクリスタルがあるらしいので行ってみよう。
何だい何だい次は幽霊騒動で欠航中か。欲しいものにはまだほど遠いようだ。トホホ。
灯台守がいるという場所を探したら牢屋の中。そして狂い切っている。歌、か。海、歌、これはいやーな予感。
重い足を引き摺って幻影諸島へ行ってみれば魔物討伐依頼。霊災の影響で潮の流れが変わり、船の墓場になったとか。歌声で虜にし、精気を吸い取り死霊化させる魔物の仕業。こんな所で"また"会ってしまうとはねぇ―――。
嗚呼あの記憶の存在だ。だけど昔のボクとは、違うよ。耳栓も持ってるしね。追い払ってやった。
そうしてクリスタルを分けてもらってきたが、まあここは海だ。"風属性を水属性に変換する"モノだった。次は"水属性を土属性に変換する"ものを探せばいい。ランベルタンが教える3人目の生徒がグリダニアにいるらしいので会いに行く。
中央森林にある枯骨の森に偏属性クリスタルの塊があり、それは大食いスプリガンが殆ど食べちゃったらしい。まあそれ自体はすぐに終わるだろう。妙な事件に巻き込まれるよりかはマシだ。
うえぇヨダレだらけ。まあこのまま壺に突っ込もう。生徒の元に持って行き、取り出してもらう。こうして無事手に入った。シドの元へ。
3属性を直列に繋ぎ、変換させる。そんなもんポンポンと作れるもんなんだね。びっくり。"作業に没頭していると、何故か心が浮き立つ"か―――。シドって男は仕事人間?
「エンタープライズ、発進!」
こういう時に出す言葉といえば。"ヨーソロー"、船乗りの掛け声だってフウガから聞いたことがある。口には出さない。そうしてボクらは、空を飛んだ。
◇
シドが、記憶を思い出した。そしてボクも、気付いてしまった。超える力でこの男の記憶の一部を覗き、あの少年の夢を見てしまう。なんてこった。そんな偶然が重なるの? 覚えてないようだし、悟られないよう立ち回るか。
暴風域を越え、ガルーダを殴る。確かにこの風は癒すのが厄介だ。一番凶暴と言われるだけある。
強まった光の加護で、ガルーダが弱った。これで倒せると思った時だった。
甲冑の男が現れる。弱ったガルーダを煽り、そしてタイタンとイフリートを無理矢理捕まえた他種族の奴らから召喚しやがった。こんなの無理だ。流石に逃げる。
その時だった。シドがガイウスと呼んだ鎧野郎は空から機械兵器を投入した。蛮神を喰らい、力とする。これは―――アラグか。遠い昔、そんな超技術があったなんて聞いたことがある。そこまでしてエオルゼアを手に入れたいのか、あの爺は。
次殴る目標はあの大きな兵器ということで、アルフィノの要望通り砂の家へ向かう。
不思議と片付いた廊下を抜け、暁の間に入るとイダがいた。無事だったんだ。
どうやらヤ・シュトラも無事らしい。今は情報収集をしているとか。これだけ戦力があれば大丈夫だろう。
そしてガイウスの目的はボク―――の持っている"超える力"。なぁんだ。気付かれたわけじゃなかったのか。怯えて損した。タイミングよくここで一休みできるらしい。少しだけ座り込んだ。
夢を見た。星の意思"ハイデリン"が、ボクに語り掛けて来る。だが要領を得ないふわふわとした言葉で、どうすればいいのやら。どうしてこんな力を、ボクが得てしまったんだろうね。
物音に反応し、目が覚める。ヤ・シュトラが情報を持って帰って来た。どうやらポルトゥレーンが帝国の情報集めもしているらしい。話を聞きに行く。
その途中に戦歌とは何か、ジュアンテルの歌声を聞きながら考える。歌というものはやはりあまり理解する気はない。だが、人を勇気付け、希望を与える。ただ弓を射るだけなら、その辺りの賊でも出来ることだ。仲間を大切にしてるように見せるため、必要な行為だろう。覚えておく。
どうやらクルザスに飛空艇が不時着したらしい。ルガディンとララフェルのガーロンド・アイアンワークス社の制服を着た人間の目撃情報。ビッグスとウェッジが隙を見て帝国飛空艇から逃げ出したって所か。
シド、そんな必死に頼まなくても助けるに決まってるでしょう? だってボクは―――。いいや、これは一時的に協力するだけ。余計なことは、考えなくてもいい。
小さな足跡を辿った先で、ウェッジを見つけた。ビッグスは帝国兵の気を引くために別方向へ逃げたらしい。現地の人間から逃げそうな場所を聞きながら巨石の丘へ向かうと―――ビンゴ。帝国兵に囲まれているビッグスを発見。斧で蹴散らす。体力的に考えてあまり悠長に回復してる暇はない。
こうして2人は無事シドと再会できた。見るからに喜んでてこっちが嬉しくなるね。再会を喜ぶ間もなく次は暁を救うんだなんて―――キミは切り替えが早い人間だ。
◇
戦士の強さとは、痛くて苦しくても逃げずに己の弱さに立ち向かう心の強さ。そしてその強さにありつくために、ボクを目標とする―――。青いが悪くない結論だ。自分の場合は何も考えないようにしてるだけだが、言う必要はないだろう。
蛮族の中でもやはり色々な派閥があるらしい。シルフ族にテンパード化した"悪い子"がいたように、アマルジャ族、サハギン族、コボルド族にも普通の人間では分からないであろうややこしい事情を持っているようだ。そうだね―――フウガはきっと種族関係なくエオルゼアの全てを見てこいって言いたかったのだろう。だから少々手伝うことにした。
まあそちらも大事だが今はミンフィリアたちを救出することが優先事項だ。運び込まれたのだというカストルム・セントリがあるモードゥナへ向かう。
エリックは言った。シドの論文によるとこのモードゥナという地は"惑星の中心"らしい。エーテルが濃く、それが収束する場所ということなのだろう。確かにあの大きな兵器を調整するための物資を集めるには好都合な場所だ。チャクラはエーテルであり、それならばボクの得意分野だ。復讐の力のことしか考えられない、そんな人間がボクに勝てるわけないじゃないか。ふふっ、頭を冷やす事ね、ウィダルゲルト。
暁に再び灯を与える作戦名は"帝国軍あざむき作戦"、ね。正面から侵入とはまた堂々とした―――ふふっ、面白そうじゃないか。そういうの好きだよ。そのために魔導アーマーを鹵獲する、ということは物凄く近くで見れるってことだよね? ちょっと頑張ってみるか。
カストルムの通気口経由で盗み聞きをする。リウィアという人がミンフィリアを尋問しているらしい。怖いねぇ。まあ、こういう"どこかで誰かが聞いてるかもしれない"という意識がない人間のおかげで内情も分かった。さっさと立ち去るに限る。
グラウムントという冒険者が作戦立ててる間、シドも出来ることをしておくらしい。だからその手伝いをする。なんと帝国軍が使う"電波通信"の妨害装置を準備するのだとか。"火属性を雷属性に変換する"偏属性クリスタルの塊に細工を施すんだって。そんなこともすぐに出来るのか。設置地点に関する調査を頼まれる。そういう足での調査は得意だよ。任せて。
それと並行して潜入のために必要な物を集める。帝国式の挨拶を覚え、軍服を剥ぎ取って。何か申し訳ないね。別にいらないしミンフィリアたちを救出出来たら返すよ。
うわ本当に適当に服着て敬礼しただけで騙された。頻繁に人を入れ替えるのが仇になってるねぇ。そうして預かった発煙筒を撃ち出し待ち伏せする。
シドも技術屋としてついてきた。さあネズミ捕りの時間だ。
「シドも戦えるんだね」
「まあ護身用程度だけどな」
無事魔導アーマーを鹵獲に成功したが―――ちょっと打ち所が悪かったみたい。派手な煙出しちゃって。しばらく修理するみたい。隠された工房に案内され、話を聞く。
なるほど。脳みその部分の損傷が深刻なのか。その代わりになるものが "魔法人形のコア"みたい。確かにどっちも自律操作に使うモノか。制御は出来るだろう。専門的な部分はさっぱりなのでそこは彼らに任せて、ボクはそれの調達に向かった。
彫金師ギルドでどの位請求されるかなと思ったら、アルフィノが話を通してたみたい。どうやら彼のおうちとは長い付き合いみたい。持つべきものはコネってやつだね。早々に帰る。
取り付け、あっという間に動き出す。さあ試運転をするか。
動作に問題はないらしい。だが"起きる気"がないようだ。それはそれはとんだお寝坊さんだ。
そうやって手をこまねいていると流石に帝国兵に気付かれてしまう。
でも撃退後、魔導アーマーは"起床"した。問題なく動くようで、これでミンフィリアを助けに行ける。
その前に、少しだけデータを整理しようか。
◇
すっかり徹夜してしまった。シドと魔導兵器について話し合い、入念に対策を頭に叩き込んだ。とりあえず今回の所はこれで何とかなるだろう。
追剥ぎした服を纏い、潜入ミッションだ。ヤ・シュトラ、イダ、そしてシドの無茶をするなという激励を受けビッグス、ウェッジと主にカストルムへ向かった。
チョロい。あっさり奪えたぞ鍵。物資保管庫とやらへ向かう。いた。ミンフィリア救出、正面から突破する。
魔導コロッサス。新手の魔導リーパーか。まあ人型なら何とかなるだろう。蹴散らして出口へ向かう。ヤ・シュトラ、イダとも合流しこれで任務も終わり。魔導アーマーが残ってしまったのは残念だが命が大事。走り出す。飛空艇へ飛び下り、空へと逃げる。
脱出途中、これまでの謎だったピースが集まる。サンクレッドが、アシエン。そうか全部筒抜けだったと。なるほど。
『いーやアレは憑依だ。天使いにゃ実体はないらしいからねぇ』
またどこかから知らない声が響く。―――嗚呼どちらでもいい。助けを求められたのだから、それに応えるだけ。為政者らの元へ急ごう。灯を照らしてあげるのさ。ボクのような怪しい旅人の手助けでね。
だってボクが助けないとこの人たちは、あっという間に負けそうなほど脆いんだから。
実際、あの声の言う通りサンクレッドはアシエンに憑依されてしまった存在らしい。声の存在よ、いい加減ボクの目の前に現れて何故知ってたか説明してほしいものだ。
「どうか、彼を助けてあげて……。そしてエオルゼアの平和のために、あなたの力を貸して!」
ふふっ、言われなくたってそうしてやろうと思ってた所さ。
◇
再び灯が灯された砂の家に集まり、これからの話を聞く。生き残り数人と、噂を聞き付けた冒険者がもう現れ、再び賑やかな場所へと戻ろうとしている。嬉しいものだ。
エオルゼア三国、12の大きな組織が参加する大作戦。コードネームは"マーチ・オブ・アルコンズ"。
そしてボクは"冒険者選抜部隊"の隊長なんて役職。旅人に持たせていいものじゃないよ?
さあまずはリットアティンとやら。別に何か恨みがあるわけじゃないけど―――その命貰うよ。
リットアティンに、ガイウス。この男たちは顔こそ分からないが本人なりの忠義と大義がある。ボクがエオルゼアで人助けをしていなかったら、仲良く出来たかもしれないとふと思った。しかしそうはならなかった。
どれだけ平和のために立派な武力を手に入れたとしても、その後一体どこに行って誰と戦うつもりなの? その玩具は人の域を超えたモノ、破壊させてもらうから。その前座として、リットアティンの命は貰うよ。ボクは誰も見ていないのをいいことに斧を取り出す。
今回はギリギリな戦いだった。火事場の馬鹿力ほど厄介なものはない。そんなにも慕われる部下がいるガイウスは幸せ者だろう。まあボクはキミの部下であるだろう白い鎧の女と赤い鎧の男を煽り倒してジワジワと殺していく目的が残っているので冥界で指くわえて見ててね。ふふっ。
◇
次なる作戦のため北ザナラーンへ向かう。その途中、ウルダハで個人的な最終決戦に向けての物資調達を行っていた。その時、闘技場でひんがしの国の剣士が観客を魅了したという噂を聞く。これは―――まさか。ボクはすかさず走り出し、飛び入り参加希望を出しに行った。
流石にフウガではなかった。しかし、ムソウサイという男はまた別の魅力があった。大義の為、悪を斬る正義を抱いた、芯の通った男。師事するのも悪くはないかも。刀の基本的な立ち回りはまだ辛うじて覚えてる。魂技石と刀を借り、腕試しだ。
絶対強い。明らかに手加減されている。まあ殺し合い前提の試合ではないので当然だ。ボクだって加減してるし。いやとにかくこれまで出会った人間の中でも実力者であることは確かだ。流石流浪の旅をしているだけある。うん、これは人助けしながら色々教えてもらおう。先にこの刀で、アルテマウェポンを斬り捨てるのもいいかもね。
しかし―――連続して志を貫き通す男が現れるなんてツイてるなぁ。旅をするもんだ。
ムソウサイという男について分かったことはもう1つだけある。悪は無条件で許さない、大義に拘るこの男と、善悪関係なく人助けするフウガは絶対にスタンスが合わない。だからあの人について聞くのが怖い。
さて用事を終わらせ次こそ北ザナラーンへ。ラウバーンのお願いにより不滅隊の隊員たちを元気づけることに。ここで鼓舞をかけ、一気に終わらせてやろう。
―――クリスタルの導きあれ。ボクからしたら知ったこっちゃないがまあいいでしょう。帝国本陣のお手並み拝見。
カストルム・メリディアヌムの外郭にあるフィールド発生装置を癒し手として破壊しに行く。半分くらい魔導アーマーに乗ったシドが壊してくれたけど。一緒にこうやって戦えるのが嬉しそうだ。若いねぇ。
そこであの白い鎧の女、リウィアと対峙する。この人は、ノラクシアの敵だ。ふふっふふふふっ。
「あらぁ? もう終わりですかぁ? 私はまだまだ癒やせますけどぉ? あなたも回復してもいいよ? まだ足りないから」
ボクはそうやって最接近し、囁く。この人の技はモンクに近いか。一般的な女性の間合いなのでいなしやすい。
「あなたのようなヒステリックで執着酷い人に付きまとわれてガイウス可哀想! あなたがあの時砂の家を襲撃してなければもしかしたら部下も仲間も失わなかったかもしれないのにねぇ」
「っ!? あなた…!」
「私はただの癒し手。非力な存在に負けちゃうの? ねぇねぇ。ガイウス様に失望されちゃうよ?」
「うるさい!」
攻撃を軽く避けてやる。逃げ回りながら癒やす姿は冒険者たちからは変な目で見られていただろう。
風を纏わせながらじわりじわりと削りあとは周りに任せる。敵は取ったよ、ノラクシア。
「あなたは何者なの!? ただの癒し手のくせに」
「うーん? 私はただの旅人。じゃ、もう飽きたから。さよなら」
振り向きもせず、走り寄って来たシドを迎える。ガイウスの愛を求めて散った、ねぇ。いい言葉。
◇
最終決戦だ。当初の企み通り、刀を携えシドの元へ行く。
「変わった武器を持ってるな」
「ウルダハで弟子入りしてみましたわ。ちょっと懐かしくなっちゃって」
「そう、か……」
一瞬シドの眉間に皴が寄る。しかしいつも通りの笑みを見せた。厭だったのだろうか? 素直に聞く。
「え、ああいや別に文句はあるわけじゃないさ。慣れない武器で無茶するんじゃないぞ」
嗚呼成程、急遽今まで持って来なかった武器を出したから心配されたのか。ボクは大丈夫だよ、と言い飛空艇に乗り込んだ。
ボクらは"工房"へ向かう道を進む。途中でガイウスがこちらに語り掛けてきた。
いい理想だ。それも正義。しかし残念ながら手に余る力で伏せるやり方は好きじゃない。父親の話をされ、戸惑うシドの背中を叩き、魔導兵器を斬り伏せた。
進むボクたちの前にあの鹵獲した魔導アーマーがあった。こちらに送られてきていたのね。使わせてもらう。
結果、無茶をさせてしまい沈黙してしまった。ごめんね。絶対キミのことは忘れないから。その先へ進むと、あの赤い鎧がいた。
超える力で長ちゃまの過去を視た時も察したがシドへのコンプレックスバリバリな野郎だった。いやあ天才というのは面倒、いや大変な悩みを持っているねぇ。落ち込んでいるだろうシドに再びリンクシェル通信を送る。
「大丈夫。私は、知ってますわ。ネロとかいう、趣味悪い赤の、自称天才プライド高すぎ鎧野郎よりさ、あなたの方が数段強いから。ね?」
そう言った瞬間、ふと赤いのと目が合った。いや全身鎧だから目の位置分からないわ。でも明らかにこっちを見てるのは分かる。あ、聞こえたのね。
「あっやっべ聞こえてたかも」
棒読みで言ってやると明らかに奴はボクに対し啖呵を切る。
「かもじゃねェが!? ぶっ殺すぞテメェ!」
再びジャミング装置を起動し、この通信はぶった切られる。
「あははは! 怒っちゃいましたねぇ」
ボクはすかさず辺りを走り出すと明らかにこっちを追いかけ、ガンハンマーを振り回す。真新しい武器だが大体どんな動きをする人間かは理解した。簡単に捌ける。
「待ちやがれクソが!!! ゴリラ女がァ!」
「だーれがゴリラですか。私はか弱い癒し手から侍に転向したての初心者ですよっと」
「嘘つくンじゃねェぞ!? お前のこたァちゃんと調べがついてンだよ! あの喧嘩両成敗とか言って小型カストルムの人間全滅させたのを証拠隠滅したのは誰だと思ってンだ!」
「え、あの時通信出たのあなただったの? お疲れ様でした」
「なーにがお疲れ様でしただここで言うのは礼だろうが! こっちはもう一度ガーロンドに繋がせて言ってやってもいいンだぜ!?」
「もう繋げるわけないでしょ戦闘に集中しなさいよ。赤いの」
「お・前・が・言・う・なァ!!!! お前なンぞザクロじゃねェし俺はネロ・スカエウァ様だ覚えてろゴリラ女ァ!」
殺さないよう最大限に手加減しつつ、息を上がらせ、そして足払いで転がしてやりながら吹っ飛ばす。
「何のことやらさっぱり。はい、お疲れさまでした」
「クソが……だがアルテマウェポンは起動成功したから俺の勝ちだかンな!!」
一瞬だけ消灯した隙に逃げやがった。まあいいでしょう。負けた奴が本国でどういう扱いされるか予想つくし。ボクが見てない所で勝手に死ぬだろう。
◇
強大な熱源反応がある地下へと昇降機を使い降りていく。その途中、シドとの通信が切れてしまった。
『いいか、死ぬなよ生きて帰って来るんだ』
ノイズの中で明らかにそう聞こえた。嗚呼、ボクは死ぬ気はないよ。ニィと笑った瞬間、気配を感じた。
その気配の主は降って来た。ガイウスだ。どこで待ってたんだい? まあそれはいいや。
高説垂れて酔いしれて。ボクを消せばエオルゼアを手に入るとお思いで?笑わせないでほしい。
あんなデカブツに頼らないと蛮神1体刺せないキミがボクに勝てると思ってるなら片腹痛いよ。
とはいっても未だ慣れない刀で斬り払うが逃がしてしまう。追いかけたその先にはアルテマウェポン。アレを破壊できれば全て終わる。さあ最終決戦だ。
確かに自分よりも遥かに大きいものに対して少しだけ怖かったが、吸収していた蛮神は一度倒した相手だ。そう考えると一瞬持った恐怖は薄まってきている。何とか恐ろしい古代兵器から蛮神を引き剥がし、ようやく互角以上に戦えると思った瞬間だった。アシエンが現れ、トンデモない事をしでかす。
ガイウスも知らなかった最終兵器究極魔法アルテマ、空へ放たれた大魔法の威力は絶大だった。一発でプラエトリウムが壊滅する程度の威力を持っている。ボクはハイデリンの加護により何とか無傷だったのだが懸念が生まれた。
『シドは脱出できたのだろうか』
リンクパールに手を当てても何も反応はしない。当たり前だ、通信が途切れると言われていたのだから。
『いや大丈夫。今まで見てきたシドなら引き際位わかってる。でももし万が一失敗してたら』
頭の中でずっとグルグルと渦巻き、顔を伏せてしまう。
「しかし、今は! この者らを倒し我に力有りと証明するッ!」
うるさい、キミはシドを大事にしたかったんじゃないのか? ただ一度の拒絶で捨てる程度の存在だったのか?
「どちらが真に『持つ者』なのか決着ををつけようじゃないか冒険者!」
厭だ、力なんていらない。約束を交わした少年を助けられなかった、約束を果たせなかった力なんて、ボクは。
構えた刀に、身体から放出されるナニカが流れ込んでいく様を感じる。"これ"はまさか……いけない、分かっていても自分の中のナニカが『奴らがいないのだから大丈夫だろう。"ボク"達の圧倒的な力ってやつを見せてやろうじゃないか。―――』と囁いた。
「シ、ド」
小さな言葉は周りの冒険者やガイウス、そしてアンナ本人の耳にも届かないだろう。冷たい体に焔が灯され、過去によく聞いた獣のような唸り声を漏らした。
◆
あの冒険者に異変が起こったのは即理解した。明らかに先程の雰囲気と異なり、怒り狂っている。こちらの攻撃を全て刀で受け流しながら、丈夫な外殻を剥がそうと刀を振り回し、確実にアルテマウェポンを破壊しようと試みる。
我を失った冒険者を振り払い、応戦する内に「シドが死んでたら、お前のせいだ」と朧げな呟きが聞こえる。どうやら彼女の中でシドは先程の大魔法に巻き込まれたと思っているようだ。しかしそれだけにしては異常な強さを見せる冒険者の説明にはならない。
刀にみるみると赤黒い光が纏われ、笑顔が歪んでいく。これは、まさか、龍殺しの―――。
ふとそういえば過去に部下であったネロにあまりこのヴィエラを刺激しない方がいいとデータと共に進言されたなと思い返す。あの時は理解できず計画を優先させてしまった。詳細を聞けばよかったかもしれないと後悔しながらも感情に身を任せた獣との戦いに彼も全力を持って応戦した。
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はっと気が付くとアルテマウェポンから弾き飛ばされたガイウスが倒れていた。何が起こったのか分からない。だが久々に怒りに火がついてしまったのは確定的に明らかである。
アルテマウェポンを持ち出してこなかったら、友人位にはなれたかもしれない。シドが無事であることを祈りつつ、現れたアシエンを睨みつける。
しかし開口一言が意味不明なものであった。
「今からでも遅くない、光の加護を捨てて我らの元へ来ないか?」
「は? 嫌ですけど」
今こいつは何を?
「では何故あの男の印を刻まれている?」
「誰のことか、分かりませんわ」
刀を構え、睨む。闇は嫌いだ。だから仲良くする気はない。とっとと約束である"サンクレッドを救う"というタスクを済ませたいの。
無謀に挑んでみたがあっという間に魔法で吹っ飛ばされる。ボクの意識はまた沈み―――。
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「天使い、アシエン。数々の世界のバランスを崩壊させ、この地に次元圧縮、霊災を発生させる者達」
アシエンは明らかに変わった冒険者を見る。その魂は明らかに変質し、別の者へと変貌していた。
「何だ、何が起こっている」
「"お前"の先程の質問を返そう。あの男とは偶然出会い、闇を剥がされた。それだけ、らしい」
冒険者は刀を向け、目を見開く。濁った"青"の目が睨んだ。
「"この子"はまだ知りえない情報を教えたのだ。感謝して、この"我ら"の力を、受けるがよい」
光が辺りを包み込み、その青白く輝いた刀の刃に、あっという間に貫かれた。
これが光。人と人を繋ぐ、光の意思だけではない明らかにエーテルとも違う"我らが持ちえない力"。我らがそれに、負けるのか?
否、この者はまだ脅威ではない。今回は退散するとしよう。
「さあまた眠るとしよう。私は微睡の中、"この子"の旅路を見たいのだから」
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また目が覚めたらサンクレッドが倒れていた。こういう時困るね本当に。辺りが爆発し崩壊する中、あの魔導アーマーが飛んできた。ナイスタイミング。さぁ凱旋だ。
エオルゼアの人たちが戻って来たボクを祝福している。ふとシドと目が合った。よかった、生きてる。
そんなことより。ボクはもう疲れたんだよね。全て力を出し切ったみたい。そのまま眠ってしまった。
―――フウガがいたら隙を見せるな殺されたらどうするんだ莫迦と怒っただろうなぁ。でも、この人たちが、シドが見張ってくれるだろうから大丈夫だよ。もうしばらくこの辺りで色々見て回ろうかな。
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