FF14の二次創作置き場

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注意自機出番なし。前半は蒼天後、後半は非光の戦士な自機兄+ネロ話。  …

蒼天

#エルファー関連 #ヴィエラ♂+ネロ

蒼天

旅人の兄は機工を操る
注意
自機出番なし。前半は蒼天後、後半は非光の戦士な自機兄+ネロ話。
 
「これがその爆弾か?」
「はい。心当たりありますか?」

 ガーロンド社に持ち込まれた不審物が不思議な出来事を開く扉となった―――。

 それは突然起こった。夜も更けた頃、未だに残るカストルムの一つにて爆発が起こったのだという。ガイウスが死んだ今、帝国軍自体はエオルゼアでは弱体化し、本国からの補給物資は絶てたとはいえ軍事機能は生きている。残党も残っており、稀に小競り合いが起きていた。
 その内の1つが突然爆破され、それに使われた爆弾と思われるが起爆しなかったものを手に入れたエオルゼア同盟軍がガーロンド社に調査として持ち込まれる。会長のシドと複数人の社員がそれを囲み観察した。真っ白なフォルムに羽根のような模様が刻み込まれ、裏返すと見知らぬ文字が刻まれている。

「帝国産……でもなさそうッスね」
「超小型化されてパッと見では起爆装置か分からん。よく見つけたなあ」
「偶然でした。あなた方が作ったものでもなさそうですね」
「流石に戦争の火種になりそうなことはしないさ」

 社員の1人が慎重にパーツを外し中身を覗く。「こりゃすごい」と感嘆する声を上げたのでシドも覗いてみた所それはシンプルな構造であった。

「シンプルで従来品よりもだいぶ軽量化されている。だが見た事のない無茶苦茶な機構だ」
「魔導機械でありながら起爆のスイッチはエーテルを反応させるものじゃないかしら? 火薬周辺に使われている部品が―――」

 集まりメモを取りながらの議論が始まっている。シドはアゴ髭を触りながらその風景を眺め、専門外の来訪者にかみ砕いて解説した。

「ていうか本当に動くのか不思議な装置と思ってくれて構わない。爆発したやつの残骸はなかったのか?」
「完璧に消し飛んでいたのか調査に来た帝国兵が回収したのかまでは俺たちが知る由はありません。爆心地周辺は誰もおらず死者はなし。兵士はこれがあった場所に全員魔法で眠らされ、要塞内にあった魔導機械や資料のいくつかが盗まれてるんだと。証拠も見つからないからと調査は終わりそのカストルムは放棄された」
「なんだ盛大な強盗か? 脅威は弱まっているとはいえ実行犯は大胆すぎるだろう」

 ですよね、と肩をすくめ考え込んでいる人間の姿を見ながらシドも分解されていく装置を凝視ている。
 シンプルな中身と裏腹に火薬が思ったよりも込められており、もしこれが動作していたら周辺で眠っていた人間は最悪死んでいた。

「もしかしたら裏でこの装置を売り込むために試しに仕掛けたって可能性ないですか?」

 社員の1人の発言で全員一瞬静止し、装置を眺める。「探りを入れておきます! ありがとうございました!」と大慌てで去って行く人間を見送りながらシドは考え込んでいた。

 この装置を作れるほどの腕があるフリーの機工師は1人しか心当たりがない。しかし売り込むとはいえ祖国の基地を利用するような人間ではないはず。しかも盗みまでするというのは『絶対に』ありえない。
 ということは全く知らないフリーの機工師が存在する。なんとしても、他所よりも先に尻尾を掴みたい。やらかしていることは許されるものじゃないが話くらいならできるハズだ。

「ジェシー、この犯人をどうにか調査するように依頼しておいてくれないか」
「会長まさかこの人雇うとか言い出しませんよね!?」
「いや見てみたいだろ? こんな妙な技術持ちだ。俺たちとはまた違う視線を持った人間なんてそう会えんぞ」
「火傷しても知りませんからね」

 シドは肩をすくめ、部屋を後にした。



―――後の調査の結果、そういった爆発物を売り込む人間は存在しなかったという。エオルゼア同盟軍でもただの純粋な物盗りだろうと帝国側と同じ結論に落ち着いた。
 それは俺たち周辺でも奇妙な現象が起こっているので考える暇が無くなったというのも大きい。
 どうやらエオルゼア各地で"修理屋"が現れたという。各所に導入されている機械装置が壊れ困っているところにほぼ無償で修理するどころか"改善"していく輩がいると定期メンテナンスを行っている社員らから報告を受けた時は眩暈がした。特徴を聞く限りでは腐れ縁のフリーランスでもないというのが余計に頭痛の種になる。しかもシンプルで、無茶苦茶な仕様だ。明らかに爆弾犯と同一人物である。

「なんとしても! この人間を! とっ捕まえろ!!」

 昼下がり、そんな怒り狂ったシドの叫び声が聞こえたとか聞こえなかったとか。



―――一方その頃。

「オマエ、マジで無茶ばっかしてンだな」

 金髪の男はそこは妹と一緒かよと言いながら作業をする男を眺める。当の相手は目の前の装置の中身と睨み合っていた。
 2人が出会ったのは数日前。偶然移動していた森の中でネロの前に現れたのは褐色赤髪ヴィエラの男。独学で魔導技術を学んでいる技術者気質であの女の兄という部分が程々に興味を持ったので共に行動するようになっている。といっても普段は姿を消して手を上げて呼べば現れる奇妙な男だったが。

「妹に見つかったら困るんだ」

 これが目の前の男、アンナの兄エルファーの口癖である。だから奇妙な魔導ビットを飛ばして離れた場所から観測したりしていたらしい。流石に妹付近に飛ばせば一瞬でバレるらしくネロを起点に追いかけていたと悪びれずに答えている。
 一度会ったことはあった。あれは幕僚長時代、アーマーを纏いタイタンのエーテル監視を行っていた所に現れた。顔は見られていなかったはずなのに記憶に残っていたエーテルの色だけでストーカーを決める勢いがネロにとっては恐ろしい。
 話を聞くと妹の過去を探るために内緒でエオルゼア中を探しているらしい。最初こそは暁の血盟の盟主とも協力関係を結んでいたらしいが、結局空振りで途絶えた。『妹と一番仲のいい人間らしいシド・ガーロンドは手紙を読む限りすぐに表情に出て妹にバレるから会えん。だから同じ雰囲気でかつ一度だけ手紙に記述があったネロに目を付けた』と笑みを浮かべていた。
 恐ろしい所が、この男は風の噂で聞いた少し前で起こったカストルム爆発騒動の犯人である。犯行理由はアシエンについて調べたかった。魔導装置と一部書類は勉強のために貰い、爆発は手がかり持っていなかった腹いせということだった。

「オレが真っ先に疑われてたンだぞ」
「だから責任取って君に捕まってあげただろう?」
「理屈がメスバブーンみたいに無茶苦茶すぎンだろ!」
「アァン? 僕の妹がゴリラって言いてぇのかぁ?」
「オマエはアレの戦いを見たことねェから言えンだよ」

 グリダニアにてエオルゼア同盟軍や暁の連中、シドと顔を合わせた時にまとめられた設計図を突き付けられたことを思い出す。全く心当たりがない身からしたら不愉快極まりなかった。しかも作動しなかったのが奇跡な程度に無駄にしっかりとしたものだった。興味ついでに絶対捕まえてやると思っていた矢先に現れたのがまさかのエオルゼアの英雄と呼ばれる人間の血縁者である。この事実をシドらに伝えたらどうなるのだろうか。面白そうだがしばらくは放置でいい。

「よし、これで修理完了だ。ご主人、動かしてみてくれ」

 蓋を閉じ、外の人間に声をかけている。この男がやっていた行為に『絶対ガーロンドキレるな』と思いながら試運転を見守っていた。想定通りにかつ従来品より静かに動く装置に店主は満足し、報酬を渡そうとしたが拒否している。『あ、こりゃ絶対ガーロンド躍起になって探すな』と苦笑しながら代わりに報酬の交渉をしながら踵を返し歩き去ろうとするエルファーを掴んだ。

「報酬は貰いな。今後商売でアレをメンテする奴らの身になれ」
「素人がやったことに金を貰うのは迷惑だろう?」
「勝手に改造してる奴が何言ってンだ」

 そういうものなのかとぼやく確実に自分よりも年上なくせに世間知らずのエルファーを尻目に店主との交渉は続く。
 終わった頃には日が暮れ始め、近くの隠れ家で一夜過ごすことにする。結局報酬は少しだけ安めに貰い、装置を作った腐れ縁の会社の顔に泥を塗らない程度にはフォローを入れておいた。
 その肝心のエルファーは置かれている書物にかじりつき離れない。眺めながらため息を吐いた。

「オマエその知識どこで手に入れたンだ?」
「昔から修行の合間に色んな遺跡に忍び込んだりしててね。いにしえの技術を調べる機会はいくらでもあったんだわ」
「妹は知ってンのか?」
「ふむ手先が器用ってしか言ってないから知らないと思う。65年会ってなかったんだぞ?」
「あの女自分のこと26歳やら40歳やら言ってンぞ」
「はっはっはっなんて可愛い妹だ」

 シスコンが、という言葉を飲み込み寝台に寝そべり以前シドから見せられた爆破装置の設計図を目にやる。あの男は遠隔から火のエーテルを注入して爆破させるものと評していたがネロの目線では全く違うものだと判断していた。

「エーテルで張り巡らせた糸で伝播させて誘爆する装置とか普通の人間は作らねェぞ」
「いやあまさか不発でしかも人に発見されるとは予想しなかった。すまないすまない」
「後ろに刻まれている文字が起爆のトリガーだろ? 分解時よく爆発しなかったな」
「万が一のために繋がった糸が切り離された地点でガラクタになるようにしてるんだ。動いた実物見ずに設計図だけで判断できるのはすげえな、天才機工師様」
「調査した奴らの報告書が程々にお上手だったンだよ。ま、ガーロンドも自分で全部分解してたら気付いただろうな。そんな仕様が分かってもオマエの扱いなンてどうしようもねェだろ」

 気軽に量産できてかつ足付かないルートから手に入る材料を考えるとこれしかなくてなと書物から目を離さず話をしていた。「もうやるんじゃねェぞ」と言うと「さすがに派手にやりすぎたからな」とヘタクソな笑みを見せている。

 エルファーとの会話は程々に弾むものだった。振った話題は大体返ってくる。アラグ文明の技術関連の話や各地の伝承、昔読んだ物語に加えて機械装置の相談まで全て会話が成立した。妹の話さえしなければ完璧な技術者である。帝国外に彼のような存在がいるとは予想もしなかったというのが本音であり、そこは『流浪の旅をしてみるもンだな』と思っていた。
 何と言えばいいのか―――そうか、助手のポジションにあっという間に収まっていったのが不思議な話である。


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#エルファー関連,#ヴィエラ♂+ネロ

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注意 自機出番なし。前半新生2.0終了後、後半蒼天3.4終了以降のお話。&nbs…

蒼天,ネタバレ有り

#エルファー関連

蒼天,ネタバレ有り

旅人の兄は妹を知りたい
注意
 自機出番なし。前半新生2.0終了後、後半蒼天3.4終了以降のお話。
 
「大変でっす! お客さまでっす!」
「あら? 誰か来る予定だったかしら」
「それが……」

 砂の家。レヴナンツトールへ拠点移転に関して悩む暁の血盟盟主ミンフィリアの元にヴィエラの男が現れた。「アンナのお兄さんでしたよね?」と問うと「ああ。我が妹の街の名を拝借してエルファー・サリスで構わない」と返した。
 健康的な褐色肌、赤色の髪に赤と緑のオッドアイの青年は丁寧にお辞儀をする。先日、ここ砂の家に訪れ、エオルゼアの英雄となった妹を祝い故郷へと旅立った。そのことを問うと肩をすくめ口を開く。

「少々調べものをしたくて。ミンフィリア様、あなたに協力していただきたく今回挨拶に挨拶に参りました」
「そんな改まらなくてもいいわ。用件を聞きましょう」
「……我が妹について調べてほしい」

 ミンフィリアとタタルは目を丸くし、エルファーを見る。苦虫を嚙み潰したような顔をしながら話し続ける。

「先日話をしたのだが、僕と妹はあの時に久々に顔を合わせた。50年以上前故郷から消え去り、死んだと思っていた妹がエオルゼアの英雄になっているのは嬉しい話だが、あの妹は俺の知っているヒトじゃない」
「詳しく話してもらえるかしら? タタル、彼に紅茶をお願い」
「は、はい!」



 あの光の戦士の兄目線で語られた妹の話はミンフィリアにとって衝撃的なものであった。
 まずは遥か昔、2年ぶりに故郷に帰って来た時には消えてしまっていた話。新聞を一目見て絶対妹だと確信を持ち砂の家を訪ね、エーテル視で変質した妹を確認した時に芽生えた悲しみを。何もかも分からず、途方に暮れながらも妹の軌跡を調べ上げたいと言う願いをひたすら相槌を入れながら聞いた。
 その中でも気になった話がエーテル視の内容で。『奥底に闇の杭が打たれ、何者かの手によってエーテル、というより魂そのものに操作を施されたような形跡がある』と評した。

「君たちの組織は中立的で斥候も得意だろう? なるべくあの子に悟られないように少しでも多く情報を集めて欲しいんだ」
「私たちも既に調べたりはしているんですけど『第七霊災時に突然エオルゼア近郊に現れた旅人』としか出てこないんです。出来ればアンナの森の名を」
「教えてもいいがもし森の名程度で調べが付くならば僕が見つけていることを留意してもらいたい」
「それもそうね……」
「あ、あの!」

 隣で話を聞いていたタタルの呼びかけにエルファーは「どうした? レディ」と首を傾げる。

「幼い頃のアンナさん! どんな感じでっしたか!」
「ホー……レディ、妹のことを聞きたいのか! 仕方がないなあ話をしてやろう」

 急に明るい顔を見せタタルはあたふたと両手を振りながら案内されるまま椅子に座らされた。
 これから2時間くらい妹自慢が始まった―――。

「嗚呼すまない長くなってしまった」
「60年以上ぶりとは思えない妹溺愛っぷりは伝わりましたわ……」

 いつの間にかサンクレッドと巻き込まれたウリエンジェが合流し、延々と妹自慢を聞かされた。
 それは現在のアンナと正反対な可憐な少年のような振る舞いをしていたというもので、再会したら全く違う人間だったという言葉に納得せざるを得ない話。満足したのかエルファーは笑顔を見せ、「じゃあアンナに内緒で頼んだよ、盟主様」と踵を返し、砂の家を後にした。

―――後にタタルは語る。『アンナさんとはまた違った嵐のような人でっした』と。



 エオルゼア、某所。エルファーは木の上で手紙を開きため息を吐いた。

「そうか、逝ってしまったか」

 中立的な組織の盟主という立ち位置的にあるだろうなとは予想していたが、手がかりへのツテが想定よりも早く消えてしまった―――その事実に眉間の皴が深くなる。これからどうするか、と明らかに徐々に返事の頻度が減らされている妹からの手紙を読み直す。新しく利用できそうな人間を選別した。

「『シド』という男を訪ねるしかないのか? いや手紙を読む限りは妹と鉢合わせする可能性が高い」

 現在自分は故郷で"元"嫁たちと仲良くしていることになっている。息子たちが持ってくる情報で里の現状についての連絡をそのまま流すという方法で何とか立ち回っていた。罪悪感に蝕まれてでも妹を変えてしまった元凶を突き止めて殴り倒さないと気が済まない。よく書かれている"シド"という人間は妹とだいぶ仲良くしているらしく、一度対面して見極めておきたいとは思っている。しかし素直で嘘をつくのがヘタクソ、それに加えてよく会っているという文面で現在会うにはふさわしくない存在だと判断した。
 妹に植え付けられた闇が、暁の盟主から手紙で伝えられた『アシエン』という世界中で暗躍している奇妙な連中と関係しているのではないかという仮説までは辿り着いている。しかし確信に至るまでのパズルのピースが足りない。
 直接調べるため『ガレマール帝国によるエオルゼア侵略でアシエンが関わっていた』という情報を元に、カストルムへ忍び込むも大した成果も得られず、腹いせとして少々魔導機械装置をいただくついでに爆破して現在に至る。

「あー手がかりもなくなって暇になっちまったなあどうするか……。面白ぇやつとかいねぇかなあ。妹の知り合いで妹とはドライな関係で口が堅くてアシエンを知ってて妹の過去の手がかりを持っててシドとやらの知り合いとか歩いてねぇかなあ」

 ま、そんな都合のいい存在が簡単に現れるわけないか、と寝そべりながらぼやいていると真下に男が通りかかる。エルファーは目を細め、じっと見つめると過去に見覚えのあるエーテルの色。気配を消し回り込み確認すると金髪のよく見えないが額に何か付いている細長い男だった。その容姿自体は見た事がないが確実に会ったことはある。
 脳内データベースに検索をかけると、1人だけ引っかかった。あの時の相手は、妙な装置を携えた赤色の甲冑を纏っていたそれなりに偉そうな『帝国』の人間だったような、気がする。

「ホー……」

 ニヤリと笑い、密かに後を追ってみることにする。
 これは面白いものが、見れそうだ。


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#エルファー関連

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 前半蒼天終了辺り、後半漆黒付き合った後のお話。メインストーリーには特に触れない…

蒼天

#シド光♀ #即興SS

蒼天

"冷たい肌"
 前半蒼天終了辺り、後半漆黒付き合った後のお話。メインストーリーには特に触れないです。
 
「アンナっていつも思うがお前冷たいよな」
「悪口?」
「体温の話だ」

 アンナの怪訝な目に対してシドはため息を吐く。イシュガルドの騒動以降さりげなく手を触れる機会が増えたが、いつもひんやりと冷たい。

「冷え性、かも?」
「俺に聞かれても分からん」
「故郷の儀式で火には強いの。冷たさの原因は不明だけど」
「初めて聞いたんだが?」
「聞かれたことないから」

 アンナは目を細め「バァン」と言いながら指から一瞬だけ火花らしき輝きを出す。シドは目を丸くしてそれを見つめた。一瞬別の感情が湧き出そうになるのをグッと我慢する。

「故郷は火を大切にしてる部族でね。火の操作に関してはまあまあ人より上手なの」
「着火剤いらずで便利じゃないか」
「旅のお役立ちでしょ?」
「それでも指熱くならないのは凄いな」

 火を出していた指に軽く触れるとやはり冷たいままだ。アンナはニコリと笑い「不思議ね」と言う。
 褐色の細くて長い指をシドはぼんやりと絡めながら眺めている。

「シドの手、大きくて温かい。嫌いじゃない」
「そうか? まあ言われて悪い感じはしないが」
「褒めてるし」
「そうだな」

 2人は笑い合う。手袋とかした方がいい、夏だったら冷房いらずだな、ちゃんと寝る時は温かくしろと言うシドをアンナはニコニコと相槌を打っている。
 ここはガーロンド社休憩スペース、居合わせた社員たちはポカンとした顔でその掛け合いを見つめていた。



「昔お前が冷たい話したこと覚えてるか?」
「悪口の話?」
「体温の話だ」

 同じような会話したぞちゃんと覚えてるなと軽く小突く。
 最初こそは全身が冷たいものだった。しかし思考を溶かし、体を重ねると徐々に熱が灯され蕩けさせると人並みの体温を感じられる。自分の体温と混じり合う感覚が他では味わえない未知のもので。それはもうクセになる。
 胸元に口付けを落とすと頭に手刀をお見舞いされた。痛いと言うと呆れた声でアンナは「今日はもう終わり」と返した。

「叩かなくてもいいだろ」
「キミは久方振りなボクとの休日を"また"一日中寝る行為に使うつもりかい?」

 ボクはもう疲れてるんだよとアンナはジトッとした目で見つめる男に対しため息を吐く。リップ音を立てながら第三の眼付近に口付けを落とし、ボソリと喋り目を閉じた。シドは目を丸くしながら飛び起きる。

「本当か?」

 アンナは寝返りを打ち、何も言わない。そんな彼女を後ろから抱きしめ「おやすみ」と囁いた。


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#シド光♀ #即興SS

 次元の狭間オメガ関係の話終了後。性描写は口淫まで。 投稿を見るには鍵を入力:

紅蓮,ネタバレ有り

紅蓮,ネタバレ有り

【R18】旅人は密会する【pass:共通鍵】
 次元の狭間オメガ関係の話終了後。性描写は口淫まで。
投稿を見るには鍵を入力:

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 漆黒ネタバレを大いに含むものです。ご注意ください。続きを読む オメガ終了後に色…

メモ,ネタバレ有り

メモ,ネタバレ有り

20240107メモ
 漆黒ネタバレを大いに含むものです。ご注意ください。

 オメガ終了後に色々種を蒔いていますがそれが繋がるのが水晶公です。
 彼女はネロに本を託し、またシドに鍵を渡します。それは死を予感して個人判断でのやらかし。これには自分が見てきた世界が全て書き留められています。
 謎の手紙を受け取ったのはアラミゴ解放の次の日。書いたのはオメガシグマ編終了後、つまりネロが襲撃されてブッ倒れてシドに発破かけてたら何故か初夜となった次の日に温泉宿で引きこもり5日でまとめました。すごいですね。
 本人としてはちゃんとシドは自分を引き留める宿題は終わらせられるだろうって自覚はしています。だから実質死んだら読んでねという記録帳なんだよね。

 第八霊災が起こってしまい、ネロはアンナの墓の前で茫然自失になっているシドに本を渡します。鍵の事は即思い出し、解錠して読むとそれは彼女の目線で語られた自分へ宛てた物語。どう思ったんでしょうね。
 それは歴代ガーロンド社会長に託されて、最終的に目覚めたグ・ラハに託されるというのが当サイトの設定です。なので水晶公はアンナの過去も本名も知った状態で漆黒のヴィランズが開始されるんですね。
 多分第八霊災時空で死んだアンナもそこまで受け継がれる予想はしてなかっただろうし、現在のアンナにとっては自分が書いた封印されている本と何故か封印解除された本と2冊存在することになります。もれなくアンナは死ぬ。
 でもこうやって全てを知っているグ・ラハがいることで漆黒で起こるだろうアンナの胃痛は半減することになり結果オーライ。
 ちょっとずつ自己満足なものを書いて行きます。誰かに刺さったら嬉しいし刺さらなくてもアウトプットはし続けるので温かい目で見守っていただければ嬉しい限り。畳む


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注意漆黒ネタバレ。色々第八霊災捏造。  『もしも、また新たな空への道が…

漆黒,ネタバレ有り

#水晶公 #第八霊災関連

漆黒,ネタバレ有り

序章:紅蓮の先へと続く物語
注意
漆黒ネタバレ。色々第八霊災捏造。
 
『もしも、また新たな空への道が現れたなら。白く光る星に好きという言葉を伝えたい』
―――この本の最後に拙い古代アラグ文字で走り書きされ涙の跡が残る一文が、きっと彼らの記憶を想起し、奇跡を起こしたのだろう。

 フードを被った男は古びた本の頁をめくる。ある人物から手渡された『あなたに贈るため代々受け継がれた旅人譚』―――興味深い話だった。
 最初に持ったあの人への感情は憧れ。優しい笑顔で圧倒的な力を人助けために使う姿がカッコよかった。突然エオルゼアの地に現れ、あっという間に各地を救う英雄となった者の人柄に誰もが好きになっていったのだという。かつて枯れない花が供えられた墓の前で、全てを受け継いだ人がそう語っていた。旅人を救いたいがために、時代の先へ行くために。あの人の命と生涯愛し続けた男が託した重い選択というデカい船に沢山の想いや願いが無数に集まって、今の俺があるんだ。その願いを込められた技術で俺は別れから200年後に目覚め、世界を超えて時代を遡り待つこととなっている。
 "氾濫"から抵抗しながらも毎日のようにこの本を読んだ。英雄であったあの人について書かれた偉大な物語はいくつも語り継がれていたが、これは全く違うものである。
 それは生まれてから、死ぬ少し前までの本人目線で書かれた世界に1つしかない物語。いつだって見せていた優しい笑顔という仮面の下にあった長命種特有の悩みによる涙が不器用に描かれていた。頼られることも決して悪い気はしなかったが、誰かを愛することも拒絶する方法も分からない自分を憐れむ記録。死ぬことは察していたが、どう死ぬか予想もしていなかったのだろう―――この本を託した"彼"や周辺の人間に宛てた『こんな無名の旅人のことなんて忘れて、幸せになって欲しい』という言葉が何度も書き込まれていた。
 英雄ではなく、旅人として苦しみ、悩み続けた外からは一切観測できなかった全く違う視線で書かれた物語に俺は涙を流し、救いたいと何度も原初世界繋がる"扉"へ手を伸ばす。どうしてあの人にばかり悲しき運命が課されてしまったのか! 唯一特別だった人に宛てた遺言を抱きしめ、目を閉じた。
―――もうすぐ"あちら"は終わりの分岐点がやって来る。絶対に、失敗できない時代の先に俺の手で連れて行くんだ。呼びかけるために杖を掲げ願いを解き放つ。

「あなたのためなら未来を書き換えてみせるさ、全てを救うために、私を、私たちを【助けて】欲しい。アンナ……いやフレイヤ・エルダス!」

 俺は叫び、詠唱を開始する。必死に腕を伸ばし、少しでも確実性を上げるために誰にも教えなかったという本当の名前を叫んだ。


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#水晶公 #第八霊災関連

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注意 紅蓮4.5ストーリー途中に起こったお話です。  「うぬは、まさか…

紅蓮,ネタバレ有り

#ガイウス

紅蓮,ネタバレ有り

赤兎と、狩人
注意
 紅蓮4.5ストーリー途中に起こったお話です。
 
「うぬは、まさか―――」

 プロト・アルテマに乗り込んだガイウスは赤に染まった"冒険者"を見て絶句した。獣のような唸り声を上げながら丈夫な外殻を剥がそうと刀を振り回し、確実にアルテマウェポンを破壊しようと試みる。正気を失っているようで何がトリガーか予想が付かない。我を失った冒険者を振り払い、応戦する内に「シドが死んでたら、お前のせいだ」と朧げな呟きが聞こえる。どうやら彼女の中でシドは先程の大魔法に巻き込まれたと思っているようだ。しかしそれだけにしては異常な強さを見せる冒険者の説明にはならない。
 ふとそういえば過去に部下であったネロにあまりこのヴィエラを刺激しない方がいいとデータと共に進言されたなと思い返す。詳細を聞けばよかったかもしれないと後悔しながらも感情に身を任せた獣との戦いに彼も全力を持って応戦した。

『かつて陛下の前にまで辿り着いた侵入者の話であり、現在もあの方が執着している赤髪のヴィエラだ。どうやら1部隊使って誘導して帝国領内を走らせているらしい』

 魔導城プラエトリウムが崩れ行く中、ガイウスはとある日に聞いた【過去】とかつて読んだ報告書が浮かび上がる。現在は上級士官以上にしか立ち入りを許可されない書架に封印されている記録。

―――まだ死ぬわけにはいかない。



 ザ・バーンにて、突如倒れてしまったアルフィノを抱えアンナの前に現れることになる。
 黒髪のヴィエラは相変わらず人のために戦い続ける立派な強き者だなとガイウスはかつて刃を交わしたヒトを見つめた。

 情報提供のいう名の確信に至るための最後のピースとして黒薔薇プラントにあった初代ソル帝の人造生命体の話をすると明らかに反応が変わった。一瞬目を見開き、険しい顔を見せる。これは、確定だろうと判断し、ガイウスは別れの挨拶とともに言い放った。

「また会おう、真に強き光の戦士、いや赤兎よ」
「赤、ウサギとな?」
「―――!! 待て! あ、あなた!!!!」

 アンナはガイウスを掴み、ヒエンとアリゼーに「少し『お話』してくるから待ってて」と言い引きずって行った。



「ガイウス、あなた」
「魔導城にてうぬが見せた技と先程の反応で確信した。まさかソル帝が目を付けていたヴィエラがうぬだとは全くもって予想がつかなかったぞ」
「うえぇ……まだ知ってるヤツがいた……あの時確実にトドメさせばよかった……」

 小型飛空艇の前でアンナは頭を抱え座り込む。さりげなく物騒なことも言っているが触れずに目を逸らした。

「よりにもよってアリゼーの前で言わなくていいじゃない……」
「なんだうぬは未だ誰にもその過去を申しておらぬのか?」
「帝国といざこざしてる時にできる話じゃない」

 アンナの隠しきれない動揺と抗議の様子が少々子供っぽくガイウスの口から笑みがこぼれる。と思ったら突然大げさに手を広げ舞台役者のような演技ががかった口調で語り始めた。

「そうだよ、ボクが50年ほど前に【鮮血の赤兎】と呼ばれたガレマール帝国で怪談として伝わり続けたヴィエラさ!」
「ソル帝に出会ったあの夜、何があった?」
「……あ、それに関しては今思うと恥ずかしいのでトップシークレットにしていただきたい……。あとポーション投げ捨てるんじゃなくて後でまとめて渡したよ相当盛られてるからその話……」
「そ、そうか」

 即小さくなりながらため息を吐いている。どうやらその場では殺し合ったわけではないようだ。
 ただ単に迷い込んだにしては運が良すぎるが果たして。

「多分あなたも犯人じゃないんだよね?」
「何がだ」

 アンナから「これ」と言われながら黒色の便箋を手渡される。渡された物を眺めるとソル帝が用いていたものと酷似しており、「開けてもよいのか?」と聞くと「勝手にどうぞ」と言われた。中身を確認すると、【お前の役割は終わった】という文面とガーネットが施された装飾品が入っている。

「我はこんなことはせぬ」
「だよねえ」
「これを知っている者は?」
「まあ1人だけ。ボクにオマエは帝国で怪談になっていると教えてくれたお節介焼きがいてね」
「うぬは面倒な運命とともにしておるのだな」

 好きでやってるわけじゃないという抗議が聞こえたが流してやるとアンナは立ち上がり、笑顔を見せた。そんな彼女に報告書で気になった記述を投げかける。

「うぬは、20年程前シドに救われたというのでいいのだな?」
「は? 何で知ってるの?」
「……我はシドの後見人であった」
「ああそういえばそうだった。聞いてたのね。誰にも話してないって言ってたじゃないか……ハァ……」

 やれやれと肩をすくめため息を吐いている。どうやら監視されていたことは知らないようなので誤魔化してしまったと目を閉じて心の中で謝罪をしておいた。

「どいつもこいつもボクの過去を知ってる奴らはもれなくシドのことを聞いてくるから困るね」

 頭を搔きながら不貞腐れているようだ。「先に言っておくけどボクは特定の人間に好きや嫌いやらの感情は持たない方針だから」と言っているがガイウスはまだ何も言葉にしていない。

「ま、次生きて会えたら何があったかまとめておくさ」
「うぬのことを知りたい人間はいくらでもいるだろう。我だけにではなくきちんとゆっくりと考えて話すといい」
「まったく無名の旅人に言われてもなあ興味持たれる理由が分からないねえ」

 アンナが踵を返し、歩き出す。祖国で発行された作品で聞いたことのある単語にガイウスは反応した。

「龍殺しのリンドウの話も、また聞かせて欲しい」

 ガイウスの言葉に一瞬アンナの歩みが止まるが、片手を上げ振りながら仲間の元に帰って行った。

 拾った子供たちに聞かせた作品のうちの一つに、とある東方地域の逸話があった。山のように大きな龍をその辺りの木の棒で一閃したと言われる刀使いと共に旅をするものであり生涯唯一の弟子でもあった赤髪の少女がいたという。少女はザクロといった。そして彼女が持っていた手紙の中に入っていたものといえば柘榴石(ガーネット)。それは即ち―――

「偶然であればいいのだが」

 飛空艇に乗り込み、真実を確認するため、祖国のため男は旅立つのであった。


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#ガイウス

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