FF14の二次創作置き場
更新履歴
- 2024/11/26 旅人は魔導兵器を識りたい 新生
- 2024/11/19 "召し上がれ&quo… 新生
- 2024/11/15 溶けあうもの 紅蓮
- 2024/11/11 "11月11日&qu… 蒼天
- 2024/10/18 "嫉妬"、… 漆黒,
No.51, No.49, No.48, No.47, No.46, No.45, No.44[7件]
"冷たい肌"
前半蒼天終了辺り、後半漆黒付き合った後のお話。メインストーリーには特に触れないです。
「アンナっていつも思うがお前冷たいよな」
「悪口?」
「体温の話だ」
アンナの怪訝な目に対してシドはため息を吐く。イシュガルドの騒動以降さりげなく手を触れる機会が増えたが、いつもひんやりと冷たい。
「冷え性、かも?」
「俺に聞かれても分からん」
「故郷の儀式で火には強いの。冷たさの原因は不明だけど」
「初めて聞いたんだが?」
「聞かれたことないから」
アンナは目を細め「バァン」と言いながら指から一瞬だけ火花らしき輝きを出す。シドは目を丸くしてそれを見つめた。一瞬別の感情が湧き出そうになるのをグッと我慢する。
「故郷は火を大切にしてる部族でね。火の操作に関してはまあまあ人より上手なの」
「着火剤いらずで便利じゃないか」
「旅のお役立ちでしょ?」
「それでも指熱くならないのは凄いな」
火を出していた指に軽く触れるとやはり冷たいままだ。アンナはニコリと笑い「不思議ね」と言う。
褐色の細くて長い指をシドはぼんやりと絡めながら眺めている。
「シドの手、大きくて温かい。嫌いじゃない」
「そうか? まあ言われて悪い感じはしないが」
「褒めてるし」
「そうだな」
2人は笑い合う。手袋とかした方がいい、夏だったら冷房いらずだな、ちゃんと寝る時は温かくしろと言うシドをアンナはニコニコと相槌を打っている。
ここはガーロンド社休憩スペース、居合わせた社員たちはポカンとした顔でその掛け合いを見つめていた。
◇
「昔お前が冷たい話したこと覚えてるか?」
「悪口の話?」
「体温の話だ」
同じような会話したぞちゃんと覚えてるなと軽く小突く。
最初こそは全身が冷たいものだった。しかし思考を溶かし、体を重ねると徐々に熱が灯され蕩けさせると人並みの体温を感じられる。自分の体温と混じり合う感覚が他では味わえない未知のもので。それはもうクセになる。
胸元に口付けを落とすと頭に手刀をお見舞いされた。痛いと言うと呆れた声でアンナは「今日はもう終わり」と返した。
「叩かなくてもいいだろ」
「キミは久方振りなボクとの休日を"また"一日中寝る行為に使うつもりかい?」
ボクはもう疲れてるんだよとアンナはジトッとした目で見つめる男に対しため息を吐く。リップ音を立てながら第三の眼付近に口付けを落とし、ボソリと喋り目を閉じた。シドは目を丸くしながら飛び起きる。
「本当か?」
アンナは寝返りを打ち、何も言わない。そんな彼女を後ろから抱きしめ「おやすみ」と囁いた。
#シド光♀ #即興SS
「アンナっていつも思うがお前冷たいよな」
「悪口?」
「体温の話だ」
アンナの怪訝な目に対してシドはため息を吐く。イシュガルドの騒動以降さりげなく手を触れる機会が増えたが、いつもひんやりと冷たい。
「冷え性、かも?」
「俺に聞かれても分からん」
「故郷の儀式で火には強いの。冷たさの原因は不明だけど」
「初めて聞いたんだが?」
「聞かれたことないから」
アンナは目を細め「バァン」と言いながら指から一瞬だけ火花らしき輝きを出す。シドは目を丸くしてそれを見つめた。一瞬別の感情が湧き出そうになるのをグッと我慢する。
「故郷は火を大切にしてる部族でね。火の操作に関してはまあまあ人より上手なの」
「着火剤いらずで便利じゃないか」
「旅のお役立ちでしょ?」
「それでも指熱くならないのは凄いな」
火を出していた指に軽く触れるとやはり冷たいままだ。アンナはニコリと笑い「不思議ね」と言う。
褐色の細くて長い指をシドはぼんやりと絡めながら眺めている。
「シドの手、大きくて温かい。嫌いじゃない」
「そうか? まあ言われて悪い感じはしないが」
「褒めてるし」
「そうだな」
2人は笑い合う。手袋とかした方がいい、夏だったら冷房いらずだな、ちゃんと寝る時は温かくしろと言うシドをアンナはニコニコと相槌を打っている。
ここはガーロンド社休憩スペース、居合わせた社員たちはポカンとした顔でその掛け合いを見つめていた。
◇
「昔お前が冷たい話したこと覚えてるか?」
「悪口の話?」
「体温の話だ」
同じような会話したぞちゃんと覚えてるなと軽く小突く。
最初こそは全身が冷たいものだった。しかし思考を溶かし、体を重ねると徐々に熱が灯され蕩けさせると人並みの体温を感じられる。自分の体温と混じり合う感覚が他では味わえない未知のもので。それはもうクセになる。
胸元に口付けを落とすと頭に手刀をお見舞いされた。痛いと言うと呆れた声でアンナは「今日はもう終わり」と返した。
「叩かなくてもいいだろ」
「キミは久方振りなボクとの休日を"また"一日中寝る行為に使うつもりかい?」
ボクはもう疲れてるんだよとアンナはジトッとした目で見つめる男に対しため息を吐く。リップ音を立てながら第三の眼付近に口付けを落とし、ボソリと喋り目を閉じた。シドは目を丸くしながら飛び起きる。
「本当か?」
アンナは寝返りを打ち、何も言わない。そんな彼女を後ろから抱きしめ「おやすみ」と囁いた。
#シド光♀ #即興SS
自機出番なし。前半新生2.0終了後、後半蒼天3.4終了以降のお話。
「大変でっす! お客さまでっす!」
「あら? 誰か来る予定だったかしら」
「それが……」
砂の家。レヴナンツトールへ拠点移転に関して悩む暁の血盟盟主ミンフィリアの元にヴィエラの男が現れた。「アンナのお兄さんでしたよね?」と問うと「ああ。我が妹の街の名を拝借してエルファー・サリスで構わない」と返した。
健康的な褐色肌、赤色の髪に赤と緑のオッドアイの青年は丁寧にお辞儀をする。先日、ここ砂の家に訪れ、エオルゼアの英雄となった妹を祝い故郷へと旅立った。そのことを問うと肩をすくめ口を開く。
「少々調べものをしたくて。ミンフィリア様、あなたに協力していただきたく今回挨拶に挨拶に参りました」
「そんな改まらなくてもいいわ。用件を聞きましょう」
「……我が妹について調べてほしい」
ミンフィリアとタタルは目を丸くし、エルファーを見る。苦虫を嚙み潰したような顔をしながら話し続ける。
「先日話をしたのだが、僕と妹はあの時に久々に顔を合わせた。50年以上前故郷から消え去り、死んだと思っていた妹がエオルゼアの英雄になっているのは嬉しい話だが、あの妹は俺の知っているヒトじゃない」
「詳しく話してもらえるかしら? タタル、彼に紅茶をお願い」
「は、はい!」
◇
あの光の戦士の兄目線で語られた妹の話はミンフィリアにとって衝撃的なものであった。
まずは遥か昔、2年ぶりに故郷に帰って来た時には消えてしまっていた話。新聞を一目見て絶対妹だと確信を持ち砂の家を訪ね、エーテル視で変質した妹を確認した時に芽生えた悲しみを。何もかも分からず、途方に暮れながらも妹の軌跡を調べ上げたいと言う願いをひたすら相槌を入れながら聞いた。
その中でも気になった話がエーテル視の内容で。『奥底に闇の杭が打たれ、何者かの手によってエーテル、というより魂そのものに操作を施されたような形跡がある』と評した。
「君たちの組織は中立的で斥候も得意だろう? なるべくあの子に悟られないように少しでも多く情報を集めて欲しいんだ」
「私たちも既に調べたりはしているんですけど『第七霊災時に突然エオルゼア近郊に現れた旅人』としか出てこないんです。出来ればアンナの森の名を」
「教えてもいいがもし森の名程度で調べが付くならば僕が見つけていることを留意してもらいたい」
「それもそうね……」
「あ、あの!」
隣で話を聞いていたタタルの呼びかけにエルファーは「どうした? レディ」と首を傾げる。
「幼い頃のアンナさん! どんな感じでっしたか!」
「ホー……レディ、妹のことを聞きたいのか! 仕方がないなあ話をしてやろう」
急に明るい顔を見せタタルはあたふたと両手を振りながら案内されるまま椅子に座らされた。
これから2時間くらい妹自慢が始まった―――。
「嗚呼すまない長くなってしまった」
「60年以上ぶりとは思えない妹溺愛っぷりは伝わりましたわ……」
いつの間にかサンクレッドと巻き込まれたウリエンジェが合流し、延々と妹自慢を聞かされた。
それは現在のアンナと正反対な可憐な少年のような振る舞いをしていたというもので、再会したら全く違う人間だったという言葉に納得せざるを得ない話。満足したのかエルファーは笑顔を見せ、「じゃあアンナに内緒で頼んだよ、盟主様」と踵を返し、砂の家を後にした。
―――後にタタルは語る。『アンナさんとはまた違った嵐のような人でっした』と。
◇
エオルゼア、某所。エルファーは木の上で手紙を開きため息を吐いた。
「そうか、逝ってしまったか」
中立的な組織の盟主という立ち位置的にあるだろうなとは予想していたが、手がかりへのツテが想定よりも早く消えてしまった―――その事実に眉間の皴が深くなる。これからどうするか、と明らかに徐々に返事の頻度が減らされている妹からの手紙を読み直す。新しく利用できそうな人間を選別した。
「『シド』という男を訪ねるしかないのか? いや手紙を読む限りは妹と鉢合わせする可能性が高い」
現在自分は故郷で"元"嫁たちと仲良くしていることになっている。息子たちが持ってくる情報で里の現状についての連絡をそのまま流すという方法で何とか立ち回っていた。罪悪感に蝕まれてでも妹を変えてしまった元凶を突き止めて殴り倒さないと気が済まない。よく書かれている"シド"という人間は妹とだいぶ仲良くしているらしく、一度対面して見極めておきたいとは思っている。しかし素直で嘘をつくのがヘタクソ、それに加えてよく会っているという文面で現在会うにはふさわしくない存在だと判断した。
妹に植え付けられた闇が、暁の盟主から手紙で伝えられた『アシエン』という世界中で暗躍している奇妙な連中と関係しているのではないかという仮説までは辿り着いている。しかし確信に至るまでのパズルのピースが足りない。
直接調べるため『ガレマール帝国によるエオルゼア侵略でアシエンが関わっていた』という情報を元に、カストルムへ忍び込むも大した成果も得られず、腹いせとして少々魔導機械装置をいただくついでに爆破して現在に至る。
「あー手がかりもなくなって暇になっちまったなあどうするか……。面白ぇやつとかいねぇかなあ。妹の知り合いで妹とはドライな関係で口が堅くてアシエンを知ってて妹の過去の手がかりを持っててシドとやらの知り合いとか歩いてねぇかなあ」
ま、そんな都合のいい存在が簡単に現れるわけないか、と寝そべりながらぼやいていると真下に男が通りかかる。エルファーは目を細め、じっと見つめると過去に見覚えのあるエーテルの色。気配を消し回り込み確認すると金髪のよく見えないが額に何か付いている細長い男だった。その容姿自体は見た事がないが確実に会ったことはある。
脳内データベースに検索をかけると、1人だけ引っかかった。あの時の相手は、妙な装置を携えた赤色の甲冑を纏っていたそれなりに偉そうな『帝国』の人間だったような、気がする。
「ホー……」
ニヤリと笑い、密かに後を追ってみることにする。
これは面白いものが、見れそうだ。
Wavebox
#エルファー関連