FF14の二次創作置き場

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No.116

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注意表題でカットしたネロとエルファーサイドの話。   一服は、嘘ではな…

漆黒,ネタバレ有り

#エルファー関連 #ヴィエラ♂+ネロ

漆黒,ネタバレ有り

技師は宿題を解きに行く-幕間-
注意
表題でカットしたネロとエルファーサイドの話。
 
 一服は、嘘ではない。それよりも外の男が心配だった。「エル」と声をかけると赤髪のヴィエラはゆっくりと口を開いた。

「……長い耳舐めんな。全部聞こえた」

 石碑の前に座り込んでいる。顔を凝視すると涙を拭った痕跡が見えた。こちらに来ると気付いて急いでこすったのだろう。

「クソが。だからコイツ嫌い」
「まさかガーロンドと似てるつって毒吐いてた奴が」

 煙草を取り出し咥えるとエルファーは指をパチンと鳴らし火が灯された。

「臆病者。本質は年を取っても変わらず。大方妹を雑な扱いして死んだら僕に殺されるって思ってたんだろ」

 眉間に皴を寄せる。空に手を伸ばし、吐き捨てる。

「まさか"僕ら"が作った理論を妹が使いこなすようになるとは予想外」
「そりゃどういうもンだよ」
「"奥義:流星"、門外不出。それに―――科学で解明できないものなんて嫌いだろう?」

 火事場の馬鹿力を表層的なものにした錬金術由来のモノ、って感じかな? と言うとネロは眉間に皴を寄せ煙を吐いた。

「ほーら嫌な顔。僕だって現実感皆無で嫌い」
「そーだな。だがな、エル。オレはオマエのことだけはもっと知りてェなァ」

 笑ってやるとエルファーも釣られたように口元が持ち上がった。笑っているつもりなのだろう。

「でもきっとそのリンドウと自分が似てるなンてガーロンドにバレたら不味くね。嫉妬でバグるぜ?」
「ありえる。ほらこれ、当時描いてもらった」

 懐から取り出した劣化防止された紙を眺める。それには3人の男が描かれていた。
 中央にいる片目を髪で隠したヴィエラ、背の低い笑顔を見せるミコッテの男、そして背の高いエレゼンの男。

「そのエレゼンがリン。ハーフガレアンだったんだよ」
「はぁ!?」
「言っただろう? 親の影響でエーテル操作が下手だったって。まあそういうこと。多分妹も知らない。酒の席で樽2個飲ませてようやく口を割った」
「こわ」

 3人が出会った頃はまだガレマール共和国時代であった。父親は鎌を持つとある集落の"農耕民族"だったが生活苦で亡命。オサードで呪術士として旅をしていた母親に出会ったらしい。そして成人後、強くなるために父が持っていたものやエーテルとはまた違う技術に頼ることにした。各地を旅する内にサベネア島に辿り着き、現地人と話をしていたアリスとエルファーに出会うこととなる。

「やべェな。共和国時代か。何つーか昔すぎる話に現実感がねェ」
「言っただろう? 僕は君が思っているより年より上。―――不思議な男だったよ。第一印象は、な。その後、ラザハンの伝承で面白そうなものがあってね。アリスが理論をこね、僕が協力して形作る。んで、全てリンの体で実験、実証」
「実験、ねェ」
「はっはっはいっぱい苦しめてやった。その結果魂自体も少し歪んだ。そのドス黒い闇の歪みがな、実は今の妹にもある」
「―――は?」
「察してた。だが、信じたくない。僕が関わった研究でバケモノにしてしまった事実から目を背けたかった。だから自分の好奇心を満たす旅を優先した。最低だろう?」

 君の前に現れたのも本当はそれが理由だったと目を細め、石碑を撫でる。ネロは吸殻を踏みつぶし、隣に座った。

「あの野郎の手紙に"継承"とあったみたいだが理論だけではない。文字通りリンの全てを魂ごと受け継いでるんだよ。細かいクセも影響されたというには忠実すぎる。完璧にアリスのアホも一枚噛んでるな」
「ンなこと出来ンのか? 聞いたことねェぞ。ていうかオマエ魂視れンの?」
「昔色々あった。―――アリスならありえる。しかもその上でアシエンに魂を弄られている。挙句の果てにハイデリンの加護だぁ? 笑える。何で妹ばっかりこんな目に遭わないといけない」

 エルファーは苦虫を嚙み潰したような顔を見せ、拳を握り締める。

「正直に言う。正気なのが奇跡。―――それは多分リンの教えで自らを縛り、ガーロンドクンがいたから人の形を保っているんだと思う。それが無い今の妹はきっとハイデリンの加護が全て。アシエンに保証されてるとは思いたくない」
「ナァ」

 ネロはうじうじとマイナス方向に考えを張り巡らせるエルファーの思考を打ち切るように声をかける。

「もう妹以外のこと考えねェか? ずっと現実から目を背けてこのオレ様とイイコトでもしようぜ?」

 目を見開き少しだけ慌てた顔をしているのを見てゲラゲラ笑う。「か、からかうんじゃない」と咳ばらいをしながら小突いた。

「そうだな、妹は大丈夫。あの子は強い。どれもこれも全てリンとガーロンドクンのせい。アイツらが似てるのが悪い、うん」
「ああそうだガーロンドが悪い。しかし余計にバレたら機嫌悪くなりそうな話だなァ」
「だな。今の話は無しだ」

 立ち上がり、鞄からミネラルウォーターを取り出しそのまま石碑に注ぐ。

「アリス共々冥府で頭冷やせ。あと100年位したらそっちに行ってやるから指くわえて待ってろ。―――よし、ネロ。さっきから気になってたモンが家の中にある。見に行こう」

 前髪を払い左の紅色の目を開き口角を上げた。


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