FF14の二次創作置き場

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補足 2025年のヴァレンティオンデークエストに少し触れたシド光♀です。 少しだ…

漆黒

#シド光♀ #季節イベント

漆黒

旅人は花を置く
補足
 2025年のヴァレンティオンデークエストに少し触れたシド光♀です。
 少しだけ黄金ネタ有り。(物語の核心に繋がるネタではないです)
 
 
1.平和なヴァレンティオンデー朝
「今年もあるんだな……」

 シドは苦笑いして見せた。目の前には"これまで以下略チョコレート"と書かれている。毎年変なことを言いながら渡していたが、ついに建前を考えることすら面倒になったらしい。
 ヴァレンティオンデー。本来好きな人に「愛」を伝える祝祭と記憶している。だが、アンナが莫大な量のチョコレートを変な口実付けて配る日と化していた。
 原因はアンナの兄であり現在社員として働いているエルファーによる見当違いなアドバイス。しかし残念ながらシドだけは現物を貰えたことがない。

 閑話休題。今年はアンナ本人から手渡さず、自分で取る方式らしい。近くにいたジェシーにこれを置いて帰ったヤツはどこに隠れているのかと聞いた。どうやら「グリダニアで仕込み」と言ったのだとか。

「で、止めずに行かせたと」
「いいじゃないですか。恋人の奇行くらい許容しましょうよ」
「ああ、お前らもついに奇行と認めたか……」

 仕込みというキーワード。それは彼女の厄介な"趣味"に起因するものである。最初こそは微塵も見せていなかったが、彼女はモーグリ族顔負けのイタズラ趣味を持っている。
 多少のサプライズならどうってこともない。だが、彼女は何事にも全力を尽くす人間だ。無駄に器用な技術を用い、あの手この手でこちらを驚かせ、満足したら去る。救いなのはそのイタズラ相手はシドだけで、他人には相変わらずすました顔で対応していた。
 しかし毎回怒鳴りながら追いかけている姿は社員の間でも「また見せつけて来てる」と惚気の一種だと勘違いされている。確かに間違いなく愛はある。あるのだが――心臓がいくつあっても足りないというのが本音だ。

「だって会長、アンナさんからイタズラされた後機嫌いいですし」
「毎日されててほしいよなあ」
「オイラは毎回愛って何か考えさせられるッスよ……」

 このように社員らの目には機嫌を直す薬として見られているらしい。どういう解釈をしたらそういう解を導くことができるのか、是非とも詳しく聞いてみたい。が、理解できそうもないのでやめておく。
 嫌な予感を察知しながらも、どさくさに紛れてチョコを手に取りながら本日も業務が始まった。

2.サプライズには花束を
 珍しく彼女は夕方まで現れなかった。

「やあシド」
「またバカみたいな量のチョコを作ってたな」

 シドは苦笑しながら自室に現れたアンナを迎えた。何かを後ろに隠している。怪訝な目で見ているとアンナは満面な笑顔で差し出した。

「ほらチョコレートなんかより。バラの花束、いかが?」
「ど、どうしたんだいきなり」
「今、グリダニアで、バラが熱い」

 アンナによると、現在グリダニアでは愛する人に渡すバラを配っているのだという。お手伝いのお礼で貰ったからあげる、と。
 ニッコリと笑いながら大きな花束を押し付けてくる。

「日頃のお礼だよ」
「だからそれをやるなら俺の方だと」
「早いもん勝ち」

 ほら早く手に取って、とアンナはまた一層押し付けてくる。シドはやれやれと言いながらその花束を受け取る。
 見た目は何もない赤いバラの花束だ。まじまじと眺め、どこのバラかと聞くと昔はイシュガルドで。霊災による気候変動の影響で今はグリダニアの人が育てているとアンナは答えた。
 シドは柔らかな笑みを見せる。それを握り、どこに飾ればいいのかと考えているとカチッという音が鳴った。

「カチ?」

 鳴り響くクラッカーの音。飛び散る紙吹雪。一瞬で理解する。これが朝聞いた仕込み、かと。アンナを見る。いつの間にか扉を開きこちらを見ていた。ニィと不敵な笑みを浮かべていつもの一言を口にする。

「ナイスイタズラ」

 その言葉と共に一目散に走り去る。シドは「待てアンナ!」と怒りながら、今日もまた追いかけ回した。

3.真実は突然に
「今日も平和すぎて欠伸が出るな」
「まーた変なことしてたのか我が妹は」

 また逃げられてしまった。逃げ足だけは本当に早い。ため息を吐きながら彼女の兄に苦情を言いに行く。
 こいつらにも平和扱いされるのかと思いながら大体の出来事を話す。

「ということがあってな」
「赤のバラ、ねぇ」
「よしここで新開発したシステム披露。OKカイルくん」

 エルファーが手を上げると青色に光る玉がコロコロとやって来る。

『ピピッ、何について調べますカ?』
「何だこれ」
「お前最近また引き籠ってンなと思ったら変なモン作ってたのか」
「変なのとは何だ変なのとは。まあ見てろ。……赤いバラ、花言葉」

 手を叩きながら検索ワードを語りかけるとしばらく読み込み音が聞こえた後、電子音声が鳴り響く。

『ピピッ、愛の誓い! 愚問ですネ!』
「今さらだな。ガーロンドくん、何本?」
「何がだ?」
「お前そンなことも分かんねェのか。本数によってまた花言葉が変わンだよ」

 なぜ俺が呆れられないといけないのかとジトリとした目で見ながら、思い返す。しかし、まじまじと眺め数えてはいなかった。

「いや覚えてないな。10本は超えていた、と思う」
「……まあ想像の範疇。OKカイルくん」
「なぁそのOKまでいるのか?」
「これがいいんじゃないか。コホン、赤いバラの花束、10本以上、我が妹が好きそうな花言葉」

 またジジジと読み込み音が聞こえる。30秒余り経過した後、電子音声が鳴り響いた。

『ピピッ、21本』
「なぜ?」
『ピピッ、花言葉はあなただけに尽くします。ついでにヴァレンティオンデーの概要を確認しますカ?』
「はいカイルくんありがとうもうお腹いっぱいだ」
『ピピッ、お役に立てたようで何よりでス! またいつでも質問してくださいネ!』

 そのまま物陰へ去っていくのを見届けた後、エルファーとネロはジトリとした目でシドをちらりと見た。

「結論、照れ隠し」
「ハッ、茹蛸になってンな」
「お、お前たちうるさいぞ!」

 そういえばイタズラの後片付けを忘れていたことを思い出す。急いで自室へ駆けだした姿を呆れた目で2人は見守っていた。

4.照れ隠し
 自室へ戻ると即違和感を抱く。そのまま飛び出したのでイタズラの残骸が残っていたはずだ。しかし綺麗に掃除されている。首を傾げているとふと気配を感じた。
 肩をすくめた後、ゴーグルを外す。そして神経を研ぎ澄まし、第三の眼で確認をすると、何かが部屋の隅で丸まっていた。ゆっくりと近づき、目の前に座る。

「人をストレートに口説きたいなら変なギミック加えない方がいいぜ」
「……チッ」
「舌打ちをするな。ほら姿を見せてくれ」
「やだ」
「透明化はアルファ――じゃないな。これはシルフ族のおまじないから着想でも得たのか? 相変わらず錬金術で遊んでるな」

 ボンという音と煙で何も見えなくなる。だが、ガレアン人が持つ目を持ってすれば小手先の策は通じない。姿を現しながら立ち上がろうとした彼女の腕を掴み、そのまま抱きしめた。

「っ――!?」
「アンナ」
「離して」
「逃げるじゃないか」
「帰る」
「帰すわけないだろ」

 みるみる煙が晴れ、そこには顔を真っ赤にした恋人が。アンナ・サリスという人間はイタズラ好きのクセに、いざやらかしたらこうやって隅で震えている。初めてやらかされた時は逃げた先で泣いていた。
 だから強く責めることもできない。何より器用な技術が気になるからと後で調べることも多かった。そして少しだけ改良してやり返したらこれも泣く。シドはそんな姿もまた愛おしく感じていた。
 そう、あの血も涙もないと一部で囁かれているこの英雄様。実は意外と泣き虫な面がある。兄によれば「人と関わってこなかったから分からなくて泣き出すのだろう。まだまだ子供で可愛いよな。ついにガーロンドくんにも分かってもらえるとは思わず」らしい。これは酒の席で出た発言なので流石に気持ち悪いぞ一緒にするなと釘を刺しておいた。
 まあ確かに彼女の泣き顔は少しだけ、そうほんの少しだけそそる所もあるのだが、絶対に言うわけがない。吊るされるというオチが浮かぶ。

「造花だよな?」
「もちろん。本物はジェシーがいい花瓶準備してくれた」
「明日部下たちからどういう目で見られるか」
「愉快」
「お前なぁ……っとそうだった」

 シドはふと後で食べようとそばに置いていたチョコレートに手を取る。

「キミはママ以外からいっぱい貰ったことある。何貰ってるの」
「うるさいぞ」

 今年はコーンっぽいものを模した立体チョコレートと、白いモコモコとしたような動物を描いたアイシングクッキーだ。

「これは最近お前が行った場所で生息してる生物か? いやこれは食べ物か?」
「アルパカとモロコシ様だけど」
「モロ、コシ……?」

 相変わらずどこを旅すれば奇妙な体験をするのか理解ができない。もう少し説明を求めたら満面な笑みを見せた。

「アルパカはこっちでいうチョコボみたいなやつだよ。モロコシ様はモロコシ様。とっても優しくておいしいんじゃぞ」
「また妙な語尾を……」
「で? いきなりそれを持ち出してどうしたの?」
「決まってるだろ」
「……お断り」

 シドは何も言わずにジトリとした目で見ると、アンナは両手を上げた。

5.サプライズはメインディッシュ
 目を覚ますと、既にアンナはいなかった。相変わらず早朝の日課とやらが大切らしい。伸びをしながら着替えを手に取った。
 嫌な予感がしながらも外へ出るとやはり視線が気になる。アンナは一体どこに飾ったというのだろう。
 工房に入るとネロとエルファーが笑顔で立っていた。そして手に持っていた"カイルくん"が浮かび上がりシドを案内する。その先には複数の大きな花瓶に生けられたバラの花。

「OKカイルくん、女心が分からない会長クンに本数数えて花言葉、どうぞ」
『ピピッ』

 上部のフタが開き、レンズが現れた。そして光と共にバラを照らした後、再び読み込み音が流れる。高らかな電子音声が響いた。

『ピピッ、バラの花束、99本ですネ! 永遠の愛、長年の想い、ずっと一緒にいてください! こちら七度目の質問でス!』
「まーた茹蛸になってンな」
「兄は割とマジで許さないぞとしか言えん」
『ピピッ、また何かありましたらいつでも質問してくださいネ!』
「いらん!」

 ポケットを漁ると心当たりのない紙切れの感触。恐る恐る開くと『満足』と書かれていた。
 シドは再び顔を真っ赤にしながら恋人の名前を叫んだ。


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#シド光♀ #季節イベント

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補足 時間軸はウェルリト後なので念のためにネタバレ有り行きにしてます。 本当は兄…

漆黒,ネタバレ有り

漆黒,ネタバレ有り

旅人は悩みを解決したい
補足
 時間軸はウェルリト後なので念のためにネタバレ有り行きにしてます。
 本当は兄のエルファーとご飯きっかけに文通以外でお話したい自機の話。
 

――ウェルリト。

「おおアンナか、すまぬ」
「ガイウス、別に着替えしてるわけでもなしそのままでいいよ」

 エオルゼアの英雄であり、かつて"鮮血の赤兎"と祖国で恐れられたヴィエラは宿泊スペースで刀の手入れを行っていた。手招きをされたのでガイウスはアンナの近くへと寄る。そしてしばらく慣れた動きを眺め、感心した。

「器用なものだな」
「慣れてるから」
「龍殺しに教えてもらったのか?」

 アンナは目を見開きガイウスを見る。しかし「あーそういや帝国の人ってフウガ知ってるんだっけ」とすぐ刀に視線を落とす。

「旅人たるもの武器の手入れを怠るなって教えてもらったんだ」
「流石唯一の弟子と伝わっているだけある。うぬは苦手なこともないのか?」
「んーフウガには最後まで勝てなかったよ。だから戦うのも苦手。木の棒でドラゴンを倒したり岩をチーズのようにスライスしたりもできないよ。ボクは全然すごくないさ」

 苦笑しながら柄に入れ、顔を上げた。手入れ道具を片付け身体を伸ばす。

「せっかくよい環境におるのだ。一度プロに見てもらった方がいいかもしれぬぞ?」
「うーん……武器ってさ。持ち主の身体の一部だと思ってる。だからそれを気軽に渡して見せるってのはねえ」

 少しだけ唸るような声を上げた後「あーでも」と手をポンと叩く。

「銃系が分かんないんだよね」
「銃、と申すと?」
「ほら、機工士が使う銃とガンブレイカーのガンブレイドだよ。フウガって魔導技術革新より前の時代の人間だから、教えてもらえてないのさ。とりあえずイシュガルドの工房で、整備の仕方は一通り教えてもらったんだけど。まあガンブレイドの方はさっぱりってやつ」

 お手上げなんだよねってと肩をすくめるとガイウスは少しだけ考える。その後愛用のガンブレイドを取りだした。アンナは首を傾げ、それを見ている。

「こいつは、No.IXと言ってな。ワシの親友、ミド・ガーロンドが軍団長就任祝いにと贈って来たものだったのだ」
「……ホー」
「うぬが持っておるものとは仕様が異なるかもしれぬが、魔導機工師ならきちんと頼めば診てもらえるのではないか? ……信頼できる人がおるだろう?」
「確かに、そうかもねぇ」

 アンナは不敵な笑みを浮かべる。そして今回の企みで脳内がフル回転された。これをダシにしたら、あわよくば兄のエルファーとご飯を食べられるかもしれない。

「よし。ガイウス、いい思い出話ありがとね。かわりにちょっとだけフウガの話をするよ」
「子供たちも呼んでいいだろうか」
「……あんのアシエンどこでフウガを知ったんだよほんとに」

 即苦笑しながらため息を軽くつき、呼びに行ったガイウスを待つ。
 その後、少しだけリンドウとの旅の思い出を話してやる。アンナは"そういえば、こうやってフウガの詳しいこと人に話すのは初めてだっけ"と考えながら、夜が更けるまでその話をした。



 作戦はこう。ネロサンに武器の整備を依頼し、次の日にいつもネロサンの部屋に隠れてる兄さんを呼び、一緒に朝ごはんを食べる。これをきっかけに引きこもってないで時々は一緒に買い物とか行こうと誘う。ネロサンもノッてくれるはずだ。よし、我ながら完璧。

「というわけで武器の整備をお願いしたいんだよね」
「なーにがというわけだ? ガーロンドに頼みゃいいだろ」
「適材適所」

 ガーロンド・アイアンワークス社。休憩室で優雅にコーヒーを飲んでいた男をラボと称している場所に引っ張り武器を突きつけた。

「元軍属なら銃とガンブレイドの整備位朝飯前でしょ?」
「マァそうだがそンな使ってねェよ。俺の戦い方位知ってンだろ?」
「む、お金出すし少々使える方向に改造してもいいから」
「いやガーロンドに殺されっか」
「あ、もしかしてボクが使う武器触るの怖い? まあ結構使いやすいように弄ってるしね。壊しちゃうって思ってるんだ。天才のくーせーに、意外と繊細。メンタルがザ」

 その畳みかけるようなセリフにネロはカチンと来る。ヘタクソな罵倒言葉を打ち切るように震えながらキレ散らかした。

「やってやろうじゃねェかよこの野郎! この天才機工師の俺様にできないことはねェ!」
「じゃあ明日までによろしくね。はいお代先払い」

 勢いで言ってしまった。ネロはその場に突っ伏してしまう。アンナは重みのある革袋を武器の横に置き、踵を返した。扉を開く直前にネロが「そういやよ」と引き留める。アンナは「何?」と言うと、ネロは指さした。

「いきなり何で武器を整備しろって言い出したンだ。お前何でも自分でできるハズだろ? 動機教えろ動機」
「え、ウェルリトでガンブレイド整備方法不明ってガイウスに言ったら"信用できる人がおるだろう?"ってヒント教えてくれたからだよ? そういやあの人が持ってる武器ってミド・ガーロンドに贈ってもらったものなんだって」
「ア?」
「じゃ、ボクは別の用事こなしてくるからまた明日」

 ネロが止める間もなくアンナは去ってしまった。顔に手を当てため息を吐いているとひょっこりとエルファーが現れる。

「アレ、絶対意味履き違えてるよな。俺の勘違いじゃなけりゃ、超遠回しにガーロンドに頼めつってるよな閣下」
「だな。でもまあ一先ず隠そうか。よし、華麗に会長くんへ全仕事を押し付け、定時退社。腹ごしらえ後整備だ。我が妹の武器がどんなもんか見てみたかったんだ」
「マァ使いやすいように弄ってるっつーのがどういうのか気になるがよ」

 ま、バレなきゃ何も起こらないかと肩をすくめ、笑みのようなものを見せるエルファーに笑いかけた。部屋を後にし、今晩の計画を練る。



「で、俺に全部仕事を押し付けてお前たち2人は優雅に外部からの依頼、と。金もたんまりと貰ってな」
「黙秘権行使」
「しかもこれ見たことあるぞ。アンナのだよな。どういうことだ? ネロ」

 2人は"普段は鈍感なくせにこういう時に限って鋭い"と舌打ちする。
 優雅な定時退社を決め、整備するための道具を準備した後腹ごしらえだとレヴナンツトールで飯を食いに行く。戻ると、"ちょっと聞くことがあったから"とラボを覗いた後、何かに気づいたシドがジトリとした目で待っていた。笑顔を引きつらせながら「何か用でもあったか?」と聞くと「それはこっちのセリフだ」と吐き捨てた。
 見るからに自分は不機嫌だと顔に書いている。

「前にも言ったよな? 勝手に、アンナの、お願いを聞くなって」
「記憶にねェな」
「初耳」
「いつ何回言ったか覚えてるぞ言ってやろうか?」
「クソッ、適材適所つって押し付けてきたンだよ恨むなら日ごろからアピールしてねェ自分を恨め」
「武器なら元軍属のネロに頼るのは自然だろう? 我が妹は意外と合理主義なことを忘れたのかいガーロンドくん」
「うぐ……」

 シドは言葉を詰まらせる。面白いわけがなかった。これがあるということは日中アンナが来ていたということ。自分の所へは挨拶にすら来ずに。大方最初は断ろうとしたが、どうしてもと押し付けてきたのだろう。アンナが一度思いついたことは絶対に曲げない頑固さがあることを、鈍感なシドでも体感してきた。

「―――じゃあ今日の所はお前がやってるのを見る。次はないからな」
「勝手にしろ」

 ネロはため息をつき道具を広げる。隣で2人分の視線を受けながら"あのバブーン覚えてろよ"とグチグチ言いながら夜は過ぎた。



「やあやあ取り立てにきたよネロ、サ、うわぁシドいるじゃん。……じゃなかったおはよ」

 早朝、アンナは日課を早々に終わらせこっそりとガーロンド社に顔を出す。この時間ならシドも起きていないだろうしと思いながら、軽やかなステップで3回ノック後、ネロの部屋に入る。いの一番に笑顔で立っているシドと目が合った。ネロは隣で大欠伸をしながら伸びをしている。

「うわぁって何だ。また1週間程度連絡つかなかったが元気そうじゃないか。アンナ」
「いや私がそんなこと言うわけないじゃない、お早いお目覚めとは健康で結構結構。へへっ……頼みごとの回収終わったら顔出す予定だったでやんすよ」
「変な誤魔化し方してると後で酷い目遭うの位いい加減に覚えとけ。……ほらメスバブーン終わったぞ。ったくアホみたいに弄りやがって。結構苦戦したかンな」
「帝国式に比べたらクセはあるがこれ位俺でもできるさ。ネロじゃなくて俺に頼れ」

 アンナは武器を受け取りながら苦笑する。しばらく眺めた後、3人分のサンドイッチを机に置いた。

「私的には。あなたと武器、似合わないなって思ったからネロサンに押し付けただけだよ。でもまあ何かプランがあるのなら、次はお願いしようかな」
「嘘つきやがるのもお上手で」
「ネロサンお黙り」

 シドは目を丸くしてアンナを見る。

「んじゃ、報酬代わり。3人で食べてね。ありがと」

 そのまま踵を返し、部屋から抜け出した。シドの声が聞こえたが無視して扉を閉じる。
 しばらく歩き、ジェシーと鉢合わせした。

「あらアンナ、おはよう早いわね。会長に会いに来たの?」
「……兄さんと朝ごはん食べたかったなぁ」

 盛大なため息を吐く姿をジェシーは珍しいものを見る目で眺めていた。


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注意 初めて自機が素面で好きという言葉を伝える話。 passは共通鍵。 投稿を見…

漆黒

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【R18】好きだと言って
注意
 初めて自機が素面で好きという言葉を伝える話。
 passは共通鍵。
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注意・補足旅人は過去を懐かしむでリンドウの墓参りに行ってクガネに戻った夜の話。そ…

紅蓮,ネタバレ有り

紅蓮,ネタバレ有り

【R18】旅人が過去を懐かしんだ夜
注意・補足
旅人は過去を懐かしむでリンドウの墓参りに行ってクガネに戻った夜の話。そして紅の旅人で語らなかった自機視点での真相。描写自体は手淫程度。
パスは共通鍵。
投稿を見るには鍵を入力:

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注意・補足 新生以降紅蓮以内のシド光♀。モンクジョブクエ50前提。  …

新生,ネタバレ有り

#シド光♀

新生,ネタバレ有り

"武器と手加減"
注意・補足
 新生以降紅蓮以内のシド光♀。モンクジョブクエ50前提。
 

 目を閉じて、息を大きく吸う。目に見えぬ何かをまとわせ、それを拳へ集中させる。重心を下半身に、上半身は力を抜き、"気"を意識。

「アンナじゃないか」
「っ!?」

 突然声を掛けられ集中が途切れてしまった。振り向くと白い男が手を振りながら走り寄って来る。

「だいぶ早い時間に起きるんだな」
「そんなことないよ? シドこそ早い。……いや徹夜明け?」
「正解だ」

 肩をすくめ、苦笑している。そして何をしていたんだと聞くのでボクはいつもの笑顔を見せた。

「朝の日課は運動から始まる」
「ああ準備運動みたいなもんか」
「昔ある人に教えてもらった。武術、その"型"と言えばいいのかな? 体操の代用」
「アラミゴの僧兵か?」
「あーそれに近い。本場のモンクの人に色々教えてもらったけど違う動きだったの。多分別流派」

 じゃあそういうことでと再び構えるとシドはそのまま少し離れた場所で見ている。首を傾げた。

「いいじゃないか」
「楽しくないよ?」
「楽しいとかじゃないさ」

 よく分からないので放置しておこう。そのままいつも通り、姿勢を正してゆっくりと呼吸を整え、そして―――



汗を拭きながら、一息吐く。シドは―――ずっといたみたい。

「凄いな」
「毎日やってれば誰だってできるものだよ。健康体操みたいなもん。君もやってみる?」
「あー今度にしてくれ」
「やる気はなし」
「邪魔をしたくないんだ」

 しっかり自覚して結構と言ってやると顔がほころんでいた。どうやら褒め言葉だと思っているらしい。もうそれでいいよ。

「まあこの辺りでやっているのも理由があるんだ」
「理由、か?」
「ここモードゥナは"世界の中心"とやららしいからね。確かにエーテルの吸収をしやすい。流れも掴みやすく、面白いことがやりやすいんだよね」
「俺の論文読んだのか?」
「ちょっと借りたのよ」

 目を丸くしているシドにニィと笑ってやり、装備していた格闘武器を外す。1本の樹木の前に立ち、息を吸う。そして拳を当てがい、エーテルを集中させた。

「例えばこうやって」

 拳に力を入れる。その瞬間パンと破裂音が響き渡った。小鳥たちの慌てたように飛び立つ音が聞こえる。

「木が」

 シドの顔を見るとどんどん血の気が引いているのが分かる。当たり前だ。跡形もなく樹木がバラバラになったのだから。

「エーテルって便利だね」

 満面の笑みで言ってやる。こうすると大体の人間はボクの周りから去って行くのだ。
 しかしこの男は違った。

「おい拳は痛くないのか!?」

 その手を握りボクを心配するような目を見せている。どこまでも優しい男だ。首元がくすぐったい。

「? エーテルを拳に集中させて撃ってるだけだし。やってることはモンクの体術と一緒だよ? チャクラは体内エーテルの流れのことだし」
「いやそんな激しく体内エーテルを消費するような行為も身体に悪いだろ! 無茶をするな」
「こんなのめったに人に見せないしやらないよ。だから武器装備してる」

 傍に置いてある刀を持ちシドに触らせる。鞘を通し、長い刀身をなでさせた。

「これは他の人に内緒だよ? 私にとって武器というものは手加減の道具。これがないととーっても困っちゃうの」
「手加減」
「少しでも拳に力を入れちゃったらあなただって一瞬で粉砕しちゃう。人間として、エオルゼアにいるための大事なパーツ」

 耳元にまで近づき、笑みを浮かべた。子供に言い聞かせるように優しくささやく。

「私は強大すぎる力を得てしまった。誰の手にも負えない、だからどの勢力にも属せない。そんな私があなたの"手伝い"をしている。その意味をよーく考えてね」

 震える手を一瞬だけ握り、離れてやった。シドは一瞬ポカンとして顔を見せた後に咳払いをし、苦笑する。

「抑止力としての忠告のつもりか?」
「さあどうでしょう。……お腹空いたから朝ごはんにしましょ?」
「ああ俺も腹が減ってた所なんだ」

 屋台で何を食べようかとシドは聞いてきた。そうだね、ご機嫌な朝ごはんと言いながら一緒に歩き出す。

 乾いた風が今日も小心者なボクの心を嗤っていた―――。


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#シド光♀

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 あの子は変わり始めている。しかしその前に巨大な壁が立ちふさがった。俺のように逃…

メモ,新生

#謎メモ

メモ,新生

謎のメモ(新生4)
 あの子は変わり始めている。しかしその前に巨大な壁が立ちふさがった。俺のように逃げるか、それとも立ち止まるか。あやつが決めた白き星よ、身勝手な願いだがどうかあの子の行く末を見守ってやってほしい――。



 ボクが世界を救い少しの時が経った。まあ休む暇もなくシルフ族をはじめとした友好部族の子たちを助けていた。
 持った刀は悪くない。ムソウサイから色々と教えてもらいながら手になじませていく。シドの会社はロウェナ商会に装備も卸してるらしく、それを使わせてもらった。
 その傍ら、誤配達されてしまった手紙を渡しに行く。するとレターモーグリが一緒に手紙の配達をして欲しいとお願いされる。面白そうだ。引き受ける。その手紙は3国で頑張る人たちの側面を知るいい機会になった。誰にだって過去、そして縁はある。とっても強いボクが大切にしてあげたいね。

 そして何より! ボクの兄さんが砂の家に一度やってきたのだ。新聞で光の戦士の記事を読み、遠い昔に行方をくらましたボクに違いないって確信したんだって! 嬉しいなぁ。何より、兄さんってこんなに小さかったんだ。子供の頃はとても大きな人で高い高いしてくれたっけ。それが今ではボクがする側さ。
 これからどうするのかと聞いたら故郷に帰るって。少しだけ兄さんが悲しそうな目を見せながら、帰って行った。繁殖期が終わったらすぐに会いにくるって約束してくれたし、レターモーグリという便利な存在の情報も共有できてとても嬉しい。いつでも手紙を送ってくれって言われた。―――でもボクは全てを捨てた旅人なんだから、その喜びも程々にして、1人で生きて行かなきゃね。

 その間もまた蛮神が召喚されていく。しょうがないのでまた叩きに行くことにした。
 あの耳をつんざくような吼え声の主はまだ分からないようだ。イフリート、ガルーダ、タイタン。そして最近グリダニアで噂される伝説のオーディンについての情報集め。不吉な出来事はまだまだいっぱい起こってるようだ。

 面白いことも起こっている。双蛇党の小牙長に昇進したボクは冒険者小隊という新人育成の任務を任された。いや非常に面倒。―――まあもうしばらくこの辺りで人助けをする予定なので、そのついでならばという条件で引き受ける。何せ双蛇党内に小隊のためと拠点になる部屋をもらえた。悪くはない条件のモノだろう。
 そして治安維持を目的とした討伐による報奨金制度。これに関してはストレス解消にもよし。
 奇妙な魔法、青魔法についての話も興味深かった。自分の身体1つで魔物の技をラーニングするという技術。まだ見ぬ新大陸での技術を見ることができるとは旅をしてみるもんだ。ついでにマスクカーニバルという闘技場の闘士にもしてもらったのでこれからが楽しみだねぇ。
 最後に、暁の血盟の拠点を移転しないかという提案。中立でありながらもウルダハの目が届く場所に置いているのも色々と面倒だろう。そのために候補として選ばれたのがレヴナンツトール。三国、そしてイシュガルドからも少しだけ離れた小さな街ならば確かに中立アピールも説得力が出てくるだろう。

 ミンフィリアが移転を渋っていた一番の理由、"探し人"であるフ・ラミンさんを見つけた。彼女もまた帝国に追われていたみたいで身を潜めてたんだって。まあこの人が見つかったというわけで本部移転計画が進み始めた。
 候補地であるレヴナンツトールとの交渉、そして各国との根回しに少し時間かかりそうだ。各地を巡り人助けしながら次の連絡を待つことにする。



 若い頃はどうやら凄い人だったらしいムソウサイと人助けついでの修行中。グリダニアを通りかかった夜のこと。
 "ボク"は街の中で楽しいことがないか散策しているとスカーレット小牙士に話しかけられた。どうやら北部森林でイクサル族による敵襲があったらしく、出来れば迎撃の任務について欲しいと。頼まれたからには見て来るしかないね。
 北部森林のグイスリットに話を聞きに行く。どうやら最新装甲気球で街の方に飛んできたから落としたらしい。とりあえず不時着した船を見てきてほしいとのことなので行ってみる。
 周囲に誰もいなかったので落ちていた部品を拝借する。制空権のために監視哨破壊を試みているのだろうかというのがグイスリットの見立てらしい。もう一度墜落現場周辺を監視しに行く。
 あれ、気球が無くなってる。探しに行くと物資樽が見つかる。何者かが分解していたのだろうか、監視していると声を掛けられた。
 なるほど、彼らもシルフ族たちみたいに蛮神よりも自分の力で未来を切り開きたい奴ららしい。彼らの夢は最速の気球、もとい飛空艇を作ること。口は悪いがいい夢だ。技師が欲しかったようなので手助けすることにした。何より空を飛ぶモノがどういう構造なのか間近で見てみたかったのだ。シドらに頼むのも悪くないが、別の視点で見れそうなので協力しよう。
 部品を製作するためにフォールゴウトへ向かうとそこには同じく飛空艇の部品を待つララフェルがいた。青臭いガキは何か勘違いし、エカトル実験場に走って行った。大丈夫か?
 無事彼とも一緒に最高高度を目指すための飛空艇を作ることになる。しばらく楽しみな夜が続きそうだ。



 事件屋という奴らを知ってるだろうか。ボクは知らない。何でも解決する破天荒なヤツをいつの間にか追いかける羽目になった。第六霊災の時に死んだはずなのになぜか生きてた紳士ヒルディブランドと助手で錬金術の勉強をしたナシュのタッグ。一緒に武器怪盗をとっ捕まえるためにザナラーンを走る。まあ気分転換になる。ムソウサイもだけど他人がどう人助けするのか見るのも悪くないし。一種の参考になる。
 あまりにも頭の痛い人たちだけどね。

 3体の蛮神をもう一度叩いた後、ウリエンジェに新たなお願いをされる。どうやら新たな蛮神を追いかけて欲しいらしい。もしかしたら、あの咆哮の主かもしれない。気を引き締めてワインポートへ向かう。
 そこにはアルフィノの妹、アリゼーがいた。まずは一緒に帝国基地を調べたいのだという。地下にメテオの痕跡があるという基地"カストルム・オクシデンス"が騒がしくなっているという。きっとそこに新たな蛮神と関係がある何かがあるのだろうと。自分の足で確かめたいという気持ちは分かる。行ってみるしかないね。兄とはまた別の意味で青臭い彼女の"剣"として、引き受けてやろうじゃない。



 砂の家から、石の家へ。そして秘密組織から各国に認められた組織へ。地固めて何とやらということか。レヴナンツトールへ本部移設計画書を渡しに行ってほしいと言われたので久々にモードゥナへ行く。その時偶然街に来ていたシドに話しかけられた。そこで少しだけお茶しながら会話を交わした。
 今度自分の会社へ案内するって。ボクが護るべき人たちを紹介してくれるんだって向こうの方から言ってくれた。つい笑顔で「楽しみにしておこうかな」って言ってしまった程、面白くてたまらなかった。向こうは覚えてないのに、無意識にそんなこと言っちゃうんだから。
 寄り道をしてしまった。スラフボーンに計画書を手渡し、本部になるだろう物件に案内してもらえる運びになった。が、タタルからのリンクパール通信で中断されることになる。どうやらグリダニアで緊急事態らしい。急いで戻ることにする。

 砂の家。その蛮神はガルーダでもオーディンでもないらしい。一体何が召喚されたのか。グリダニアに向かう。
 モーグリ族からのSOS。カ・ヌエ様から直々の相談。こりゃまた大きな面倒事。
 善王モグル・モグXII世―――こりゃまた大きいのが来た。御伽噺の王様という存在を顕現させることも出来るとはエーテルと願いの力は凄いものだね。しかもやることはテンパードを増やすとかいう蛮神と変わらない。これはモーグリ家臣団とかいう奴らを一発殴っておくしかないね。
 大きなモーグリ。可愛い。メメント・モーグリはしばらく覚えてるかも。まあ蛮神として顕現したのならもう殴るしかない。ごめんね。トランキルでラヤ・オ達と話した後カ・ヌエ様に報告しに帰る。

 やはり王様を召喚するよう知恵を授けたのはアシエンか。どうにかならないかなこれ。まあそういう駆け引きは興味ないのでグリダニアから移設に伴う物資提供の約束を持ってミンフィリアの元へ戻る。
 砂の家はしばらく暁所属冒険者の集いの館として残すらしい。残るウリエンジェと会話を交わし、レヴナンツトールへ向かおうとしたその時、ミンフィリアの悲鳴が聞こえる。
 急いで向かうと苦しむ彼女が。超える力で過去を視ると、白衣を纏ったアシエンが。
 なるほど、ラハブレアはまだ死んでいない。消滅させる手段を見つけないといけないようだ。厄介な存在。そして調停者とは。まだ近くにいるらしい。
 律義に外で待っていた。力を見せてほしいという。刀を構え追いかける。

「流石彼の刻印を打ち込まれただけある。君は只者ではない冒険者だ」

 白衣の男はそう言った。ラハブレアにも言われたよく分からない言葉にボクは首を傾げる。アシエン・エリディブス。黒い奴らとはまた違うどこか奇妙な調停者。いつかゆっくりと、その言葉の真意を教えて欲しいものだ。



 錬金術とは本当に奇妙なもので。死人に再び魂を繋ぎとめることも出来るとは。目の当たりにして驚いた。あの時ボクも研究を進めていれば―――? これは誰の記憶だ?
 分からない。ボクは、ダレなんだ。次の可能性は、呪術士。何でもいい、記憶に引っかかるモノ全てに手を付け、確かめてやるんだ。
 "この子"を導くためにも、ボクはやらねばならない。



 さあ砂の家の最後の仕事を終わらせレヴナンツトールへ。タタルとスラフボーンの話を聞く。そっか、知らない土地、そして知らない場所。ボクにとってはウキウキするがタタルにとっては不安らしい。
 確かにあそこにいる仮面の兄ちゃんは怪しすぎて怖いでしょうね。とりあえず他所で情報集めしろって言いに行くか。
 なんて思ってたら最後に一つとスラフボーンに話しかけられる。どうやらシド達が使ってた工房でお客様がボクを呼んでるらしい。とりあえずミンフィリアに会ってから行こう。なんか嫌な予感する。

 石の家は砂の家より少しだけ広い。気持ちを新たに頑張ってね。
 しかしアシエンについて調べるための書類を取り寄せようとしたが連絡が付かないらしい。何が起こったのだろう。まあ調査は別でやってもらうとして。
 次の目標はアシエンの完全消滅。何かいい手段ないのかな。

 さあ用件は終わったので工房へ入ってみるとあら、ビッグス、ウェッジと同じ制服を着た女性。なんだかとてもお冠だ。慎重に話しかける。彼女はジェシー。ガーロンド社の会長代行。代行!? そっかシド5年程記憶喪失だったからそりゃ代理位いるよね。た、たぶらかして―――いや傍から見たらそうなるのか?
 いや一緒に世界救っててと言うタイミングもない。業績悪化、そりゃしてるでしょうね。うん、これはとっととシドに会社まで案内してもらおう。絶対そうしないとなんか悪女みたいじゃないか。
 言われるがまま魔導アーマーを見せるとご機嫌になる。技師って皆そうなの? あ、はい、修理のための素材即探してきマス―――。ていうかあの様子じゃシドまだ帰ってないんだよね? 先日一緒にお茶した時に一度会社帰れ仕事しろって言えばよかった! そうすりゃなんかもっといい初対面だったよねこれ!?

 部品を物色し、渡しに行く。あ、はい分かっていただけて何よりデス。修理ありがとうございます。こっちとしても可哀想だと思ってたので丁度よかった。よし次はタタルの不安を何とかすべく不審者に苦情を言いに行こう。何か負け犬の気配もするしビームで威嚇でもするか? まあちょっと眠くなってきたから明日にしよう。



 妖異、ヴォイドゲート、シャトトの魔石。やはりどこか聞いてて懐かしい単語たちだ。でもアンナ・サリスが知るはずもない情報なのは確か。黒魔法、この深い夜の中でもう少し勉強させてもらおう。
 きっとこれが、"ボク"を知るための一歩となるだろうから。



 おうおうキミどいてもらうどころか指図かぁ? まあどこかクリスタルタワーを見てるとそわそわするから見に行ってみるけどさ。儲け話に釣られたわけじゃないよ。いやまあいい感じに事が進めたらそっち側に移動するだろう。とりあえずラムブルースに会いに行ってみる。
 え、外部はまだ知らない情報? スラフボーンはクリスタルタワーの情報集めしてる男と聞いてたが、秘密の計画を手に入れることができる不審者。何かムカつくな。
 ってシドもいるじゃん。会社に戻ってあげて、ボク怒られたよというと苦笑して「すまん」と言った。それだけかい!

 詳細を聞くとそもそも第一関門すら抜けられない状態。タワーの前にある石像を何とかしないといけないらしい。必要なものは4属性の超高純度クリスタル。それぞれ蛮神顕現させた子たちの拠点に忍び込み、拝借してきてほしいと。相変わらず大胆なことするねえ。
 コボルド族とサハギン族の住処に侵入して超高純度クリスタルを提供してもらった後、レヴナンツトールに立ち寄るとあの不審者はいなくなっていた。多分調査地周辺に行ったのだろう。平和になったことはいいことだ。タタルに報告してあげると喜んでくれた。
 このままイクサル族とアマルジャ族の住処にもお邪魔し、ラムブルースにクリスタルを渡す。そしてクリスタルの時は研磨するための霊砂が必要らしい。とりあえず彫金師ギルドへ。
 そこで久々にビッグスに会う。新型飛空艇の開発をしているらしい。ていうか会社にも連絡せず1人で何やってるんだよシド。
 ウェッジが北ザナラーンで探し物2つ目"沃土の霊砂"を探してるらしい。アマジナ霊銀山跡へ行ってみると霊砂は賊に襲われ奪われたから取り戻しに行ったと。雇っていた冒険者は普通に逃げてた。可哀想に。無茶しやがってと向かうと奥で震えてた。

 とりあえず2つの霊砂をラムブルースに渡す。お礼を言われ、次は霊砂の産地だというグリダニアへ。街には卸されてないらしいので取りに行く。まず"清水の霊砂"は南部森林にあるみたい。ホッグの縄張りを漁りに行く。
 謎の声が響く。これは多分ラムブルースが言ってた連絡来ない霊砂を探しに行ったシャーレアンの人だな。チクるよ? まあ最後の霊砂である"薫風の霊砂"のヒントを聞いたので北部森林へ。イクサル族の拠点を荒らし霊砂をいただくと"いいものを見せてもらったお礼"として清水の霊砂を貰う。歴史の記録が好き、ねぇ。ボクはそんなに面白いヒトじゃないよ?



 ククルカとかいう黒魔道士は心が弱いララフェルだった。認められたいという欲望の元、研究にのめり込む行為に覚えはある。しかしそれはアンナ・サリスのものではない。どうして、思い出せないんだ。黒魔法は何の関係もないのか?
 クリスタルタワー、アラグの遺物。あれを追いかければ次こそ、"ボク"が誰か分かるのか? 主人格なる"ボク"にしばらく身体を返そう。この破壊の力をも、使いこなせるよう混じりものの魂に刻み込んでやろう。



 ラムブルースの元に戻り、霊砂を渡すと早速シドが加工を始める。そこに現れたのは赤髪のミコッテ。陰からこちらに声をかけていた男じゃないか。名前はグ・ラハというらしい。なかなか生意気な青年だ。"クリスタルタワー調査団"改め"ノア"は本格的なクリスタルタワー調査に着手することになる。

 シドが作り出した"牙"で石像破壊を試みる。すんなりと成功し、防衛機構を突破した。さあここからは"冒険者"とやらの番だ。入口なんかよりもっと大変な仕掛けも多いだろう、ぶっちゃけ非戦闘要員は邪魔というのはシドは分かっている様子。クリスタルタワーは逃げないんだから任せなさいって、グ・ラハ。

 実際中は苛烈な戦闘が繰り広げられた。魔科学で蘇生された英雄たちがこのクリスタルタワーを守ってるだって? 死んでからも働かされるとは可哀想に。まあ脅威として追い払ったから調査は沢山進むだろう。多分次はクリスタルタワーの基部であるシルクスの塔調査のための露払いだろう。一度拠点に戻ることにした。

 ラムブルースに調査報告を行う。とりあえずシルクスの塔へ調査に行く準備で忙しくなりそうだ。丁度ミンフィリアからも連絡が来たし一度離れることにする。



 ミンフィリアに呼ばれ石の家に行くと早速調査依頼。どうやら採掘資源の消失事件が起こってるらしい。しかもクリスタルのみを、ね。これは嫌な予感がするし暁の血盟に依頼が来るのも分かる。早速ホライズンへ向かった。
 おとりを使い襲撃犯をとっちめたが、何も喋らなくてそこで捜査がストップ。ヤ・シュトラが顔の刺青で何か心当たりがあるらしく調査へ向かった。結果待ちで何かすることはないかと思っていたらどうやらベスパーベイにドマの難民が流れ着いたらしい。次の荒事はそっちか。ウルダハの王宮へアルフィノと一緒に向かう。
 そこにいたのは覆面を被った女性。そのまま王宮まで直訴しに来たらしいが門前払いを喰らっていた。当然だ、その場で拘束されなかったのが奇跡。とりあえず事情を聞く為その場から離れる。

 彼女の名前はユウギリ。反乱に失敗したドマの市民代表という所みたいだ。ドマ、か。ボクとフウガと出会った地域。今は存在しない――そりゃないよ。アルフィノは何とかナナモ様に会えるように掛け合うみたいだ。
 案の定ロロリトの反対により難民受け入れは叶わず。まあアラミゴで凄いトラブルになってるから仕方がない所だろう。その代わりにとアルフィノはレヴナンツトール開拓団として連れて行くことになった。そっちの方がまだ平和に事が進むだろう。よかった。

 首元がふわふわとくすぐったくなりながら、一緒にチョコボキャリッジに乗ってウルダハへ向かう。自分のような冒険者、ねぇ。なるだけなら簡単さ。

 ユウギリたち難民の第一陣を送り届け終わった後、お礼を伝えにミンフィリアに会いに行く。その後ヤ・シュトラも持って情報を帰って来た。
 次は蛮神リヴァイアサン。サハギン族がやらかそうとしているみたい。蛮神を召喚して、不滅なる者に? 超える力は本来何かをもたらすとあの時白色のアシエンが言っていたがその謎でも解けるのだろうか。とりあえずリムサ・ロミンサで話を聞きに行こう。

 やはり召喚されつつあるらしい。そんなに生き急いでどうしたいのやら。サンクレッドやユウギリ、黒渦団の面々が攪乱している間にボクとヤ・シュトラが蛮風エーテライトへ。シンプルな作戦だ。
 蛮風エーテライトに辿り着くものの召喚阻止は失敗した。そして超える力を"受け入れる?"ことをすれば不滅なるもの、アシエンと同じ存在になれるらしい。しかしあっさりと召喚した蛮神に吸収されてしまったのを見るに、彼は何か騙されてしまったのだろう。サハギン族の司祭は、何をしたかったんだ?

 複数の船をくっつけ搭載量を上げ、偏属性クリスタルで属性を相殺しリヴァイアサンに取りつく。大胆な作戦だ。こちらも出来ることをやってやろうじゃないか。
 大きな蛇のような魚がリヴァイアサン。成程、この巨体が暴れ回るだけで津波被害が大変そうだ。刀で3枚おろしにして食べてやる。まあ本当に食べられるわけないんだけどね。

 撃退、報告。各々に思惑があるらしいが、旅人からしたら知ったこっちゃない。足元掬われないように、頑張らないとね。石の家に戻る。

 転生する魂、か。肉体までも超える力が存在するとは。――この空をも超えて先へと飛ぶ力だったらよかったのになあ。何でそんなけったいな力を持つことになってしまったんだ、ボクは。まあ気ままに人助けするだけさ。何も考えたくない。
 そしてバルデシオン委員会とやらは島ごと消滅か。あっちもきな臭い。



 アルフィノが、暴動に巻き込まれてケガ。ふざけるんじゃない。急いでウルダハへ向かう。
 嗚呼面倒くさい。なんて面倒に巻き込まれたんだ! その暴動する力で何かを成そうとする努力も出来ない人間なんて助ける必要はない! さっきから背筋がゾワゾワするような空気でイライラする。

 頭を冷やすために外で聞き込みを行う。商人が武装蜂起を勧めた? 金持ちの思惑にまんまと引っかかってるだけってことね。止めに行ってあげる。
 さてどうしてくれようか。商人見つけたから締め上げようとしたけど暗殺されたし。まあ犯人はどうせウルダハの裏で色々出来る権力を持った奴だろうし調べるだけ無駄だ。

 ラウバーンとナナモ様の話を聞いた後、ミンフィリアから連絡が来る。黒衣森で蛮神が召喚された、と。
 イクサル族でもない、モーグリ族でもない。シルフ族のラムゥ、だろう。あとの暴動調査はアルフィノに任せ、石の家に戻る。

 それにしても、アルフィノまで力を求め始めている。これは厄介なことになりそうだ。蛮神召喚の連鎖を何とか止められないのだろうか――。



 オメガ、その言葉に"ボク"は脳が揺さぶられた感覚を受けた。昔、聞いたことがある御伽噺。いや、アンナ・サリスは古代アラグ文明のことは全く知らないハズ。どういうことだ。やはりボクはアンナ・サリスではない遥か年上の人間が混じったってこと? アシエンが何度も妙なことを言っているがそれと何か関係でもあるのだろうか。
 多数の謎は、"ボク"を惑わし続けている。最近少しだけピリ付いている"この子"の邪魔にならないよう、下がっておかなければ。



 次は蛮神ラムゥとの対話。まあお話で済むなら苦労はしないだろう。
 実際は実力を示して見せろと。それも予想の範疇だ。全力をぶつけてやる。

 やはり人間は愚か、というわけか。それはよく知っている。旅で見てきたから。でもそれを何とかするのも強き者が成すべきこと。嗚呼、面倒だ。でも何とかすると、ラムゥと約束したのだから、頑張れるところまで、やってみよう。
 でも少しだけ心がモヤモヤとする。ミンフィリアたちの話を聞いた後、気分転換に"ノア"の進捗でも聞きに行こうか。

 そうか、アシエンの魂を器に捕まえて、粉々に砕く。まあその辺りは賢人たちがうまくやるだろう。ミンフィリアにもボクが疲れ切ってる雰囲気を感じ取ったのか外へ行くことを勧められた。

「私、エオルゼアの守護者なんですって」
「こりゃまた大きな称号が付いたな旅人さん」

 石の家から出ようと思った時、子供たちが駆け寄って来る。修行したいみたい。でもボクと手合わせはまだ早いかな? というわけで代わりにホーリー・ボルダーとクルトゥネとバトルすることに。
 まあボクの相手にはならないけどでも戦闘指南役を買って出た彼らの頑張りを見て笑みがこぼれた。
 直後、アルフィノが何やら話があるらしく、石の家に戻ってきてほしいと言われる。だが、嫌な予感しかしない。彼もまた"エオルゼアの守護者"となるためにどんな組織を作る気なのか。ため息をついて少しシドの所へ行った。あっちも苦戦中のようだが、よっぽど沈んだ顔をしてたらしく、少し皆から離れた所で背中を合わせ座り込み、会話を交わした。
 ウルダハの内乱に、ラムゥの話。少しだけかいつまんで話をし、ボクの考えをこぼす。

「アンナはどうしたいんだ?」
「勿論、とっとときな臭い所から出て行って旅をしたいですわ」
「寂しくなるな」

 背後から聞こえる声に少しだけ肩をすくめる。

「でもね、負けない物事から逃げ出すことは絶対に嫌。何よりアルフィノが心配だから」
「確かにな。聞いてる限り少々生き急いでるだろう」
「うん。それにね」

 ニィと笑い、少しだけ後ろへともたれかかる。

「まだあなたの会社に案内してもらってないから」
「……そうだな。まだ紹介してないのにどっかに行かれるのが一番困る」
「でしょう? それを見てからでも遅くないかなって思ってますわ」

 しばらく2人で声を上げて笑った。少しだけスッキリしたような気がする。立ち上がり、シドに手を差し伸べた。

「さてと、ちょっとアルフィノの話を聞いて来るよ」
「ああ。ちゃんと支えてやってくれ。聞いてるこっちもハラハラするからな」
「程々でそうしますわ。……目途付いたらクリスタルタワーについて聞きに来るよ。調査の続きも気になるから」
「頼んだぞ」



 暁の血盟主導で、新組織を作る。これは――いやまだ分からない。とりあえず人材を集めるとのことなので付いて行く。
 リムサ・ロミンサとグリダニアからならまだしもウルダハで人材探しはちょっと――。最近金で内乱誘導した奴がいるのによく集めようと思うよ立派だね、アルフィノは。
 砂蠍衆から、出資されてる? 本当だろうか。これじゃ砂の家が本拠点だった頃と変わらないじゃないか。何を考えてるの? 絶対ロロリトの息がかからない奴なんて今はそうかもしれないけどどう変わっていくか分からないじゃない――。まあどう転がってもボクの責任にはならない。そう立ち回ってるから。ちょっと痛い目に遭わないとダメかもね?

 外に出てスラフボーンと世間話をしていると開拓団の物資輸送隊のトラブル。よりにもよってドラゴンヘッドの異端者か――。支援物資の送り主であるオルシュファンに話をしに行く。
 相変わらず熱意が凄い人で。ホワイトブリムの砦で詳しい話を聞いたらいいとのことでドリユモンの所へ。
 なるほど。"氷の巫女"という指導者。そして異端者たちは妄執にとりつかれ、我を失っていると。これはまさかテンパードか?
 襲撃された商人からスノークローク大氷壁についいての情報を得たので向かう。
 気配は感じた。しかし深追いは危険。一度ドリユモンに報告しよう。途中であった異端者もクリスタルを求めていた。これは氷の巫女が何らかの蛮神召喚でもしでかそうとしている可能性が高い。しかしこの辺りの伝承には詳しくないので完全に未知の存在だ。まあこれはただの予想なので外れてる可能性も高い。とりあえず再び物資を送ってもらえるか掛け合ってくれてるらしいのでスラフボーンに報告へ戻る。
 ついでにまた一緒に稽古でもしようという約束もしておいた。

 クリスタルブレイブ、アルフィノが総帥とする新たな組織。まあどこまで頑張れるか見守ってやろうかな。変な騒乱のトリガーにならなかったらいいんだけど。
 ミンフィリアに言われて気付いたが、確かにハイデリンの声とやらが聞こえなくなった。本当に憂鬱なことにならなかったらいいな。



 そろそろ古代の迷宮部分の調査は終わっただろう。調査地へ向かった。
 うーん全然みたいだ。でも探索隊メンバーが追加された。ドーガとウネ。クリスタルタワーに封印されていたクローン。
 そしてあのコケにしてやったネロも。ははは。あの不審者こいつだったみたい。そりゃどこか煽ってやらなきゃ気が済まないような雰囲気出してるわけだ。

「お互いに、昔のことは忘れて仲良くしようぜ? メスゴリラ」
「ええそうですわね? ところで東の国の諺に今のあなたによく似合うやつがあるの。知ってる?」
「ほぉ言ってみろや。下らねェモンだったらキレるぜ?」
「こほん。やーい負け犬の遠吠え」
「……アァ!? 水に流してやろうって言ったのに何だァその態度は」
「おいお前たち何喧嘩してるんだ!」

 シドの方に向き直りボクは一言言ってやる。

「ネロが一方的にキレてくるの。どうやらまだ根に持ってるみたいで」
「はぁ!?」
「おいネロいくら目の前で悪口言われてキレてる途中に転んじまったからって怒るのはよくないだろう。アンナも前に反省してるって言ってたぞ」
「絶対してねェだろ!? ていうか足払いしやがったメスゴリラお前人にどういう報告してンだざけンじゃ」
「あのさネロ、クリスタルタワーの調査進まないからさ」

 外様があんまり騒いでるとつまみ出されるよ? と耳元で囁きそのまま逃げてやった。
 何か言いたかったようだが黙ることを選んだようだ。そっぽを向く。つまんないなぁ。

 アラグの歴史は非常にややこしい。一度死んだ人間を生き返らせ、更にクリスタルタワーの時を止めたアモンはどんだけヤバい科学者だったんだ。古代の産物にまた世界統一されたらたまったもんじゃない。助けを求められたのなら、その手を取るだけ。



「ケッ、あのゴリラが面倒だな。どうしてもキレちまう」

 ネロはレヴナンツトール郊外にて悪態をつく。計画のための準備を進めなければ。そう思いながらエーテル計測器を手に持った途端、それは振り切った。

「あ? こりゃまさか……」

 背後に気配を感じ、振り向く。そこにはあの先程悪態付いていた相手が佇んでいた。違う所はその眼が赤と銀である所か。

「黒聖石サビクについて教えろ」
「っ!? 何の話だ」
「アルテマウェポンを現代に蘇らせたのはあなたでしょう? そのコアとして認識されていた石について教えろって言っている」

 纏わりつくような風が気持ち悪い。その蛇のような睨む目に息が詰まり、一歩後ずさる。

「そのブラックボックスは俺も知らねェんだ。所詮俺はガワを使えるように復活させただけ」
「――そっか。じゃあいい」

 踵を返し、去って行く。ネロは何とか声を出す。

「おい待ちやがれ! 何で知りてェか教えてからどっか行け!」
「……それが分かれば、"私"が何者か分かるかもしれないんでね。あなたは役に立たなかった。それだけ」

 そのままあの女はどこかへ消えてしまった。

「何なンだ、あの女」

 計測器が静かになった直後、嫌な汗が吹きあがり、ネロはその場に座り込む。

「俺は役立たずじゃねェ。絶対お前に突き付けてやろうじゃねェか――」



 ザンデたちを蹴散らし妖異との契約を破ろうとしたその時、闇が襲いかかって来た。超える力が、記憶を見せる。世界を、無に還すための闇。頭が割れる。許したくない、嗚呼闇は全て消さねば――。

 はっと気が付くと仲間たちが大苦戦している。これはまずい。そしてドーガ、ウネ、あとネロまでヴォイド世界の先へと連れて行かれた。生身の人があそこへ行くのはもっとダメだ。暗闇の雲、次の倒す相手。
 



 ふむ帝国の密偵がだいぶ潜り込んでいる、と。特にウルダハは聞いてて骨が折れそうだ。そういう調査は不得意だ。
 その代わりにどうやらイシュガルドの特使サマが会談にボクをご指名らしい。
 早速オルシュファンの元へ向かうともう会談はセッティングされているらしい。どうやら彼が教皇庁にずっと会合を開くよう進言していたみたいだ。
 教皇庁としては話は平行線。しかしアイメリク卿からの支援は確実に。悪くはないだろう。しかしまた氷の巫女が率いる異端者たちが支援物資部隊に襲撃したのだという。なんてことだ。

 聖女シヴァが復活する? イシュガルドの聖典に記された人物。史上初の異端者を顕現させる。つまり蛮神召喚か。厄介なことばかり起こる。これもアシエンが裏で暗躍してるのだろうか。

 スノークローク大氷壁に隠された道を発見し、その奥を探索する。大きな狼を倒した後、氷の巫女サマは現れた。
 名前はイゼル、イシュガルドの民とドラゴン族の戦いを止めるため巫女になったらしい。そして手を出すな、とだけ言い残し、蛮風エーテライトのようなものでどこかへと消えた。

 妨害として破壊されているというテレポ先へ行くための手立てを探してもらっている間に異端者探しを行う。一緒にいた商人ごと捕まえようとするとユウギリと合流した。どうやら商人の方は帝国の密偵絡みとも繋がっていたらしい。
 襲撃の仕掛けが分かっただけでも収穫だろう。そして不滅隊内に紛れ込んだやつが写本師とやら。まあその辺りの調査は得意な人がやってくれるだろう。アルフィノが帝国関連の新情報を3国で共有する会に呼ばれてるらしいので付いて行く。

 ガレマール帝国初代皇帝崩御――? よし! ボクの勝ちだ! アレに捕まらずに済んでボクは自由だ!
 こぼれ出そうな笑みを抑えながら彼らの話を聞く。久々に酒場に行くのもいいかもね。まあ先にどうやら写本師疑いの人がグリダニアに来ているとのことなので捕まえに行く。

 ラウバーンの次に偉いあの女の人が、か。ピンポイントに不滅隊の信頼を吹っ飛ばすねぇ。
 ユウギリから忍びの術を学んでみないかと誘われる。面白そうだ。確かリムサ・ロミンサに同系統の技術を持った集団がいるんだっけ。今度顔を出してみるか。
 こっちではやることがなくなったようなので石の家に戻ると、どうやらイゼルたちがいる場所に行く手段の糸口を握る人物がこっちにやって来るらしい。迎えに行く。

 とても凛々しそうなルガディンのお姉さんだった。名前はムーンブリダ、ウリエンジェの幼馴染みたい。
 アシエンの魂を捕える"白聖石"と呼ばれるものを作ろうとしてるエーテル研究の権威者なんだって。
 今回のエーテライト転移もその白聖石を用いればできるかもしれない、と。さあその転送痕跡とやらが消える前に戦闘準備だ。腕が鳴るね。

 自分を依り代に、蛮神召喚。そんなこともできるのか。そして、黙約の塔に行けば何故イシュガルドの人間とドラゴン族が戦っているのか、その真実を聞けると教えられる。最後の言葉を聞くにまさかイゼルも、超える力を持っているのか。

 アイメリク、オルシュファンとの会合後、石の家に戻るとグロテスク状態になったサンクレッドとまだまだ元気なムーンブリダがいた。なるほど、それならボクが酒の相手になろうか。ソル帝崩御のお祝いだ。
 なかなか話の分かる人だった。エーテル学方面は奥が深い。少しだけ書物を漁ってみてもいいかも。何故かそうしないと気が済まないから。

「アンタ凄いじゃないか! まだまだ行けるかい?」
「余裕。時々は飲んでもいいかなって」

 笑顔を見せ、そのまま一晩飲み明かす。悪くはないひと時だった。



 次の日、騒がしいなとアルフィノの所へ向かうとどうやらエリヌ・ロアユが逃げ出したらしい。これは面倒なことになったぞ、と思いながらこの件を追いかけるイルベルドと合流する。
 いい所まで登り詰めていたのに、それを捨てるほど写本師とやらはいい仕事なのか。理解が出来ない。まあ確かにウルダハすっごい政治が汚い印象あるけど。だとかと言って帝国に情報売るのはちょっとねぇ。
 これ以上、巻き込まれたくないなぁ。ボクは柱になんてなれないよ。



 怪盗白仮面を追ってる内に何故か剣豪ギルガメッシュと闘うことになった。何が起こったかって? ボクにも分かんない。しかしシラディハ、いやウルダハが作ったというゾンビパウダーは本当に恐ろしい。これヒルディブランドにかかってなかったら本当に大変なことになってたかも。小さな事件を解決し、少しだけ満足した。

 そんなくだらない事件簿に巻き込まれていた間、シドはヴォイド世界へ行くためのゲートを開く装置を作り上げたらしい。どうなってるんだあの会社。
 もしかしてあの人なら――いや余計なことを考えるのはやめておこう。
 無事ゲートの先にいた暗闇の雲を倒した。しかし、ネロはだいぶ浸食が進んでるらしい。ここで死んでしまってはシドも悲しむに違いない。何とかしたいものだが――。
 あとはウネとドーガが残って何とかすると言われたので走る。閉じ始めたゲート、取り残されたくない! ふと背後で膝をつく音が聞こえ振り向くと、ネロが苦しそうだった。間に合わないのか?

「シド! ――ばしな!!」

 ボクは何かを叫び走り抜け、何とか元の世界に戻る。自分でも何と叫んだのか、分からなかった。だってその瞬間、またボクは意識を奪われたのだから。もう後は天命に任せ、目を閉じた。



 閉じかけたヴォイドゲートから間違いなく声が聞こえた。
 誰1人戻って来ていないのにゲートが閉じようとしている――周囲も慌て始め、全員帰ってくるよう祈っていた。すると俺が帰りを待つアンナの叫ぶような声。しかし普段の言動とは全く違う、不思議な体験だった。

「シド! 余計な後悔したくないなら手ぇ伸ばしな!!」

 その声と共にアンナとグ・ラハがこちらへと飛び込んできた。一瞬で何かを察する。ネロとドーガ、ウネがいない。そうか、アンナが言いたかったことは。
 俺は反射的にそのゲートへ走っていた。周りの制止を聞かず、そのゲートへ手を伸ばす。闇の世界からこちらへ走るネロ。目一杯手を伸ばし、俺はネロの腕を掴み引っ張る。

 心のどこかで、どこか熱が灯される鼓動を感じた。それが何か俺には分からなかった。



 グ・ラハは扉の奥へ消えてしまった。再び技術が追い付き目が覚めることを祈って。そんな彼らを護るのがボクの役目さ。少しだけ眠っててね。

 そう、目が覚めたら元の世界に戻り、そして元の色に戻ったネロがいた。多分ちゃんと契約を破棄することが出来たのだろう。よかった。
 そんなネロは何処かばつの悪そうな顔をし、その顔にシドはもう何か企むことはないだろうと笑う。
 気まずいのかいつの間にかいなくなっていたネロに軽くため息をつき、調査地を後にしようとしたら先に自分のやるべきことのために帰っていたシドが戻って来た。

「ありがとな」
「? 大したことしてない」
「いや、本当にいくら感謝してもし足りないんだ。ネロは何やかんや旧友だしな。あいつも目が覚めただろう。おかげで余計な後悔せずに済んだし目標も出来た」
「よかったね」

 クスリと笑うとシドはボクの背中を叩きながら「頑張れよ」とだけ言い、また走り去って行った。
 賑やかな人だなあ。まあ苦しい顔したシドを見ずに済んだので安心し、石の家に顔を出しに行く。


"技術は、自由のために"
"その翼を広げ、何よりも高く"

 飛空艇を造る会社は皆破天荒な夢を見る存在なのか。"ボク"は半笑いで"デズル・クワラン号"の初飛行を見届けた。
 興味深い。イクサル族の生態も、目標も、その飛空艇技術も。

"我ガ翼ハ、星ト成リキ"

 ユメ。"この子"の夢は――嗚呼やっぱり彼が、叶えてくれるのか?




 バーニングウォールは何だか苦手だ。いや、ここだけじゃない。偏属性クリスタルが集まった場所はあまり好きじゃない。エーテルがピリピリと少しだけ痛む。レヴナンツトール郊外は色んなエーテルが混じり、手加減が難しい。ボクの腕は意外とデリケートなんだ。程々にして用件を終わらせたいね――。

 さあクリスタルタワーのあれこれは終わり。残るクリスタルブレイブのあれこれを手伝いへ。ウルダハの内乱を煽ろうとするだろう闇商人を追いかける。そして勢い誤って殺してしまう、と。ため息をつき、押収した武器だけ届けに行った。

 怪しい。イルベルドをはじめとした第4部隊が。妙なこと起こさなきゃいいけど――。リオルも怪しみすぎるのはいいけど死なないでね?
 タタルから急いで戻って来いと言われたので石の家に行くとイシュガルドからのお客様。ルキア経由でイシュガルド教皇庁からの依頼。黙約の塔を調査しろと。
 竜星。確かフウガから知識として教えられたことがある。竜の咆哮が本当ならば――興味深い。急いで向かってみよう。

 確かに塔、というよりかは刺さった船の残骸だ。小舟に乗り調査に乗り出す。
 確かに幻龍は起き上がった。そして幻影を繰りだし、ボクに襲い掛かる。退け、話を聞くと咆哮を発したのは彼ではないらしい。彼の子供である"七大天竜"うちのどれかが、イシュガルドへ侵攻するために集結しろとサインがてら吼えたと。
 そしてついでにとボクの超える力を封じた。ただの嫌がらせじゃないか! 次はイシュガルドのあれこれに巻き込まれろと言いたいの?
 星の光が陰りを見せているということは最近ハイデリンの声が聞こえないのは闇が強くなっていると。そして化身を押し付け、試練を越えて見せろとだけ言い沈黙した。

 まあハイデリンの声がなくてもよくわからないボクの内面から聞こえてくる声が語り掛けてきているから変わらないんだが、まあついて来たいなら勝手に来たらいいさ。



 ぶっちゃけた話をする。超える力がなくてもボクは変わらない。精々テンパード化に怯える程度。眩暈もなくなるしどちらかというと身体が軽くなった感触。
 小さな眷属は怪訝な目でボクを見ているような気がした――。


 次は遂に略奪へ動き出した帝国軍残党掃除。早々に終わらせエーテルの刃の最終調整へ。しかしアシエンが現れ、光の加護がないこともバレてしまった。意味深な言葉、ミンフィリアが危ない。
 クソッ、案の定。舐められたもんだ。嗚呼別空間に彼女を誘拐しなければ、ボクは追いかけて斬らなかったのに。キミは本当に莫迦だね。

 やめて! ムーンブリダ! キミのエーテルは必要ない!
 エーテル位自分で工面――ダメだ。またボクは、冷たくなって、そしてフウガが悲しんで。

「ごめんな、さい」

 やっぱり、ボクって弱いね。短い間だったのに、心が痛む。だから旅をしているのに。ボクを助けようと犠牲になるなんて。ダメだよ気軽に命を捧げちゃ。

 悲しむ暇もなく、次はイシュガルドの有事に巻き込まれる。そして竜騎士エスティニアによると先日咆哮を発した主はニーズヘッグらしい。イシュガルドに強い恨みを持ち続けるドラゴンがイゼルを利用し本来の力を取り戻そうとしている辺りだろうか。今のボクにドラゴンを狩る力を持ち得ているのかは分からないが――正直に言う。新たな敵にワクワクしていた。

 でも3国は思ったより乗り気じゃないみたい。アルフィノも頑張ってはいるみたいだが、まだまだ青臭い。
 そしてナナモ様も元気がないようだ。とても心配。

 ドラゴンとの戦いはなかなか苦戦した。自分たちの都市を守らんとする騎士たちがいないと危なかったかも。
 そして終わった後は自分たちは主戦力連れて行ってないくせに祝賀会をしたいというウルダハ王政庁からのお手紙。都合がよすぎるが――まあボクの知ったこっちゃない。



「ということがあったんだ」
『アンナ、また妙な巻き込まれ方をしてるんだな』
「頼まれるんだもの。仕方ない」

 深夜、誰にもバレないように宿の中でシドから貰っていた個人宛リンクパールに通信を試みる。すると即慌てたような声で出たので少しだけかいつまんで最近の出来事を話す。黙約の塔で帝国軍の残党がいたこと、ウルダハの内偵の件でラウバーンがショックを受けていたこと。そしてアシエン対策に目途がついたが仲良く出来そうな人間が犠牲になったこと、直近であったクルザスでの出来事。あまりにも目まぐるしすぎないかという声にクスリと笑った後、ため息をついた。

「近い内にウルダハで祝賀会が行われるんだって。それが終わったらきっと一段落つくからあなたの会社に連れてってよ」
『……いいのか?』
「気が変わる前にどうしたいかどうぞ」
『ああ待ってくれ! 喜んで迎えに行こうじゃないか』
「ん」

 自然に笑みがこみ上げる。じゃあまた連絡するからと切断しようとすると止められる。

「どうしたの?」
『あ、ああ。リンクパール捨てちまったのかと思ってたぜ。全然出なかったからな』
「? あー私あんまりリンクパール未だに慣れてなくて。ごめんごめんなるべく着けとくようにするね」

 そう、リンクパールは付けていると違和感が凄い。何かムズムズして気持ち悪くなることがある。だから暁の作戦中以外はあまり付けていない。まさか何度か通信を試みているとは思わなかった。厭だけどまあちょっとは装着しておくか。



 タタルが皆のために頑張るでっす! と巴術士ギルドへ行ったらしい。そういえばあちら方面は全然調べていなかったな。ボクも勉強してみようかしら。タタルが試練を受けに行くらしいのでついでにボクも行ってみる。

 算術か。すべてが計算された魔法、と。面白そう。でもタタルは――向いてなかったみたい。まあ誰にだって向き不向きがあるしね。戦術勉強の一環として、タタルの分まで頑張ろうじゃないか。
 うん、戦術というものは考えたことがなかった。腕っぷしで何とかなってたし。しかしその重要性は何となく理解した。獲物を追い込む狩りと何ら変わらない。この経験はきちんと利用させてもらおう。

 あと双剣士、いやシーフギルドという場所にも顔を出してみる。前にユウギリが行っていた"同系統の技術"を持っていた集団だ。裏で掟を破る海賊にお灸をすえるのがお仕事。技術というよりかはそのお仕事を手伝い、実地で学ぶって感じだった。まあ過去が辿られない程度に頑張ってみよう。

 双剣士の技術を突き詰めて分かったこと。ユウギリをはじめとした双剣を扱うひんがしの国のものはやはり忍びの者だったらしい。フウガから少しだけ聞いたことがある。いつか鉢合わせするかもしれないと聞いていたがまさか今見ることができるとは。



 ウルズの泉で行方不明だったウィルレッドの死体を発見、と。きな臭くなってきたぞこれは。そして第一と第三分隊はテレジ・アデレジから裏金を貰っていたとリオルは調査報告を持って来た。ミンフィリアの報告後、ボクはリンクパールに繋ぎ、ただ一言だけ「今からウルダハで祝賀会」と呟きながら胸のポケットに放り込む。

 ウルダハ。王政庁に近付くごとに首元がザワザワする。まずはリテイナーベルでフウガを呼び、長めのお使いを頼んだ。ついでに「しばらくグリダニア周辺にいること。危ないと察したらキャンプドラゴンヘッドに」と約束させる。賢い子だ、ボクの顔を見て何を思ったのか強く頷き「無事を祈ってます、母様」と言った。ボクは母親じゃないんだけどねぇ。まあいいだろう。「ほら行ってらっしゃい」と送り出す。「リテイナーのフォローはよし」

 モモディによるとアリアヌに呼ばれているらしい。「何か用だろうか」と呟き待機する。

「来ない、おかしい」

 そう呟き離れるとローレンティス。首元がざわつく。こいつ、懲りてないな? 適当な会話を交わし、その場を離れる。彼に聞こえないよう「血の匂い。小瓶、これは保留」と呟く。

 ウルダハへ戻る。クイックサンドにモモディへ報告に行くと次はナナモ様の侍女がお待ちだと言う。王政庁へ行くとナナモ様からお話があると。首元がチリ、と痛んだ。慎重に歩み出す。
 原因は侍女じゃない。別の思惑はあるようだ。

「既に巻き込まれた」

 密室。ボク、ナナモ様の2人きり。とんでもない話を聞かされる。それを、ボクに何故。そして、盃が落ち――。

「ちがう」

 自殺? いや違う。これは。もう少し情報を引き出すために抑える。

「ライバーンがやらかした。煽ったのはクリスタルブレイブ」

 やられるフリは慣れてないが騙されてくれた。とにかく逃げる。仲間たちはどんどん残り、アルフィノと合流。ラウバーンの養子だというピピンとブレモンダのチョコボキャリッジに乗せられ、移動する。
 嗚呼アルフィノが落ち込んでいる。当たり前か。

 そして走り寄って来たのはシド。リンクパールを指さし、ため息をついている。

「ごめんね、シド。会社訪問は後回し」
「いきなりリンクパール繋げっぱなしは心臓に悪いから次からは一言言ってくれ」
「どういうことだ? アンナ」

 アルフィノは首を傾げ、ボクらの会話に入って来る。

「数時間前に個人宛のリンクパールが鳴ってな。出たらずっと繋ぎっぱなしだし驚かされたさ。だからことの顛末は全部駄々洩れだ。説明は必要ないぜ」
「使えるものは全部使ってだけだよ?」
「利用価値のあるものとして認識されたのは嬉しいぜ。それから大急ぎで準備してたらあの商人に呼び出されてな。それで待ってたってわけだ。ほら早く乗れ!」

 エンタープライズが飛ぶ。そういえば初めてエンタープライズに乗って一緒に飛んだメンツもこの3人だ。何も言わず少し離れ、空を見上げる。
 どんよりとした空。星は見えそうもない。わずかな灯を絶やさぬよう、希望を乗せて飛ぶ船に、一滴の雨粒が落ちた。

「これからどうしたらいいの?」

 フウガ、とボクはその名を呟いた。

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