FF14の二次創作置き場
更新履歴
- 2024/11/26 旅人は魔導兵器を識りたい 新生
- 2024/11/19 "召し上がれ&quo… 新生
- 2024/11/15 溶けあうもの 紅蓮
- 2024/11/11 "11月11日&qu… 蒼天
- 2024/10/18 "嫉妬"、… 漆黒,
No.113
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ヤ・シュトラから見た漆黒アンナのお話。
―――ノルヴラントで"あの旅人"を見守って、分かったことがあるの。あまり綺麗とは言い切れない旅路の一端を見た気がしたわ。
アンナと呼ばれる旅人が暁の血盟に出入りを初めて1年半以上が経過した。それなりに心を開いて喋るようになったが、反面未だ底が見えない強さを感じている。エーテルを視るとこの人は明らかに異常だった。
歪みが見える。エーテルを行使するごとに周辺のエーテルが特定部位周辺に集まり、消えていく。同時に体内エーテルもぐわりと揺らぎを見せた。まるで放出を妨害するかのように膜のようなものが張られている。それは生まれ持ったわけではなく後天的なものであることは明らかで、一体何をしたらそんな身体になってしまうのか逆に気になった。
彼女の右腕はどうやら魔石のようなものが埋め込まれているようで。エーテルを行使するとその辺りが熱を帯びて小さく光っている。
あと気になる場所は首元と背中よ。特に背中は大きなひっかき傷のような奇妙な模様が浮かび上がっている。それはまるで傷自体が一種の魔紋のようになっていたのが分かった。ノルヴラントに来るまであまり違和感を抱くことはなかったのが不思議なくらい。
おかしいという感想を明確に抱いたのは水晶公がエメトセルクに攫われた時。そう彼女に宿れる光の許容限界を超えてしまった時のこと。一度気絶し、目を覚ましたら―――まるで別人のようで。いや確かに喋りや表層的な波長は彼女。しかし何か本質的なモノが変わり、無理矢理躯を動かすようにフラフラと薄い銀色を見せた。そう、光の中でエーテルが柘榴石色ではなく、銀色に揺らいでいたの。一瞬彼女に擬態したナニカがテンペストへと向かおうとしていたように見えてしまう。
戦闘スタイルも一見変わりはない。いつものように自在に刀を振り回す。しかしエメトセルクとの最後の戦いでまた別の光を見せた。
『何故だ! 何故幕を下ろした筈の"貴様"が"そこ"にいる!!』
驚愕の声を上げたエメトセルクの言った通り、私の目からも彼女の姿は消えていた。大罪喰いによる白い光と、青白い光が彼女を取り込み、そこで見せたのは―――ひんがしの着物を纏った銀色のひょろりと背が高いヒトの形をしたモノ。きっと魂から見ることが出来るエメトセルクはもっと違うモノが視えてしまったのでしょう。首元から背中の傷へ、そして右腕に青白いエーテルのような光が集まり、持っていた刀の刃に纏われた。
「さあ帰るぞ―――エルダス」
優しく小さな声は明らかにそう言ったわ。巨大な刃のような光は巨大なエメトセルクを斬り捨て戦いは終わり―――。振り下ろされた光の軌跡はまるで流星のように光り輝いていた。シドから報告を受けていた通りの、大技。アルフィノ経由で未知の技術だと興奮していたのを半信半疑で聞いていたけどこれは確かに興味を抱く気持ちは分かったわ。
全ての戦いが終わった後、いつものよく知っている彼女に戻っていた。穏やかで、柘榴石色の奥底に闇を宿した旅人。やっぱりあなたはそれが一番似合っているわ。
Wavebox
#即興SS