FF14の二次創作置き場

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No.81

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注意自機出番少な目なのと倫理観無し。シド光♀匂わせ程度なギャグ概念。どちらかとい…

漆黒

#即興SS #季節イベント

漆黒

"感謝のチョコレート"
注意
自機出番少な目なのと倫理観無し。シド光♀匂わせ程度なギャグ概念。
どちらかというと自機兄+ネロ風味。
レフ→自機の兄。ガーロンド社に出入りしている技師。嫁が8人いたが離婚済みで故郷からも追放されている。妹が絡まなければ物静かで笑顔がヘタクソな人間。
 
「そういえばガーロンドくん、昨年僕の妹から貰ったチョコはどんな感じだったんだ?」

 アンナの兄レフの一言から今回の一件は始まった。ネロはゲラゲラと笑う。

「やっぱ手加減知らねぇメスバブーンのことだから山のように作って社員全員に振る舞ったンじゃねェの。ンでその中の1つを雑に投げられたって感じか?」
「あー確か去年の手紙でヴァレンティオンデーってよく分からんって書かれてたな。僕も知らなかったから『可哀想な男共に優しい手を差し伸べる慈善事業の日でもあるよな』って返したぞ」
「あの余計な一言はお前が原因だったのか……」

 シドはため息を吐いた。昨年のヴァレンティオンデーはそれはもう凄かったと語る。突然ガーロンド社に訪れ、大きなバッグから取り出される『お母さん以外の異性から手作りチョコを貰ったことがない人優先の素材から拘った手作りチョコレート』をばら撒いた。シドは毎年結構な量を貰い社員と食べていたのだが、その多さに今年はいらないと言われほぼ1人で数日間片付けていた。挙句の果てに、アンナからは「シドいっぱい貰ってる。こっちはあげない」と言われるおまけ付きで。その後、先に試作したが少々失敗したというカカオ95%チョコを渡され、言われるがままホットミルクに溶かして飲んだ。ちょうどいい苦みがあって美味しかったと振り返る。

「レフのせいで俺は酷い目に遭ったんだぞ」
「はっはっはざまあみやがれ。ってちゃっかり貰ってるじゃないか阿呆」
「おいレフホンネ出てンぜ?」
「というかアンナも大量に貰ってたんだぞ? それは悔しくないのか兄として」
「お前と一緒で僕の妹に本命という概念が理解できるわけがないだろ」
「そーだな」
「流石にアンナよりマシだと思うぞ!?」

 ネロとレフの言葉にシドは素っ頓狂な声を上げた。似てると言われるのは悪くは思わないがさすがに恋愛関係で一緒にされたくなかった。

「気にせず社員に分けてるアホが何か言ってンぜ?」
「まったく最低な男だなガーロンドくん」
「いや俺は仮にも偉い人間だし義理で渡すくらいはあるだろ。どう消費しても文句はないはずだ。お前たちだって確実に貰ってただろ」
「ガレマルドにヴァレンティオンなンてなかっただろうが」
「僕は嫁いたし。基本的に人から手作りの食べ物は貰わない主義なんだ。何混入してるか分からん」
「おいおいレフもズレてンな」
「―――おいレフ、お前人から貰ったものは受け取らないのか?」

 シドに嫌な予感がよぎる。兄がこれなら人の教えを忠実に守る妹は。

「そりゃそうだろう毒とか入ってたら困るし」
「アンナもそれを知ってるのか?」
「勿論。護人としての心構えで真っ先に故郷では教えられるさ。そこから瓦解したら大変だろう?」
「……アー」

 ネロも察した様子を見せながら肩をすくめ、レフに便箋を指さす。

「手紙書け。プレゼントは全部断れってな」
「現れる前に気付いてよかったぜ」
「君たち本当に心の問題に関しては妹のこと信用してないな。僕も書いた方がいいって思ったけど。というか去年貰ったものどうしたか聞くか」

 ここ数日、またアンナと連絡が途絶えていた。暁の人間によると『やはり道具から拘る方がいいよね』と言いながらどこかに飛んで行ったのだという。連絡をするならば一番確実なのがレターモーグリだろうと判断し、レフはペンを手に取った。



 レフは手短な手紙を書き、レターモーグリ経由で送ると1日で返事が返って来た。しかし内容をシドに伝えることはなかった。

「……僕は教育方針を間違えてたかもしれない」
「ケケッ、オマエこれまでの生涯通しても合計1年分も会ってねェだろ」
「うるせ」

『兄さんへ
 私への配慮、ありがとうございます。お返しはいらないと言って渡しているので安心してください。
 あと私のような旅人には本命や義理も関係ないし感謝の気持ちを込めて燃やしてるので大丈夫。
 ところで試作品を作ったからどうぞ。兄さんの感想が私がお世話になっている人たちの胃の運命が決まります。よろしくね。
 フレイヤ』

 手紙と一緒に小袋が入っており、中身はアルファの顔が描かれたアイシングクッキーとオメガを模した立体チョコレートだった。容赦なくパキリと割り満面の笑顔で噛みしめるように食べるレフの姿にネロは引く。

「おいしい……嗚呼滅茶苦茶おいしいぞ妹よ。だが頼むから人からの贈り物は完全に拒否してくれ……」
「オマエ本当にメスバブーン絡んだら気持ち悪ィな」
「一言余計。ほら半分に割ってるから君も食え。多分君もいっぱいもらってるからあげない組だぞ」
「いや別にオレは」
「は? 君は妹の作ったものが不味いからいらないと言いたいのか?」
「ンなこと一言も言ってねェよ!」

 ネロは眉間にしわを寄せながらクッキーを一口摘まむ。ちょうどいい焼き加減でサクサクとして本当にあのデリカシー無しで脳筋が作ったものなのかと疑うほど美味い。

「バブーンじゃなけりゃなァ」
「は? 妹は可愛いが?」
「顔はいい方だけど中身が最悪だって言いたいンだよ」
「最悪の中身が混じり込んでるんだからしょうがないだろ」
「ヒヒッ違いねェ」

 よし美味しかったと手紙を返しておこうとペンを手に取る姿をネロは苦笑する。素直に会いに行けよと思うが心の中に仕舞い込んだ。

―――数日後。アンナは石の家とガーロンド・アイアンワークス社に大きなバッグを持って現れた。色々な表情をしたアルファが描かれたアイシングクッキーとオメガ型立体チョコが入った小袋を『お母さん以外の異性から手作りで貰ったことがない人優先の調理道具から拘った手作りチョコレート』と称してばら撒く。昨年と違う所はなんと男女問わず渡されるチョコレートをごめんと言いながら拒否している所だ。ネロは兄の説得が心に届いたのかとマグカップを手に口をあんぐりと開けそれを見守る。ふと目が合うと意外なことに2つの袋を手渡された。両手に紙袋を持ちながらふらつくシドがやって来るとアンナは動きを止める。

「ホー昨日あんだけ説教してきたくせに自分はモテますアピール」
「いや、アンナ。断ったが押し付けられてな。また一緒に食うか?」
「自分で片付けたらいい」

 踵を返し次は女性陣へと渡しに行く姿をシドはため息を吐きネロの隣に立つ。

「いや昨日ようやく連絡がついてな。問いただしたらゲロったから少々手荒に"説教"した」
「ハァ。その両手のブツがなければ説得力あったろうにな」
「俺もそう思ってるさ。とりあえずレフにはお前の説得で妹は余計な悲しみを生まさずに済んだとでも伝えておいてくれ」
「……まあその方があいつも小躍りすっか」

 真面目なシドのことだ、一晩中ものすごくキツく𠮟ったのだろう。大欠伸を噛み殺しながら、いつもの内面に存在する複数の人間に込められた渦巻かれた闇1つ悟らせない満面の笑みでチョコをばら撒き去って行くアンナを見守っていた。
 その横でネロはふと誰も触れていない引っかかった疑問を口にする。

「―――ン? 調理道具から拘ったってどういうことだ?」
「文字通り1から作ったってことだろ。そりゃ一切連絡つかないさ」

 満面の笑顔で鉱石から採掘に行く姿が男2人の脳内で共有され馬鹿じゃねェの? と呆れた声が響き渡った―――。


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