FF14の二次創作置き場
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- 2024/11/19 "召し上がれ&quo… 新生
- 2024/11/15 溶けあうもの 紅蓮
- 2024/11/11 "11月11日&qu… 蒼天
- 2024/10/18 "嫉妬"、… 漆黒,
No.143
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アルファ、オメガとビッグスが怪しげなミコッテに出会う話。
クエックエッと鼻歌を歌いながら黄色い鳥は黒色の塊とレヴナンツトールを走る。
しかし少しだけ余所見をしている間にドンと何かにぶつかってしまう。
「なーんだ、この黄色いの。チョコボか?」
どうやらぶつかったのは人間の足だったようだ。彼はクエ……と謝るそぶりを見せた。
◇
ガーロンド・アイアンワークス社で働くビッグスは休みということでレヴナンツトールの屋台で飯を食おうと1人歩いていた。その時視界にあの黄色いチョコボが映る。
「アルファじゃないか!」
男は手を挙げると気が付いたアルファと呼ばれたチョコボは駆け寄って来て泣きそうな顔をしながら裾を引っ張っている。
「どうしたんだ」
「クエェ……クエ! クエクエ!」
その時「痛ぇ!」という声と硬いものがぶつかる音が響いた。慌てて音の主へと駆け寄ると黒い小さなミニオンが金髪ミコッテの脛に延々と体当たりをしかけていた。
「何だよこいつ! 俺様"は"何もしてないっての! 見間違えてんじゃねぇこのポンコツ!」
パッと見た感じ半泣きで避けようとする足をオメガは器用に動きを解析し、ぶつかっているように見えた。また「いでぇ!」という声が響き渡る。
「クエェ……」
「オメガどうした!」
ビッグスはその黒いボディを掴み抱える。ビービーと音を鳴らしながら足を動かしていた。強く押さえないとそのまま次は顔にでも飛んで行きそうだ。
「あー痛かった。すまんな、兄ちゃん」
白衣を纏った青年はニィと笑う。年齢はシドらと同じか少し上だろうか。採掘道具を背負っている所から採掘師のようだ。
「おたくの会社が作ったミニオンだろ? よーく見て修理しとけよこのポ・ン・コ・ツがよ」
オメガを指さし威嚇するように耳がピンと立ち尻尾をブンブンと振っている。ビッグスは「すんません」と頭を下げるがすぐに疑問を抱く。
「あれ、何で分かったんですか?」
「ア? こんな繊細な機械物体を作れる会社はその制服のトコ位だろ? 腕、中々いいと思うぜ。繊細で、小型ながら御伽噺のオメガそっくりだ。ムカつくぜ」
「は、はは……ありがとうございます」
この男なりの誉め言葉だと受け取っておく。やれやれと肩をすくめていたが、やがてリンクパールの着信音が聞こえた。
「ア! しまったこんな所で道草食ってる場合じゃねえ。お嬢に呼ばれてんだった。んじゃーなアルファとオメガにビッグスさんや」
そのまま男は駆け出していく。「ま、待ってくれ!」とビッグスは止めようとするがやがてテレポを唱えながらどこかへ消えてしまった。ため息を吐きながら「アルファ、オメガのメンテナンスするから会社来るか?」と聞くとアルファは元気にクエッと返事をした。
しばらく歩いた後ふと最後の男の言葉をに引っかかる。
「―――あれ? 俺名乗ったっけ? まあいいか」
◇
「ンア? ビッグス、お前休みじゃなかったのか?」
「アルファ久しぶりじゃないか!」
「実はオメガが変な挙動をしてたから確認してるんです」
整備スペースにてアルファに適当な食べ物を与えオメガのメンテナンスをしているとネロが顔を覗かせた。後ろにはエルファーとシドもいる。
「変な挙動とは? ただのミニオンだろう?」
「それがレヴナンツトールで人の脛に延々とぶつかってたんです。苦情を言われたから仕方なく見てるんですが」
「確かに変だな。んで、異常個所があったのか?」
「それが全然。その方がいた時は確かに少しブザーのような音を鳴らしてたんですが今は静かですし」
「そいつが蹴ったンじゃね?」
ネロの呆れたような声にビッグスは「それはないと思う」と否定する。
「どうやらオメガの文献についても知ってたみたいですし。一瞬だけ機械油の匂いもしたのでその手の仕事も理解ある人かと」
「また野生の技師がいるのか。レフみたいなのはもう勘弁してくれ」
「おうおう会長くん"また"とは何だ"また"とは」
「特徴は?」
ビッグスはその男の容姿を振り返る。
「ミコッテの男性で、低身長。金髪に赤と銀目のオッドアイで白衣を着てる推定リテイナー契約されてる人かと。採掘道具とお嬢とやらを待たせてるようでしたし」
エルファーは目を見開く。
「口は悪かったが結構アグレッシブな印象で―――ってレフ?」
「いや、何でもない。そうかそんな奴が現代にもいるんだな」
と言いながら踵を返す。ネロが「おい」と声を掛けると「タバコ」と言いながら去って行った。
「―――旧友でも思い出したんじゃないか? 片方金髪ミコッテだっただろ確か」
「アー確かに」
「レフの友人、ですか」
「ミコッテで遺跡荒らしが趣味の技術者がいたらしいんだ。こちらの道に進む動機になったみたいでな」
「相当口悪ィがまあ今も生きてたらアレと同じく120超えだとよ」
「それは凄い偶然で……あ、さっきその男の容姿のスケッチを描きました。何か妙な予感がしたんで」
ビッグスは傍に置いてあった紙をシドに手渡す。ネロも覗き込むが2人は口をあんぐりと開き塞がらない。
「どうしました?」
その容姿はまさしく、エルファーが大切にしている友人らとの肖像画に描かれたあのミコッテの男と瓜二つだったのだから。
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