FF14の二次創作置き場

更新履歴

No.141

(対象画像がありません)

「なあアンナ、覚えてるか?」「何?」「俺の告白を断った時の言葉」「記憶にない」 …

紅蓮

#シド光♀ #即興SS

紅蓮

それは本当に、"恋"なのか

「なあアンナ、覚えてるか?」
「何?」
「俺の告白を断った時の言葉」
「記憶にない」

 シドは笑顔を引きつらせながらアンナの頬を抓み引っ張る。

「お前『あなたが好きなのは過去に会った旅人でそれと重ねてるだけ』って言ったことあったよな?」
「……知らないねぇ」
「とぼけるんじゃない。蓋を開いたら重なるどころか本人だったじゃないか!」

 そう、あれは想いを伝えてからしばらくしてアンナが次なる冒険へと旅立つ直前の話。



 シドはアンナを抱きしめた。あの時言った通り確かに一切抵抗せず受け入れている。
 しかしその腕はシドを抱き返すことはなかった。しかし時々頭を優しく撫で回す、その柔らかく冷たい手が心地いい。

「今日も仕事が大変だった?」
「まあ。でも最近のお前さんに比べたら全然だ」
「―――かもねぇ」

 リンクシェルが鳴る。取ってみると防衛装置の調整についてのあれこれが流れていた。明日は休みの筈だが全く休める気がしない。

「休日出勤予定?」
「行かん」

 小さな声に対し小突く。指示を回し切断した直後、アンナを押し倒す。

「お前さんとの数少ない時間の方が重要だからな」
「そう」
「好きな人といる時間は大切にしたいってのはおかしいことか?」
「別に私はあなたのこと好きじゃないし。嫌いでもないけど」

 少しだけ傷付く言葉だ。ジトリとした目で睨みつけるとアンナはため息を吐く。

「あなたが好きなのは私じゃなくて旅人のヴィエラという記号。そうじゃなくて?」
「違う、俺はアンナが」
「違わない。あなたは昔会ったヒトと私を重ねてるだけ。それを違うってちゃんと言い切れる?」

 シドは目を見開き固まってしまう。あの夜、何度も"赤色の旅人"と姿が重なりながらも抱き潰した。後日お詫びにと寸止めしまくってからじっくり頂いたりもしたが。そう、あの不思議な雰囲気とどうしても重なることが多い。が、考えないようにしていたのを見透かされていたようだ。

「ほら言えないでしょ? ヒトってそんなもん。"宿題"はそれも含めたモノ、だと思うよ? よーく考えて」

 力が緩んだ隙に振り払われ、次はシドが押し倒される。アンナは跨り、額に口付けた。

「振り返ってみたら、意外と私じゃなくてもいいって分かると思うよ? 無名の旅人よりも魅力的なヒトってこの世にいーっぱいいるからさ」

 それはまるで子供に言い聞かせるような優しい声。頬を撫でながら切ない笑顔を見せ、アンナは目を閉じた。

『そんな顔をされたら余計に諦めることができなくなるじゃないか』

 冷たい言葉とは裏腹に優しい仕草が欲を刺激していく。本当に嫌なら他の人と同じく冷たく突き放せばいいのにどうしてそんな泣きそうな顔をするんだとシドはぼんやりと見上げた。

「それでも、今はアンナじゃないと嫌だ。分かってほしい」

 身体に手を回し、その冷たい肌を味わった。



「いやホントに覚えなし」
「だからとぼけるな。俺はあれ以降滅茶苦茶悩んでたんだぞ。意地悪すぎだと思わないか?」
「愛というものは障害がつきものらしい。知ってた?」
「意味が違うだろ意味が!」

 アンナが世界を救いに消えていた間、シドはずっとその言葉が刺さり続けていた。そしてネロとエルファーを連れてリンドウの終の棲家へ行き、アンナの過去を知ると驚愕する。
 ずっと遠回しに自分だとアピールしていたことに気付かない己の鈍感っぷりに呆れた。それと同時に『当の本人なら重なるのも当然じゃないか』と拳を握り締める。

「だって本当に分からなかったし。ボクが好きなのか、昔の"ボク"が好きだから勘違いしてるのかって」
「うぐ」
「ボクはもう過去に戻る気はないし忘れて欲しいって言ったのに。キミは覚え続けて勝手に重ねて葛藤しただけじゃん。解決できてよかったねー」
「確かにまとめて欲しいとは思っていたがな、言い方ってもんがあるだろ!」
「ふん。開き直るんじゃないよ。ボクはただ事実を言ったまで。ていうか何で気付かなかったの? 恋は盲目?」

 シドは睨みつけながら押し倒す。アンナは「何」と怪訝な目を向けた。

「あークソッ、抱く」
「脈略無し。反論できないからって力で押し切るんだ。酷い人」
「うるさい。自分の過去に嫉妬するアンナが可愛いのが悪い」

 してないという言葉も虚しく舌を絡み取られてしまった。アンナは心の中で『まーたボクは余計なことをしちゃったかあ』と呪う。まあ勝とうと思えば勝てるのだがこういうのにノッてあげるのも悪くはない。
 せめて今日は一晩超過コースにならないようにと祈りながら笑みを浮かべ、その手を握り返すのであった―――。


Wavebox

#シド光♀ #即興SS

このサイトの見方
(カテゴリを選択)から大体の拡張タイトルごとの時系列なページに飛ぶことが出来ます。
漆黒以降のメインストーリーネタバレ要素があるものはちゃんと記載しています。