FF14の二次創作置き場
更新履歴
- 2024/05/19 連作:紅蓮レイド編【完結済み】 紅蓮,
- 2024/05/15 "カーバンクル&qu… 漆黒
- 2024/05/09 旅人、猫を拾う 漆黒
- 2024/05/08 技師は紅き星を振り返る 漆黒,
- 2024/04/11 旅人は答えを見つける 漆黒,
No.103
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FF14の二次創作置き場
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No.103
前半蒼天終了後、後半は漆黒終了後のシド光♀話。
―――アンナは誰とでもいつも数歩後ろを歩く。
「アンナ、こっちッス!」
「感謝」
「いつも悪いなあ」
「構わない」
先頭のビッグスと少し後ろにいるウェッジの更に数歩分後ろを歩くアンナはニコリと笑う。今回は魔大陸にて見覚えのない装置があるという報告を受け、護衛としてアンナを連れて来た。ちなみにシドは別件で忙しく不在である。
アンナは2人の話を聞きながら相槌を打つ。そして敵が見えると目にも留まらぬ勢いで斬りかかりあっという間に両断された。終わるとニコリと笑顔を向け、再び彼らの後ろを歩く。
「そういえばアンナっていつも皆の後ろを歩いてるッスけどどうしてッスか?」
「そんなに変?」
「親方と歩いてる時もそうだよな。もしかして無意識か?」
その言葉にアンナはしばらく首を傾げ考え込んでいたがすぐにぽんと手を叩く。
「若い頃からのクセみたいなもの。気にしないで」
「なるほど。……なるほど?」
◇
「っていう話があったんスよ親方!」
「具体的理由はなしと」
「あの人全然自分の話はしないのは親方が一番分かってるはずなんだがなあ」
「聞こえてるぞビッグス」
シドは自分が不在の場で部下と何かあれば"アンナとどういう話をしたか"と絶対に聴取しに来る。今回はウェッジの報告への反応に対し、ボソリとビッグスはつい呟いてしまう。案の定聞こえてしまったらしくジトっとした目で睨まれた。「すいません」と濁し落ち着かせる。
「確かに俺も気になってはいた。暁相手でもいつも笑いながら数歩後ろ歩いてる」
「ララフェルの歩幅にも合わせられるのは凄いよなあ。特殊技能だ」
「アンナは特殊技能しか持ってないと思うッス」
「瞬間移動みたいな運動神経。色んな武器の使い分け。手先も器用、エーテル操作も難なくこなせて超える力持ち。盛られまくってるな」
「天は二物を与えずって言葉絶対嘘ッスよねー」
羨ましいがその対価を考えるとああはなりたくないなとビッグスとウェッジはため息を吐く。それに対しシドはぼんやりと次にアンナに聞いてみるかと考えていた。
◇
「なあアンナって何でそうやって後ろ歩いているんだ。話しにくいだろ、横にでも来たらいい」
「私は大丈夫」
今日は飯でも食いに行かないかと誘うとあっさり了承を貰いレヴナンツトールで待ち合わせをしていた。合流し歩き出したが、いくらスピードを落としても絶対一定の距離から気配を感じる。シドはそれに見かねて立ち止まり、振り向くとアンナは首を傾げた。
「何かあったら即追い抜き解決。私、人の後姿を見るの好き」
「後姿を、か?」
予想していなかった回答に首を傾げるとアンナは笑顔を見せた。
「小さい頃、後姿を追いかけながら会話してた。ついでにどんな顔をして話してるか想像、楽しい」
ほら歩いた歩いたと急かされると諦めたのか再び前を向き足を踏み出した。
「お前さん使用人でもしてたのか?」
「んーちょと違う。……師弟関係?」
「なるほどな。今俺はどういう顔してるか分かるか?」
「うーん……笑顔」
シドは少々眉間に皴を寄せ呆れた顔をしていた。新たな単語の"師匠"という存在が気になっている。どうしてそこまで興味を持ってしまっていたのか。しかももやもやする気分付きで。この時のシドはその心理が理解が出来なかった―――。
◇
「昔お前がずっと後ろ歩いていた理由を聞いた話を覚えてるか?」
「覚えてない。私は大丈夫」
「覚えてるじゃないか。ってこれ前に別の話題でもやったな」
シドは歩きながらアンナを小突く。お互いの想いを確認しあった後、まずやったことは隣に歩かせるために腕を掴み引っ張ることだった。最初こそは抵抗していた。だが5回ほど繰り返すと諦めたのかようやく自分の隣を歩くようになる。流石にまだ手を繋ぐことすらしていないが近いうちにまた教えたらいいだろう。微妙な距離感でも一歩前進していることが目に見えて分かるのだから。
「"師匠"ってリンドウのことだよな?」
「うん。フウガ、私よりひょろ長。足幅大きく歩くスピード速し。だから追いつけず」
「配慮出来ない人だったのか?」
「いや、本人はゆっくりのつもり。当時ちっちゃかったし。フウガデカい目印。迷子は無縁」
不器用な人だったと笑顔を見せている。シドはジトっとした目で見つめている。それに気付いたアンナは「あなたが振った話題」とため息を吐いた。直後、シドはふと何か思い浮かんだのだろう、拳を握りニィと笑う。
「だが俺はリンドウよりも先に行ってると自信があるぜ」
「えらい自信」
「今アンナと生きてるからな。しかもこうやって横を歩いてるんだ。それだけでアドバンテージがある」
「じゃあ妙な嫉妬しない。フウガの話題妙に突っかかるじゃん」
「嫉妬なんてしてないさ」
一瞬でバレる嘘はつかない、とアンナはシドの頬を抓る。その後、目線を合わせるように少しだけ屈み笑顔を見せた。
「まあその、えっと、フウガより大量に思い出を作ればいい。今を生きてるんでしょ?」
「―――言われなくともそのつもりさ」
夜空を見上げ、軽く息を吐く。煌めく星が今日も輝き2人を見下ろしていた―――。
Wavebox
#シド光♀ #即興SS